定時後に映画館

ITパスポートの記事が人気の、映画ブログです。

【名探偵コナン ゼロの執行人】私が期待しているコナン映画が帰ってきた(感想:ネタバレあり/犯人は記載なし)

www.conan-movie.jp

 

見てきた。

コナン映画を見るのは「純黒の悪夢」以来。去年化物のような興行収入を達成した「から紅の恋歌」は「純黒の悪夢」があまり好きくなかったのでスルーしたが、友達に誘われたので今年のは見てきた。

 

想像を超えるクオリティで感動したので感想を書きたい。

 

とりあえず暴れれば良いだけのコナン脱却

8年ぶりに監督が変わり、立川譲氏が監督を務めた本作。絶対的な人気を誇る作品群の監督を務めたこだま兼嗣氏から本作に至るまで4名がコナン映画の監督を務めてきたが、今までで最も「推理」していて、犯人が犯行に至るまでの動機・探偵が犯人を追い詰めていく過程をしっかりと描けていた映画が「ゼロの執行人」だったと思う。それぐらい、従来のコナン映画と雰囲気が違った作品であった。

しかしとは言っても長年培われてきた劇場版コナンの形式美を大切にしており、年齢層が上がってきたコナンのメインターゲットを意識した大人も楽しめるミステリーに仕上げながらも、年齢層が低めな子どもも楽しめるような仕組みをふんだんに取り入れた長寿テレビ番組劇場版(ドラえもんクレヨンしんちゃん・コナン・ポケモンの類)のお手本のような作品。

 

いや本作は非の打ちどころがないんだよ。一応「"名探偵"コナン」だから、しょうもない動機とかぐだぐだな推理・シナリオをごまかし、とりあえず蘭と新一とラブラブさせといて、激しめなアクションぶち込んでおけば良いって作品は、視聴者側のもうこりごりなの。そんな諦めに近しい感情をひっくり返してくれたのが「ゼロの執行人」だったということですわ。

 

前半パートが重たい(以下ちょっとだけネタバレ)

ストーリーはTOHOシネマズのあらすじから転載します。

東京サミット開催の地となる東京湾の新施設「エッジ・オブ・オーシャン」。サミットが開催される5月1日には、2万2千人もの警察官が出動するというこの超巨大施設で突如、大規模爆破事件が発生!そこには、全国の公安警察を操る警察庁の秘密組織・通称「ゼロ」に所属する安室透の影があった。サミット当日ではなく事前に起きた爆破事件と、秘密裏に動く安室の謎の行動に違和感を禁じ得ないコナン。その時、現場の証拠品に残された指紋が、かつて警視庁に在籍していた毛利小五郎の指紋と一致してしまう!これは何かの陰謀なのか。小五郎の逮捕を巡って敵対し始めるコナンと安室。果たして謎の存在・安室透は、敵なのか、味方なのか?

 

本作は【犯人を追い詰めるまでの推理パート(前半)】と【犯人の犯行により蘭が危険にさらされてコナンと安室さんが助けるパート(後半)】にざっくり分けられる。

前述した「ちゃんと推理している」というのは、前半パートが創り込まれているという意味。「ちゃんと歴代コナン映画の形式美を守っている」というのは、後半で蘭が危険にさらされて助けるとか派手なアクションをかますとかその手の我々が期待している「やっぱり今回もこの展開か~笑」をしっかりとやり遂げているという意味。

下手にやりたいことをごちゃごちゃに並べずに、潔く物語を2パートに分けて面白さを担保した手腕は流石。

 

私が感動したのはその前半の推理パートに当たるのだが、私でもついていけなくなるような場面がいくつかあったので、子どもにはほぼ無理だろう。一応子ども向けアニメでもあるコナン映画で視聴者が置いていかれてしまうリスクをとってしまうことはマイナスポイントかもしれないが、25歳の私が見る分にはこれぐらいがちょうど良かった。

 

あらすじにある様に、小五郎のおっちゃんが何者かの陰謀で逮捕されてしまうのだが、その背景を読み解き真犯人を暴くために、公安という組織、裁判における裁判所、警察組織、弁護人の立場などを丁寧に物語中で描く必要があるストーリー構成となっている。このそれぞれの立場の相関を整理するのが視聴者にとって難易度が高め。

 

しかしこの部分を乗り越えてしまえば、犯人が何を思って犯行に臨んだのか、各登場人物が何を考えて行動したのかがよくわかり、過去のコナン映画の一部にある「はwwwwなんだその動機www皆何を思って行動してるのか意味不明www」みたいなことにはならずに済む。

特に今作においては、登場人物それぞれが掲げる「正義」の価値観のすれ違いが大きなテーマになっているので、各人物の行動原理をしっかりと説明できないとテーマがお粗末なことになってしまいかねないし、後半の皆が期待しているコナン映画のカッコいいシーンが台無しだ。

要は前半の重たい部分は少々大人向けに寄りすぎた部分はあるけれど、半笑いでコナン映画っぽいアクション・恋愛・決め顔と決め台詞を見届けることにならないためにも、必要不可欠な要素であったと言いたい。

 

激しいアクションと子どもを置き去りにしない仕組みづくり

推理ちゃんとやれよ!とは言ったものの、最近のコナン映画の名物になっている人間離れしたアクションはしっかりと楽しみたいもの。本作のキーパーソンである安室さんが、人間離れしたカーアクションを見せてくれた他、例によってキック力増強シューズと花火型のサッカーボールが射出されるベルトを使ったコナンの「いっけー!!!」もしっかりと見れるので安心してほしい。

なお、いつもの蘭と新一のいちゃらぶもそれなりにあり、しかもコナンと安室さんが窮地にも拘らず恋バナをしてくれるというサービス精神旺盛なシナリオ。蘭をおざなりにせず、安室さんの恋愛観にも踏み込んだ我々の期待するストーリー展開となっている。

 

まぁ私は既に大人になっているので、子どもたちが上記した要素で満足するかはわからないが、最低限作り手が視聴者に子どもがいることを意識していることは伝わってきた(わからんけど、アクションが地味だったらもはや本作は子どもたちが追い手彫りを食らうだけの作品になっていたと思う)。

あとは彼らの年代に最も近い少年探偵団がしっかりと活躍しているのもポイントが高い。多少無理がある設定ではあったが、彼らを自然に物語の中で活躍させていたし、子どもが国家規模の危険を回避するのに一躍かっているという描写はこの映画のキッズにとっても興奮ポイントになるのではないだろうか。

 

原作ファンへのサービスシーンもある

「異次元の狙撃手」から原作に関わるような言及が増えてきたコナン映画。

※「異次元の狙撃手」では赤井秀一のお披露目、 「純黒の悪夢」ではラムの存在をにおわせるストーリー展開。

 

本作においても、ちょっとしたサービスシーンがあった。黒田兵衛という人物がおそらく公安における安室さんの上司にあたり、音声は明確になかったものの安室に対して「バーボン」と言っていると思われる描写があった(口パクの形がバーボンに見える)。

黒田兵衛はラムの特徴を一応押さえており、彼もラムの候補だと言われていたらしいので(原作はしっかり追っていないのでよくわからん)、彼の立場を明らかにさせる重要なワンシーンだったのではないでしょうか。

 

まぁ正直ここらへんはどうでも良いや。とにかく展開が気になるから早く原作完結してほしい。

 

まとめ

来年も立川譲監督の続投を希望する。

ちなみに、来年はキッドがメインの映画です。豪華の向日葵以来ですが、ちゃんと面白い作品になってくれることを期待したいですね。