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映画「アナザーラウンド」ネタバレあり感想

anotherround-movie.com

 

Amazonプライムビデオのオプション「スターチャンネルEX -DRAMA & CLASSICS-」で見れたので見た。

マッツミケルセンが飲んだくれるというだけでSNS上で話題になっていた記憶があるが、賞レースに絡んでいるとは思ってもみなかった(アカデミー賞の国際長編映画賞の監督賞にノミネートされているらしい)。

中々面白かったのでネタバレ込みで感想を書いていくぞ。

 

ざっとあらすじ

マッツミケルセン含めメインキャラクターは4名の中年教師。マッツミケルセン演じるマーティンはいわゆる”さえない中年”で生徒による授業の評判も悪いし、家庭(妻と息子が2人いる)も冷え込んでいる状態。

マーティンら4人の中年は血中アルコールを0.05%に保つと良いという論文の検証と言う体で常に酒を飲んでいる生活を営む。中盤までは人が変わったことで学校での仕事も家庭も良くなっていったのだが、実験の内容がエスカレートしていき、次第に”好きなだけ飲む”⇒”限界まで飲む”と酒量が増えていく。

”限界まで飲む”で大失敗をした4人は酒を控えることを決めたのだが、うち1名が酒をやめきれず中毒になったまま死亡してしまう(自害か事故かは作中で明言されていない)。ちなみにマッツ演じるマーティンも酒の影響で妻と破局する地獄を経験している。

 

が、オチとしてはマーティンは嫁から元の関係に戻りたいと言われ、死んだ1名を除いた他2名の仲間も人生が上向き加減。生徒たちの卒業式の後の酒盛りでマーティンがイケてるダンスを踊って海に飛び込もうと跳んだショットでエンディング、といった具合だ。

 

酒で大失敗したけど、結果的に死んだ1名以外はハッピーエンド的に終わっているのが特徴的な作品である。

 

所管

”0.05%に保つ社会実験”という点に惹かれて視聴したが、誇張のなされていないヒューマンドラマという印象を持った。面白い。業務中に飲む行為はそもそも違反行為なので作中通して何かしらの緊張感があるし、酒との向き合い方も段階的に変化しているので全く退屈しないし大体マッツミケルセンが画面にいるだけで画面も映えるわな無敵かよって感じ。

アルコールと人間の付き合い方あるいは人生一般的に起こりうる事象を良く描けていると思っていて、”大失敗をしても人間は懲りずに酒を飲むし、結果的には人生も悪い方向には転ばない。むしろ酒を飲むことで好転した”という主人公の作中の動きが普遍的な酒飲みの人生であり、一方で死に至ってしまう友人もいるという酒の最悪の一面を友人の死で表現しているバランスの良さを感じた。酒で大失敗した日に見たい作品。

ぜひご覧あれ。