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【インクレディブル・ファミリー】復活のイラスティガール(感想:ネタバレあり)

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見てきた。

 

ディズニーピクサー作品の中では「Mr.インクレディブル」が一番好きだった。

アニメガチ勢のディズニーピクサーが本気で超能力バトルを描いているだけでかなりのアドなのに、堕ちたヒーローの復活と家族の絆というテーマが個人的な好みとしてぶっ刺さっていた。姿を隠して活躍するヒーロー感が滲み出ているこてこてのテーマ曲も大好き。

 

で、本作である。原題が「incredibles 2」のところ、「インクレディブル・ファミリー」という邦題を付けたのはなかなか的を射ている。

本作ヒーローとして活躍するのはほとんどイラスティガール(=ママ)で、彼女が家庭を空けている間にMr. インクレディブル(=パパ)が子どもたち3人を抱えて家事に邁進するという構成。

クライマックスには家族全員がヒーローとして出そろうのだが、基本的には「久々にヒーローとして外で働くママ」と「今までヒーロー活動に気持ちを注いでいた中、家事育児と向き合うことになったパパ」の物語だ。

 

見終えた私は感動していた。本作が大好きなのだ。

女性が社会進出を果たし男性が家事をするという旧社会ではあまりメジャーではなかった、現代では当たり前になりつつある家庭像をユーモラスに、リアルに描いていたのも良し。「こういう家族っていいなあ」と視聴者に思わせてしまえば本作は勝ちであり、僕は少なくともそういう印象を受けたし、おそらく多くの人もそう思うであろう。

ヒーローファミリーではあるが、パー一家も普遍的な家族としての一面も兼ね備えており、その中で生活する登場人物達の心情が良くわかる。とても共感できる。

 

ピクサー作品にありがちなキャラクターに語らせちゃう説教臭い印象も本作はあまり受けない。キャラクターの表情や行動でしっかりと観客に伝えたいことを表現できている。

また、ヒーロー映画としてもしっかりと成立しているのもポイント高い。

はっきり言って、怪力のMr. インクレディブルよりも、身体が自在に伸縮出来るイラスティガールのほうがアクション映えする。本作のアクションは最高にクールで、特殊能力同士がぶつかる戦闘も最高だった。

 

おおよその感想は以上の通りだが、お気に入りポイントを説明していくぞ。

以下ネタバレ開始。

 

300字でわかるざっくりなあらすじ。

前作で活躍したのは良いものの、ヒーローは依然違法行為。

とあるお金持ちがヒーロー行為の合法化を目指し、イラスティガールに活躍の機会を与え、市民の支援を得ようと考える。ママはその提案に乗り、彼女がヒーロー活動に邁進する間、パパが家事育児の担当に。

目論み通りママはヒーローとして活躍し、ヒーロー活動合法化まであと一歩のところで、本作のヴィランであるスクリーンスレイヴァー(ヒーローを支援している資産家の妹)の策略で洗脳されてしまう。パパやヒーロー仲間のフロゾンも敵の罠にはまり、洗脳状態に。

しかし子どもたち3名の活躍で洗脳が解け、スクリーンスレイヴァーもイラスティガールの活躍で逮捕。無事ヒーロー活動は合法化されました。

 

こんな感じ。本作の主人公は間違いなくイラスティガール。彼女が事件を追う形で物語が進んでいき、その間ママがいない家族がどのように過ごしているかを挟んでいくという構成。


「インクレディブル・ファミリー」本予告(吹替え版)

予告とキャッチコピー「家事!育児!世界の危機!」は完全に売るための戦略ですね。前作同様パパが主役で一家団結して世界を救う~的な触れ込みの方が、確かに人は集まりそうだ。

 

以下、せっかくだから家族の皆様ごとに良かったところを紹介するぞ。

ヘレンのアクションが楽しい

前述したが、間違いなくアクションは前作よりクオリティが高い。

序盤暴走した列車を止めるアクションシーンがあるのだけれど、まず暴走している列車をバイクで追いかけるのね。バイクの構造が前後で分離するようになっていて、その機能と全身が伸びる能力を生かして、障害物を交わしながら街中を走り抜けるわけさ。

ママ自身もパラシュートとして滑空する能力があり、ゴムの力を利用した跳躍力もあるので、バイクも合わせれば陸空両方を結構な速さで移動できるわけよ。そのスピード感がたまらなくいいのね。

また、後半味方のヒーローで空間を超えるワープホールみたいのを生成できるヒーローが現れるんだけど、彼女の空間移動能力とヘレンの伸びる能力が掛け合わされたアクションも面白いから必見。

こればかりは劇場で見てくれとしか言いようがないので、ぜひ見てほしい。

 

アクション以外のところなら、パパの陰に隠れてしまっていた現役時代から打って変わって、ヒーローとして脚光を浴びながらも家庭のことは忘れず、家事をしているロバートがいるからこそ活躍できているという気遣いを忘れていない彼女の人間力の高さが好き。

父親の家庭での無力感と成長

ロバートは家事育児ほぼ初体験。序盤ヒーローとして活躍したい!ばかり頭に浮かんでいた彼が、子供たちと向き合い、最後には「立派な父親になりたい」という気持ちで家事育児に取り組み、実際認められるという分かりやすいサクセスストーリーを踏んでいて、ヘレンのヒーローパートの「ついで」にならない出来栄えだった。

 

スーパーヒーローとして活躍していた彼が、家事育児で疲弊してボロボロになっている様は「育児の大変さ」を端的に表現できているし、ヘレンが大活躍しているニュースを見て嫉妬をしつつも、ヒーローとして活躍したいという感情を抑え、電話で妻を励まし、3人の子どもの三者三様の問題に必死に食らいついている様は父親のロールモデルを見ているようだった。結婚してないけれど、何だか「勉強になります」って気分だった。

ちなみに彼は終盤、娘のヴァイオレットにインクレディブルな父親と最上級の誉め言葉を受け取っている。ヒーローでは味わえない最高の父親としての喜びだよな、羨ましい。まさしく分かりやすく、かつ最高の成功体験である。

 

コメディ枠ジャックジャック

赤ちゃんだから何をしていても可愛い。何をしでかしても面白い。なおかつスーパーヒーローの能力を17(だったと思う)も持っているのだから、画面映えもする。

庭で遭遇したアライグマとの戦闘は必見。

 

可愛い枠ヴァイオレット

自らの正体を知ってしまったボーイフレンド(日本人的に言えば、片思いしている男の子)の記憶が消されてしまい、反抗期を迎える。

前作に引き続き、可愛い枠として大活躍している。思春期をこじらせた女の子、というだけでかなりのコンテンツ力だ。

父親の失敗を容赦なく責める枠かつ、最高の賛辞を贈る役として、ストーリー上でも大きな貢献をしている。

 

透明になる、バリアーを張るなどの戦闘映え・ヒーロー映えする能力を持ち合わせているので、後半の子ども達3人で両親を助けに行くシーンも

 

そして、ダッシュ

何も考えないピュア枠として、頑張っていた。

本作は彼が活躍したポイントはあまりなかったような気がする。

前作はヒーロー行為に憧れていたっていう部分で物語上役割を持てたけど、今回は他の子ども達と役割被っちゃった上にジャックジャックとヴァイオレットのコンテンツ力高めだったから、仕方がない。

 

おまけ

本作はエンドロール後の映像なしだけど、エンドロール中にヒーローたちのテーマソングが流れるからお楽しみに。