図書館があれば本屋はいらない問題。
私は人並みには読書を嗜むのだけれど、本は滅多に購入しない。
なぜなら図書館ユーザーだからである。
図書館は金のない現代の若者の強い味方だ。無料で本どころかメジャーなアーティストであればCDさえ借りることが出来る。年間100冊単位で本を読むので、大幅に節約できている。
図書カードを作り、手続きさえ済ましてしまえば、オンラインで予約できるし、予約した書籍やCDは区内の希望の図書館で受け取ることが出来る。
新作や直木賞などのタイトル受賞作品は予約件数が多すぎて読むのは大分先になってしまうが、今すぐに読みたいわけではないのならば何ら問題はない。
在住地域が特定されてしまうのはあまり好ましくないが、私は大田区に住んでおり、日々図書館を利用している。
大田区立図書館が12月の頭ぐらいから15日ぐらいずっとシステム改修を行っていたのだが、リニューアルされた図書館のシステムが依然と比べものにならないぐらい利用しやすくなっていて驚愕している。
図書館の近くに住んでいないと利用がしにくいのが難点だが、多少の手間さえ惜しめば無料でこの世に溢れているメジャーな図書は読めるわけで、使わない手はない。
私は本屋で本を購入せずに、気になった本はすべてメモして図書館で予約するようになった。衝動的に物を買うことがないので、その場で気になる!と思っても1000円近くの書籍を買おうとは思わない。
本が好きな人間としてはあるまじき行為なのかもしれないが、僕としては「今すぐに読みたい!」という衝動を掻き立てるような店舗づくりや作品の取り扱いを心がけてほしいものだ。機械的に分かりやすく本を貯蔵する図書館とモノを売らなければならない本屋の違いを僕はそこに見出している。
いやいや街の本屋と図書館じゃアクセスしやすさが全然違うでしょ、という考え方もあるが、そうなると圧倒的に便利なアマゾンを使えばよいとなるわけだ。
ただで読むなら図書館。
便利に読むならアマゾン。
出会いと衝動の本屋。
頑張ってくれ本屋。負けるな本屋。
魅力的な本との出会いと、その場で持ち帰りたくなるような演出。
そんな本屋に私は会いたい。
【オリエント急行殺人事件(2017)】原作通りではないけれど、いい実写版だった。(感想:ネタバレあり)
原作は読んでいるし、1974年の実写映画も観ている。「豪華キャスト」が宣伝文句のこちらもしっかりと見てきた。
結論から言うと、分かりやすい。僕はミステリが好きだけど、複雑なミステリは頭が弱いのでよく理解できないという致命的な欠陥を抱えているのだが、本作はかなり丁寧にトリックの説明がされていて、より大衆向けのエンタメになったという印象だ。
原作よりも、1974年版の映画よりも、まずはこちらから見ることをお勧めする。多少改変はあったが、大筋とこの作品で描くべきポイントは抑えているので問題ない。
原作との改編
大きな変更点は以下3つ。
①コンスタンチン博士リストラ
医師役をアーバスノット大佐が兼ねている。彼は軍人退役後に医師になった設定に変更。ラチェットの死体の検視を容疑者じゃないコンスタンチン博士が行うことに意義があったと思うが、まぁそこは目をつむるべきだろう。
つまり、探偵役はポアロとブークの二人が担当。名探偵ポアロとすぐに結論付けようとするお調子者のブークというペアは、典型的な探偵と助手。3人目は確かに蛇足だったかもしれないので、良い判断だと思う。
②ヘクターの逃走
ラチェットの助手、ヘクターが物語中盤に証拠品を焼き消そうと列車から逃げる事件が発生。彼を追いかけるポアロの身のこなしを楽しむことが出来る。
焼き消そうとしたのはラチェットから金銭を横領している証拠品となる帳簿だった。
③アーバスノット大佐の自白。
上記事件でヘクターへの疑いの目が強くなるが、ここで原作にはない第二の事件が発生。ハバード夫人が背中を何者かに刺されてしまう。
この時点で一度ヘクターへの疑念は解かれることとなり、ポアロは別の人物に事情聴取を行うことになる。アーバスノットの恋人であるメアリの聴取中に、アーバスノットが拳銃でポアロを急襲。ちょっとしたアクションシーンののち、アーバスノットが自白をした。
が、オチは皆さんご存知の通り「全員が共犯者」。ポアロの灰色の脳細胞は原作にない事件にも動揺しなかった。
あとはオリエント急行に乗る前にちょっとした事件を挟み、「この事件で誰が得をするのか」という彼の推理アプローチをお披露目している。この考え方はオリエント急行の殺人の解決編でもしっかりと利用されており、うまい伏線を張ったなぁと感心していた。
やはりポアロが魅力的
本作はミステリとエンタメ作品の中間ぐらいの立ち位置にあると思う。「オリエント急行殺人事件」をエンタメらしくしたのは、本作の宣伝でも散々言われている豪華キャストの演技力。特に主人公ポアロがただの偏屈な人間ではなく、魅力的な探偵として描かれているのが良い。
乗客者全員が共犯、しかし被害者のラチェットによって人生を壊されてしまった人々。真実を隠し、彼らを庇うかどうかの葛藤にしっかりと尺をとっている。彼が葛藤する意味が分かる様に、彼のパーソナリティを描く努力も怠っていない。前述したオリエント急行に乗る前の事件についてもそうだし、会話の端々に見える「私はこう考える」という強い主張が、彼の人間性を象徴している。
ケネスブラナーの演技を見ているだけでも楽しめるので、映画としてのクオリティはある程度担保されていると言って良いだろう。
余談
残念ながら、私は「オリエント急行殺人事件」以外のポアロシリーズを読んだことがない。なので、オリエント急行殺人事件の前に描かれた事件や、オリエント急行を降りたあとにポアロが向かう事件が、原作にある事件かどうかは分からないのだが、ケネスブラナーのポアロの映画をもう一度見たいと思うので、ぜひとも実写化してほしいところ。
原作と1974年映画の感想はこちらから
【gifted/ギフテッド】クリス・エヴァンスによる愛すべき父親像(感想:ネタバレあり)
マーク・ウェブ監督の作品が好きだ。ヒットには至らなかったようだが、僕はアメイジングスパイダーマン2作も大好きだし、マインド童貞が感情移入できる最高の作品「(500)日のサマー」ももちろん好きだ。
彼の最新作ならば見るしかない。
こういうハートウォーミングな感じの作品は、いかに人間の内側を描くか、一つ一つのシーンや言葉選びが非常に重要だと思うのだけれど、僕の好みにドンピシャなシーンがいくつもあって楽しめる作品だった。
あらすじ(ネタバレなし)
TOHOシネマズの映画紹介の文章が優秀なので、転載させていただく。
フロリダに暮らす、ちょっと変わった2人と1匹の家族。7歳の生意気ざかりのメアリーと、彼女の叔父でシングルのフランク、そして“歴史上一番すごい猫”のフレッドだ。互いがいるだけで、毎日が記念日のように楽しい時間は、メアリーが学校へ行くことになり揺らぎ始める。彼女には、生まれながらにして数学の天才的な才能(ギフテッド)があった。フランクはメアリーの英才教育を頑なに拒むが、そこへ縁を切ったはずのフランクの母親が現れ、彼からメアリーを奪おうとする。歴史を変える才能の開花か、愛する者と生きる人生か──果たして、メアリーにとっての本当の幸せは?
親と子どもの愛を描くのに、血縁上の親子ではないという設定や、それゆえ親権問題が生じるのはありがちな展開だ。このような問題が発生すると精神的なつながりを描きやすいからだろう。
例えば最近見た映画だと、「あしたは最高のはじまり」もこんな感じの設定だったな。これも良い映画だった、泣きそうになっちゃったもの。
閑話休題。別にありがちな設定や展開を悪く言っているわけではない。前述したとおり、どんでん返しがないような先がある程度読めるような安心感のある脚本の中で、いかに人を描けるかが大事なのだから。
「ギフテッド」はその「安心できる脚本」そのもので、変などんでん返しがあるわけでもないし、視聴者はみんな幸せな気分で劇場を去れるようなストーリーになっている。
公式ページの「STORY」にも中盤までの展開が丁寧に書かれているし、もうこの場でオチも書いてしまうが、裁判の結果折衷案として一度はメアリーは里親のもとに預けられたものの、イブリンは自らの教育方針の誤りに気付き、メアリーとフランクはまた一緒に暮らし始める。
メアリーは大学の授業を受けながら、元々いた学校の同級生たちとも遊ぶ生活を送ることになり、見事に「普通の暮らしをさせたい」フランクと、「徹底した英才教育を施したい」イブリンの考えの折衷案が採用されたわけだ。
まぁ、あらすじはこんな感じなのだが、ここから細かい好きポイントをあげていくぞ。
決して悪者はいない
フランクという人間の魅力については後述するが、彼とは対照的な性格であるイブリンがこの物語で重要な役割を担っている。この作品において最も「あぁ、こういう人いるよね」と思えるような人間味のある登場人物だったので、僕は彼女のことが大好きだ。
彼女はフランクとメアリーの関係を引き裂く登場人物、簡単な言葉を使ってしまえば「敵」に当たるのだが、ただの憎まれるキャラクターで終わらせなかったのがこの作品の温かさ。
「でもイブリンの言ってることもわかるよね。決して彼女の身勝手ではないよね」という気持ちで、フランクと同じように彼女のことを視聴者は許す気持ちになる。メアリーとフランクだけにライトを当てず、しっかりと彼女という人間を描写しているからこそだ。
イブリンは数学者として夢を追っていたが、それは叶わなかった。だから、娘にその夢を叶えてほしいと、英才教育を施した。そういう背景を想像させる会話がメアリーとイブリンの間でなされていたのだけれど、ちょっとしたその会話一つで彼女という人間の脆さを描き、同情してしまうような気分にさせられる。
※イブリンに限らず、フランクやボニーなど、主要キャラクターの「弱さ」がしっかりと描かれているから、この作品の登場人物には人間らしさがしっかりとあるのだと思う。
他にも、裁判所を出てフランクとイブリンが冗談を飛ばしあう会話を尺をとって描写していたが、それにより「決して二人は敵同士ではない、考え方がすれ違っているだけ」という認識が持てる。フランクとメアリーの親子を描く映画ではあるが、同時にイブリンとフランク、そして亡くなってしまったダイアンとの関係を描いている映画でもあるのだ。決してイブリンは記号的な「敵」になっていない。
フランクは「自分が父親であることがメアリーにとって良いことなのか」物語の中で葛藤し続けているわけだけど、イブリンは自分が正しいと信じ込んでしまったある意味可哀想な親だった。
裁判のシーンでフランクがイブリンの弁護士に「あなたが親をしたいだけで、メアリーのことを考えられていない」と責められているシーンがあったが、まさしくその考えでいたのがイブリンだというのは最高の皮肉。
そんな彼女も本作のラストシーンでは自らの夢が叶うのと同時に、自分の教育の過ちに気づくわけだけど、決して手放しに幸せになれたわけではない絶妙な終わり方は、本作のテーマである「親のエゴと子の幸せ」の結論をよく表せていると思う。
イブリンとしては幸せだが、ダイアンの親としては不幸。
対してフランクはメアリーの幸せを自らの幸せと重ね合わせる生き方を選んだ。
イブリンがいるからこそ、メアリーとフランクの幸せが映えていた。
本当にイブリン、名キャラクターだと思う。
親としてのフランクが最高
対して視聴者が「何て素敵な父親なの・・・」と惚れ惚れしてしまうのがフランク。
クリス・エヴァンスはアベンジャーズシリーズのキャップも演じているのだけれど、彼の優しい顔つきは、懐の広さや包容力のある人物を演じるのに非常に適している。クリス・エヴァンスはフランクを完璧に演じきっていた。メアリー役のマッケナ・グレイスちゃんばかり取り上げられているが、クリス・エヴァンスもめちゃくちゃよかったぞ。彼がいるバーだったら僕だって毎週金曜日の夜に通ってしまいたくなるわ。
特に良かったのは、メアリーが実の父親に見捨てられたことを嘆いていたとき、病院に彼女を連れていき、見知らぬ家族が出産を喜ぶところを見せたところ。「何でそんな素晴らしい考えが浮かび出てくんだ・・・!」と脚本家とフランクに心の中で拍手喝采であった。
あとは、メアリーに対して「少しでも自分の時間がほしい」と悪態をついた後に、彼女に誠実に謝っているシーンが好き。「人は本心じゃないことを言うものなんだ」とか、凄く納得感のある言葉が次々と出てくる名言メーカーだった。
里親に預ける決意をしたのも、メアリーが欲しがっていたピアノがその家にあったことだという描写も大好き。そメアリーが大好きなフレッドが一緒に居てられることを真っ先に確認したことも最高。もう次々と好きだったシーンがあふれ出てきてたまらない。
そんな感じで父親力が高すぎるフランクなのだけれど、娘の先生を抱いてしまったり、ロバータに情けないところを散々さらけ出したり、自分のエゴを押しつけていないかと悩み続けている弱さもちゃんと描かれていて、バランスの良い「素敵なお父さん」に仕上がっている。
「この人すごく好き!」ってなれるところもこの作品の良さの一つだ。主要登場人物の人間的魅力に隙がない。
最後に
マッケナ・グレイスちゃん、可愛い。
ジェニー・スレイト、エロい。
書きたいことがたくさんありますが、とりあえずはこんな感じで終わりにします。
紙の手帳とgoogleカレンダーを併用するという選択
紙の手帳を使うか、googleカレンダーなどウェブアプリケーションを使うか。
一長一短なので、どちらが良いかという議論に結論は出ないと思う。
なので、僕は両方使うことにした、って話をしたい。
一応仕事をしているので、日々の生活に手帳は欠かせない。僕はこれまで紙の手帳を使っていた。
能率 NOLTY 手帳 2018年1月始まり ウィークリー NOLTY 能率手帳B5 黒 6111
- 出版社/メーカー: 日本能率協会
- 発売日: 2017/08/25
- メディア: オフィス用品
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↑こういうの。
手帳は仕事をするうえで欠かせないのだが、プライベートと仕事の予定を併記しているので、時々家に忘れて会社に持っていかないことがある(土日にプライベート用のカバンに入れ、そのまま放置するパターン)。
1日手帳がないだけで、だいぶ仕事に支障が出る。次の打ち合わせの日程も決められないし、僕は記憶力が弱いため手帳を忘れたのが月曜日だと最悪だ。その日やるべきことを一切覚えていない。
というわけで、ネットにさえ繋がれば予定が確認できるgoogleカレンダーを利用し始めることにした。
スマホにインストールすれば出先でも簡単に予定を確認し、記入するこも簡単だ。プライベートと仕事の予定を色分け出来るのも素晴らしい。
会社では常にブラウザで立ち上げておく。タスクが出来るたびにメモをする。これまでは付箋にやるべきことを書いてPCに貼り付けていたのだが、圧倒的にgoogleカレンダーでタスク管理していたほうが便利だ。付箋だと外で確認できないし、最悪なくなることがある。
Googleアカウントを複数持っているので、会社で立ち上げているGoogleカレンダーには会社用の予定しか表示されないようにしている(プライベートの予定を別のアカウントで登録しておけば、会社で使っているアカウントでログインしてみているカレンダーには表示されない)。
別に同僚とgoogleカレンダーを共有しているわけではないが、そうしておけば離席しているときとかに見られても安心だ。
使い始めて1週間程度しか経っていないが、googleカレンダー、全然不便じゃない。
「紙の手帳だとその場でさっと書けるし、楽だよね~」という声はよく聞くが、アプリを起動してさっと予定を入れられるので、googleカレンダーでも使用感は全く問題ないのだ。
私は考えた。来年は紙の手帳はいらないのではないだろうか。B5なんて巨大な手帳を常日頃から持ち歩いていた僕はバカだったのではないだろうか。googleカレンダー一本に絞ることも考えた。
しかし2017年度はまだ終わらない、3月末までまだまだ時間がある。2000円近く払ったのに、ここで使わなくなってしまうのはもったいない。私は極端な貧乏性なので、購入したものを使わないという選択肢をとるのが嫌いなのである。
というわけで、併用方法を考えた。
①予定は全てgoogleカレンダーで管理する。紙の手帳には記入さえしない
②手帳をメモ帳として使う
これだけである。もはや手帳である理由がない利用方法だが、これが意外と手帳をメモ帳として使うことのメリットがあったりする。
メリット1 メモの見返しが楽。
会議でメモをしたのは良いが、そのメモがどこにあるのかわからない。当日配布された資料にメモをすることが多いが、「あの時のメモってどの資料に書いたっけ」と必ず分からなくなる。
僕はそういう人間だったのだが、手帳の日付のページにメモをするというルールを作ったら、日付のページを開くだけでその時の打ち合わせのメモが見返せるので、「メモロスト」が起きなくなった。
大きめの手帳を買っておけば結構紙幅もあるので、最低限のメモなら書き下しておける。
メリット2 メモをなくさない
手帳にまとめておけば、どっかいっちゃったってこと、なくなるよね。
メリット3 パソコンに比べて早い・いつでも使える
会議のメモは全部データ化しようとして、会議の内容はすべてパソコンでメモろうとした時期があるのだけれど、パソコンは電池切れるし立ち上げが遅いのが厳しい。
メリットを無理やり挙げたけど、まぁ簡単に言えば、ずぼらな人間は手帳をメモ帳代わりにしておくと安心だよって話だ。自らを律するのが得意な人はgoogleカレンダーだけで十分な気がする。2000円たけーもん。
しかし、会社で使うならgoogleカレンダーより、サイボウズなどの「他の社員の予定も簡単に確認できるうえで、その人の予定表に会議の予定などを入れられる」機能がある管理ツールの方が絶対良い。うちでも導入されないかな、サイボウズ。
【打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?】小説の方の感想(ネタバレあり)
僕の読解力が欠如していたため、映画の結末がよくわからなかった。
というわけで、脚本の大根仁氏が書いたノベライズ本を読むこととする。
1hほどで読み終わるあっさりとした内容であった。映画の内容とほぼ相違はない印象。
それでも特徴を多少記載したい。
基本は典道くんの一人称小説
物語は映画と全く同じ形で進行していく。
こちらネタバレなし記事だけど、一応映画の感想を貼っておく。
あのシーンで彼は何を思っていたのだろう?という疑問に答えを出してくれるのがノベライズ本の良さだと思うけれど、中学一年生の典道君っぽい文体で物語が進んでいく。まぁ文体が多少稚拙な感じがあるが、それは彼目線だから仕方がないということにしておこう。
驚くべき脚本形式
一番驚いたのが、典道君がいない場面の描写。
三人称で描くのかなあと思ったら、まさかの脚本形式!!!!
こんな小説は初めて読んだが、新鮮で面白かった。
イメージがわかない人のために、こんな感じだよって例を記載する。
A「xxxxx」
A、〇〇する
B「zzzzzz(〇〇しながら)」
みたいな感じで書かれている。本当に。
ここは小説っぽく頑張ってほしかったところではあったが、それも脚本家である大根仁氏のこだわりなのかもしれない。
したがって、残念ながら典道君以外の登場人物の心情については一切明かされず、基本的には典道君もしくは神の視点からカメラを通じてみた彼らの「行動」しか見ることが出来ない。映画を本当にそのまま文章に落とし込んだってイメージだ。
オチの意味は
僕が読解力がなくわからなかった最後のシーン。文章で読むとこんな感じだったらしい。
◆「もしもなずなといられたら」の世界線は、最後のおっさんが球を打ち上げたタイミングで終わり、元の世界に戻っている(なぜなら花火が正常な形だったから)。これまでは典道君が「もしも」と願って球を投げたら世界線が変わっていたのだが、最後だけこのような形で世界線が元に戻ったかについては特に記載なし。
◆映画の最後のシーン、先生が典道を教室で呼んでいるシーンは小説ではカット。あそこについては触れていない。
というわけで、僕が疑問に思っていた最後のシーンの謎については特に記載がなかった。残念だが、原作の実写版「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」も「もしも」の理由なんて描かずに、彼らの青春のみずみずしさを描いた作品だったので、細かい設定などどうでもいいのかもしれない。
しかし、もしも玉というモチーフを使い、何度も「もしも」の世界を超えるストーリー構成にしたならば、そこの謎はしっかりと解決してほしかったというのが僕の考えだ。
ちなみに原作の方は、もしも玉はなく、なずなが親に連れ戻され典道が祐介殴ったシーンの後に、「もしもプールでのレースに勝ったら」のストーリーが展開され、そのまま元の世界(=典道が負けた世界)に戻ることなく物語は終わる。
まぁどちらかに優劣があるわけではないが、アニメ版の方はかなり消化不良のまま終わってしまったなあという印象であり、小説を読んでもなんだかそれは同じままだった、というオチだ。
ちなみに、大根仁氏も「あとがたり」にてぜひとも映画版を見てほしいとおっしゃっている。まぁ彼の本業は脚本だし、それはそうなんだろうなあと。映画へのいいバトンタッチは出来ているんだろうなあといった内容の小説でした(=映画を見ている人は、小説は読まなくてもいいかもしれない)。
【追い詰められた人向け】情報セキュリティマネジメント試験に1日の勉強で合格する方法
情報セキュリティマネジメント試験という国家試験がある。
この記事は、試験日の前日まで努力を怠ってきた人間が、合格するためにどうやって足掻くべきかを説明したものだ。真面目な人、受ける気がない人は、「戻る」ボタンを押してくださって構わない。
ただ、情報セキュリティマネジメント試験に限らず、どんなペーパーテストでも最低限の努力で通過する方法はほぼ共通している。勉強が嫌いだが、効率的にいい点数を取りたい人も読んだらちょっとした参考にはなるかもしれない。
・・・既視感がある人は、おそらくこの記事を読んでいるのだと思う。
このブログはタイトルから見てわかるように、映画や本や音楽について僕が勢いよく感想を書くことを目的に運用されている。つまり、ITパスポートの受かり方なんて本当はどうでもいいのだ。こんな記事消してしまえとも思ったのだが。
意外とアクセスが良く、弱小ブログを運営する者としてはこの流入を断ち切るわけには行かないと判断した。それどころか、味を占めて別の資格の解説をしてしまう僕のあくどさにはため息が出るが、落ちると思っていた試験に本当に前日勉強で合格してしまったら仕方がない。
おそらく世の中には前日まで勉強せずに合格したい人が溢れかえっているのだろう。僕と同じように。
そんな人々の助けに少しでもなるのならば、嬉しい。
では解説していくぞ。
※残念ながら合格したのにも拘らず、既に勉強した内容はすべて吹っ飛んでいるので、試験に出てくる知識の内容自体の解説を求めている人はお引き取り願いたい。ここで開設するのは、「勉強の仕方」だ。そしてさらになぜ自分が合格できていたのかよくわかっていないので、ITパスポートの記事より解説が適当めなので、気を付けてほしい。
- そもそもこの試験は?
- 前日勉強で合格した人間はどんな人か。
- 試験の構成について
- 対策方法 まずは自分を知る
- 暗記は苦手だけど、頭の回転に自信があるタイプ
- 午後問題が苦手そうなタイプの方
- 共通して大切なこと
- まとめ
- 今回のオチ
そもそもこの試験は?
まぁここを読んでほしい。
この項目でお伝えしたいのは、ITパスポートより上位のランクの資格であるということだ。なので、この資格を取得したいと思っている人は、まずはITパスポートの取得をするのをオススメする。
私もITパスポート⇒情報セキュリティマネジメント試験とステップアップして受験した人間なので、少なくともこれから記載する前日勉強でどうにかなる方法は、ITパスポート取得者レベルのIT知識があることが前提となっていることに留意いただきたい。
前日勉強で合格した人間はどんな人か。
ITパスポート取得者レベル、と言われてもあまりピンとこないと思うので、僕という人間がどういう人かをもう少しコメントしておきたい。
僕に近しい人は、前日勉強で運よく合格できるかもしれないし、そういうわけでもないって人はもっと勉強時間を設けたほうが良いかもしれない。
前日勉強で合格した私は・・・
◆ITパスポートは前日勉強で合格。ITリテラシーは「職場の人間にエクセルの使い方をよく訊かれ四苦八苦しながら回答することが出来るレベルであるが、ファイアウォールとかローマ字3つ並んだ言葉の意味だとか、そういうのは全然わからない。」レベル。
◆最低限の準備で中高なら90点以上、大学ならAランク以上を狙うのに秀でていた。しかし、暗記は極端に苦手。どこが出るか山を張って、当てる形で正答を積み重ねるタイプ。
◆合格はしたものの、何点で合格したかは不明。おそらくギリギリだし、既に受験した内容は一切覚えていない。この試験は問題を持ち出すことが出来るのだが、自己採点するために自分の回答を問題用紙にメモする手間すら省いてさっさと帰った。
このレベル・水準であるならば、皆さんも合格出来る可能性が高いということだ。
何やら自慢っぽくなってしまっていやな感じだが、情報セキュリティマネジメント試験の内容は正直難しい。
僕も運よく合格した人間なので、確実に合格を狙う人はちゃんと勉強した方が良いということを言いたいのだ。ITパスポートとは明確に異なる。
僕の様に、「前日勉強で合格したらラッキーだなあ」程度の心持の人にしか、前日勉強はお勧めできない。結構本気で合格したい人は前日勉強はやめよう。
試験の構成について
IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:問題冊子・配点割合・解答例・採点講評(2017、平成29年)
こちらのリンクに過去問がアップされているので見てほしいのだが、1部と2部がある。
午前は単純な知識を問われる4択問題。50問あり、30問正答で合格となる。
午後は文章題。情報セキュリティに関する事例がつらつらと書かれており、その物語に沿って問題が出題される。事例は計3つあり、各事例について問題が何問か設定されているが、数が決まっているわけではない。こちらも100点中60点で合格。
要は、午前は暗記さえすれば闘える、午後は知識を活用する力が問われるという感じだ。
対策方法 まずは自分を知る
前日勉強での闘い方は2パターンある。
まずは、自分がどんな人間なのか、判断してほしい。
①暗記は苦手だけど、その場の頭の回転が求められる試験は得意。
②暗記は得意だけど、その場の頭の回転を求められる試験は苦手。
僕は前述したとおり暗記が苦手なので、①タイプだ。だから①タイプの試験勉強方法は胸を張って解説出来る。
しかし②の方は極論想像だし、②の人は前日勉強で闘えるのかは正直分からない。しかし頑張って書くので、まぁ参考程度にしてほしい。
暗記は苦手だけど、頭の回転に自信があるタイプ
まずは、オーソドックスな試験勉強の方法を説明しておこう。
①テキストを読み、覚える
②午前問題の過去問を何度も解き、知識を定着させる(⇒これで午前問題は合格できる)
③定着させた知識を用いて、午後問題の過去問を何度も解く(⇒これで午後問題も合格可能だ)
しかし我々には時間がない。なぜなら前日に初めてテキストを読むからだ。
そこで、我々は以下のように戦うことにする。
①テキストを読む
②テキストを読む
③午前問題の過去問を解く
④テキストを読む
そう、 大きな違いは午後問題の過去問を切り捨てるということ。
なぜなら、我々に足りないのは知識であり、知識さえあれば午後問題なんてその場で解けるはずだからだ。実際私は、午後問題の過去問を目にすることなく試験に臨んだ。試験会場で初めて「こんな感じの試験なんだ」と知ったレベルである。
ちなみに午前問題の過去問さえ私は解かなかったが、一度は午前問題の過去問は目を通しておいたほうが良いと思う。知識はインプット⇒アウトプットの繰り返しをすると定着しやすい。まだ設立されてから10年ぐらいしか経っていない試験なので過去問の数は限られているが、これらすべてに正答出来るようになればまぁ本番の試験も大丈夫なんじゃないだろうか。
一応テキストの読み方だけ、解説をしておく。
平成30年度【春期】【秋期】 情報セキュリティマネジメント合格教本 (情報処理技術者試験)
- 作者: 岡嶋裕史
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2017/12/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
平成29年度【春期】【秋期】 情報セキュリティマネジメント合格教本 (情報処理技術者試験)
- 作者: 岡嶋裕史
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2016/12/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
↑私が使ったテキストはこちら。
テキストは何度も読むが、読み方にコツがある。テキストの種類が違くても方法は同じだ。
①全体を流し読みする
②太字・赤字部分のあたりを集中して読む。
③過去問で分からなかった項目を読む。
これだけだ。必要がなさそうなところは切る。これがポイントだ。
これで大丈夫。あとは当日覚えた知識を発揮するだけだ。
なお、午前問題と午後問題の間に時間があるので、この時間で知識をさらに詰め込んだり、勉強してなかった午後問題の過去問をちょっとだけ読んでおくなどの対策をしておくとよい。
午前問題・午後問題ともに90分あるが、午前問題は90分かからないので、早めに退室して午後の対策をしよう。
ちなみに、僕はTSUTAYAと本屋にいって時間をつぶしていた。無駄な時間の使い方をするのはやめよう。
午後問題が苦手そうなタイプの方
この方々も基本的には同じ勉強方法だが、以下のように勉強をしよう。
①テキストを読む
②テキストを読む
③午前問題の過去問を解く
④テキストを読む
⑤午後問題の過去問を解き続ける。
おそらく暗記が得意なら、④時点で結構知識は頭に入っていると思うので、午後問題になれるためにひたすら過去問を解こう。で、午後問題も結局のところ午前問題の知識に紐づいているものなので、午後問題を解いていてわからなかった部分があれば、その時テキストに戻ればよい。
共通して大切なこと
寝ろ。8時間寝ろ。すっきりした頭で行かないと、午後問題は厳しい。
まとめ
これだけやっても(前日勉強なのでこれしかやってない、なのかもしれないが)、合格する可能性は結構低く、運が悪いとおそらく落ちるだろう。
何度も言うが、この試験はしっかり勉強して臨むことをお勧めする。
ITパスポートとは、違うぞ。
今回のオチ
僕みたいな素人じゃなくても情報セキュリティマネジメント試験対策をしてくれてるサイトってあるんじゃないかって思ってみてみたら・・・
まぁやっぱりあるよね。本気で合格したい人はこちらを読んでくださいってことで今回のオチとします。
【ソラニン 新装版】種田が死んだあとの生活(感想:ネタバレあり)
全然買えなかったんだけど、遂に手元に届いたので読んだ。
「ソラニン」、原作も映画も曲も好き。新装版が発売されたということで、ひっさびさに書籍を購入してしまったよ。
「ソラニン」は話の結末云々じゃなくて、読んでいてその雰囲気を楽しむ作品だと思っているので、「新装版」で新たに追加されている要素について簡単にまとめるぞ。
ハードの話
YSC版ソラニン(右)より一回り大きい。
YSCソラニン2冊分を重ねたよりちょっと厚いぐらい。
紙質柔らかい感じでふにゃふにゃしてるので、持ち運びには向かないかと。
カバーを外すと多摩川?河川敷(作中で何度も出てきた河川敷)の写真が。
新規書下ろしイラスト
話と話の間に新規書下ろしイラストが掲載されている。主要キャラクターの1点ものイラストが複数。バイク、ギター、CDジャケットなどのイラストもある。
ちなみに全部の話と話の間にイラストが入っているわけではなく、作中の風景や舞台を再現した写真も掲載されている。こんな雰囲気だったんだ~ってのが実写で見えるのはちょっと嬉しい。
新規書下ろしイラストは10年ほどの月日が経っていることもあり、かなり画風が変わっている(あとがきに書かれていたが、本人曰く10年前は「下手」だったらしい)。「ソラニン」本編と今のいにおさんが描いたキャラクターを見比べられるので画風の違いが際立つ。
今のいにおさんのほうがキャラクターが丸っこくて優しい感じ。種田とかは一瞬別人に見えた。
YSC版未収録カラー
巻頭に半ページサイズ2枚、見開きサイズ1枚、計3枚のカラーイラストがある。
芽衣子と種田が手を繋いでいるイラスト(半ページ)
楽器やアンプに囲まれて寝転がっている芽衣子、加藤、ビリー(見開き)
種田と芽衣子が暮らしていた部屋にもたれかかるように座っている芽衣子(半ページ)
って内容。
「未収録カラー」となっているので、新規書下ろしではないと思われ、連載当初に描かれたイラストである可能性が高い。僕が見た感じ、最近の画風っぽくはないなとも思った。
YSC版未収録読み切り「はるよこい」
いつ描かれたのか分からないけれど、おそらく「ソラニン」本編よりは後で、完全新作「第29話」よりは前に描かれたと思われる作品。計16ページ。
芽衣子がいなくなった後の部屋に入居する女性と、その彼氏の短編。本編に出てきていた人物とは全く関係ない人々。
第三者が勝手にかつてその部屋に暮らしていた芽衣子と種田の暮らしを想像しているのだけれど、「どこかで普通に暮らしてる」とその女性は結論付けている。種田が死んでから彼を取り巻く人間たちの暮らしは一変したのだけれど、第三者的に見たらそれは特別なことではなく、死んでいようと生きていようと関係ないんだなあとなんだか寂しい気持ちになってしまった。
「第29話」
新作。絵柄は新規書下ろしイラストと同様、ちょっと丸っこい感じになっている。
芽衣子が36歳になって、可愛らしいお姉さんになっている。今のいにお絵柄に彼女の雰囲気がドンピシャでいい感じ。
芽衣子は本編で名前さえ出てなかった男と結婚し、妊娠。
加藤とアイちゃんは今でも仲が続いていると思われる。アイちゃんの指を確認したけど、指輪をしている形跡はなし。結婚しているかは不明。
加藤とビリーは未だにバンド活動をしている。
ビリーはガールズバーの女子大生にハマっているらしく、結婚はしていない。
作中のラストで芽衣子がソラニンの歌詞を思い出すシーンがあるのだけれど、それ以外では種田を匂わせるような描写は一切なかった。芽衣子も種田を思い出しているというわけではなく、ソラニンの歌詞を思い出して「これからも前に進まないといけない」と気持ちを新たにしているだけ。種田はもう完全に過去の人になってしまっている。
あとがきにいにおさんも書いていたけれど、なんだか種田が可哀想だ。
まぁそれでも残された人は生きていかなければいけないし、いつまでも悲しみを引きずっているわけにもいかないのだから、仕方がないんだろうね。
ソラニン本編である人が死んだあとの再生を描き、その後の話(29話、はるよこい)で死の忘却を描いている。本編がドラマチックだったが、その後の話は妙にリアル。オチのつけ方としてはメリハリがついていて最高だと思う、「いつまでも種田を忘れない」なんてフィクションめいた話になっていたらまさしく「蛇足」だったから。
あとがき
見開き1ページのあとがき。
作者は種田が嫌いだったらしい。
その他、種田は自殺だったのか、事故だったのかへの作者なりの解釈が書かれていて面白かった。あれは、種田の願掛けなんじゃないか、といにおさんは言っている。
「渡り切れたら、上手くいく」みたいな。
以上、新装版の新要素および感想でした。
29話がソラニンのオチとしては最高だったので、1600円払って良かったと思っている。
ぜひ、ファンは購入してほしい。