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【劇場版 少女 歌劇 レヴュースタァライトの感想】TV版も総集編も見ていない人がいきなり映画版を見るとどうなるか

cinema.revuestarlight.com

 

見てきた。

 

総評

■個人的には好みではない。

■なぜなら、世の中に多くある映画のフォーマットから逸脱しているため。

■ただし、暴力的なまでに面白いので感想を書かざるを得なかった。

 

記事を書くまでの経緯(読み飛ばししていいよ)

・・・というのが私の感想なのだが、感情が赴くままに半年前ほど前につくったTwitterアカウントで感想を書き殴ると

 

 

自分のフォロワーの10倍を超える「いいね」がついてしまう歪な結果となってしまった。バズった(そもそも所詮は100,200なので大したことではない)ツイートにブログの記事を紐づけるほど愚かしい話はないのだが、反響がそこそこある以上、もう少し丁寧に文章をまとめるのが意見を発する側の責任というか、まあ後残りのない幕引きなのだろうと思って、久々に映画の記事を書くことにした。

なお、残念ながらこの作品の背景は~とかそういうのをググるのが面倒なので、ソースは私の頭の中だけである。違うことが合ったらごめんね(⋈◍>◡<◍)。✧♡

 

ちなみに余談だが、なぜフォロワー数20人程度人間のツイートが想像以上に伸びた理由は、「作品が好みではないが面白い」というポジションの取り方が上手かっただけである。

もう少しまともな感想を喋れる人間はファンにはいくらでもいるだろうし、私の感想は所詮は映画をそこそこ見ている人間のそれこそ”つぶやき”程度と評するのが自然だし(作品名間違えているしね)、ただそれでも私が何かを発することで、誰かがこの作品の魅力を感じたり、考えるきっかけになったとしたら、こんなに嬉しいことはない。

いいねやRTをしてくださった人々には感謝する。

 

前置きはここまで。

 

少女 歌劇 レヴュースタァライトについて私が知っていたこと(読み飛ばして良いよ)

MCUで例えると、いきなりホークアイが暴れ出すことから始まる(友人談)

■友人が30回ほど見ている作品である。

■女の子がたくさんいて、カップリングが出来ている(まとめた画像を友人からいただいた)

 

という程度の知識しかなく、印象としては、「オタクがリピートをしまくっている作品なので、何かしら面白い点はあるのだろう。機会があれば見てみよう」という感じであった。バルト9の夕方割で安く見れそうだったので足を運ぶことにしたのだが、あえてTV版や総集編(ロロロと呼ばれているものだ)は見ないことにした。端的に忙しかったのと、一部の人間からはいきなり映画を見ても良いと言われていたから。

 

その決断の背景には私の慢心もあって、私という人間がそもそも映画が好きなので大体の映画を楽しめてしまうというのと、アニメーションに慣れ親しんでいるから「だいたいこういうものが来るであろう」とある程度の予測をしていた点にある。

多くのTVアニメ作品の劇場版を見てきたが(とは言っても今ぱっと出てくるのは「たまこラブストーリー」とか「涼宮ハルヒの消失」とか「けいおん!」とか「東のエデン」とか・・・京アニが多いな)、大体の作品は、特に面白い作品は、TV版を見てなくても何となくわかる。TV版の延長でありながらも、初見が置いていかれないように劇場版という枠の中で起承転結を作り、物語を分かりやすく組み立てるからである。

だから、「レヴュー」(略称を知らない)もだいたいそんなもんだろうと思ったのだが、大分予想が外れたのでビックリしたという感じ。

 

「レヴュー」がなぜ面白いのか、なぜあまり好きじゃないのか(感想本番)

これはツイートした内容と同様だが、この作品を一言で表すと「映画の一番面白い場面を2時間流し続けるために9割をクライマックスで構成して、それが上手くいってしまった作品」である。

2時間の上映時間のうち、アドレナリンが出る過激な画面が大半を占める(体感的に)。この作品の唯一無二(本当に唯一無二だと思う)の魅力はそこだ。で、もっと言うと、「アドレナリンが出続ける作品を退屈だと思う人はあまりないので、つまりはアニメアレルギーがなければ大抵の人間が楽しめる作品」である。

少しオタクかじった人間に対して万人に自信を持って薦められる作品だと感じた。

 

もう少し丁寧に「9割クライマックス」の仕組みについて書くと、この作品が「歌劇」をテーマにしているだけあって、作中に何回もミュージカルパート(ディズニー映画のキャラクターが歌って踊るシーンを想像してほしい)が存在する。

そのミュージカルパートは、カップリングのキャラクター2名が、バチバチにお互いへの想いをぶつけあい(耳に残るフレーズ、歌、そしてキャラクターが本当に武器を携えて戦闘をする)、最終的に仲直りするという構成で例外はない(最初の1曲は例外)。

少女のコンプレックスと相手への感情を暴力を携えてぶつけ合い、最後滅茶苦茶近い距離間で仲直りする様は、何というか官能的である。暴力とエロは無条件に面白いものだ。それを叩きつけられて、かつ、それが劇中に何回も散りばめられていたら、作品全体が面白いものになるのは当然である。

 

が、ただ激しい映像とキャラクターの心情吐露が続いても、人は集中力を失う。

多くの映画が激しいアクションシーンの連続で構成されていないのは、つまらないからだ。だいたい人の集中力は15分とかそれぐらいだと言われていて(なんかの本で読んだ)、場面の転換を上手に行わないと、退屈なアクション映画と同じになってしまう。

その"場面の転換"の静かなシーン(まともに物語を描いているシーン)の描き方が上手で、視聴者が想像で補える最低限の情報だけを描いているので、無駄がない。かつ、ミュージカルパートが最大限映えるための下準備としての情報しか散りばめていないので、効果的だ。

僕があまり好きじゃないのはこの点なんだけど、「このセリフやシーンを最低限描いておけば、脳内補完して(あるいはTV版からの文脈で)何が伝えたいのかわかるだろう。」という視聴者への信頼の元成り立っている構成だと思う。普通の人間が創作しようと思ったら、もっともっとと詰め込んで、冗長な作品になりかねない。が、この作品は最低限を描いて、すべてをミュージカルパートで発散するという難しい構成を上手くやってのけてしまった、ということである。

ただ、映画の基本を疎かにしているわけではなくて、主役2名(愛城さんと神楽さん)の関係性を描くという基本の筋は通っていて、脇を固めるキャラクター達の関係についての描写は最低限のセリフで補っているというイメージ。重ね重ねになるが、普通の人間が創作しようとしたら、2名を立てて、それ以外のキャラクターも死なないように印象的なシーンや言葉を散りばめ、ミュージカルパートで主役として立てる、という構成を上手く仕上げることは出来ないと思う。

 

これはイメージでしかないが、以下のような感じだろうか。

 

【普通のTVと劇場版の関係】

・TV版で起承転結がある。

・劇場版でも起承転結がある。

・TV版、劇場版を含めて、大きな起承転結がある。

 

【レヴューの場合】

・(見てないけど)おそらくTV版で起承転結があるのだろう。

・劇場版は、主要2名の最低限の起承転結を描き、それ以外のキャラクターについては転と結を劇的に描くことに集中した。

・当然、TV版と劇場版を含めて、多い起承転結がある。

 

まとめてみると、本当にキャラクターに依存した作品だなあと思う。魅力的なキャラクターじゃなかったらこの作品はあまり面白くなかったんだろうな、と思ったので、次の見出しでキャラクターについて語ろう。

 

キャラクターとレヴューについて(感想本番)

正直キャラクターについてはTV版を見ないと全然わからん。主役2名の関係はよく分かったけど。ファンじゃなくてもこの映画は楽しめるけど、ファンのほうが圧倒的に楽しめるんだろうな、と思った。

その他のメンバーについては彼女らが何を目指しているのかは分かったが、ミュージカルパートの小競り合いで初めてカップリングがどういう関係だったのかを把握して(まあ把握できてしまうのがすごいんだけどね)、暴力と官能に塗れたシーンを楽しんで、終わりという感じだ。

が、こればかりは作品を観て感じてほしいんだが、絵がぬるぬる動くし、キャラクターのセリフも一つ一つが尖っていて印象に残るし、音楽も舞台もキャラクターによって全然毛色が違うから、作中等して飽きを感じることが全くなかった。

 

当然作中通しての一番のクライマックスは愛城さんと神楽さんのレヴューなんだけど、それに向けて各キャラクターのレビューの内容が徐々に過激になっていく様はボルテージをあげさせられているようで楽しかった。「私はいつだって可愛い」とラストの息遣いと転がっている様がエロ過ぎる天堂 カップリングが一番よかったな。でも愛城さんと神楽さんが向き合っているあのシーンに敵うものはないな。

 

まあでも大暴れしちゃうし、好き好き隠しきれていない大場ななが一番かわいい。

ポイントは、何もわからないけど、雰囲気で推しが作れてしまうこの作品の勢いだ。

何もわからないけど大場ななが一番かわいいと分かってしまうんだな。

 

このコンテンツについて

バルト9で私が見に行ったのは9月13日で、これはリバイバル上映らしい。おそらくファンの人が何度も足を運んで、まだ稼げると劇場側が判断したからだろう。

僕のツイートが謎の伸びを見せてしまったのも、ファンの熱量があったからだ。

とても良いコンテンツだと思う。

前述したが、この作品は視聴者への信頼(理解してくれるよね、分かるよね)の上で成り立っているもので、それはおそらくTV版から積み上げてきた文脈があったからこそ成功したのだろう。中途半端に初見に忖度したありふれた卒業をテーマにした学園ドラマにしていたら、ただの凡作として沈んでいたからだろう。最高のキャラクターの劇を描きたいという執念の元、本来やりたかったこと、あるいは映画としてやっておいた方が良いものを、を抑えて抑えてこの作品が出来たのではないだろうかと推測する。

作り手がファンを信頼して作品を作り、ファンはそれで楽しんで、何度も足を運んでいるのだから、こんなに素晴らしいことはない。

私が劇場に足を運んだのも、ファンのオススメがあったからこそだし、今までにない作品を観ることが出来て良かったと思っている。

今回のオチ

大場ななが一番かわいい。

ばななぶら下げてるのに、あの攻撃力は何なの?