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十二大戦対十二大戦 (ちょっとネタバレあり、ざっくり感想)

 

十二大戦対十二大戦 (JUMP j BOOKS)

十二大戦対十二大戦 (JUMP j BOOKS)

 

ようやく続編?の方のこちらも読みました。十二戦士の登場人物は変わらずなのですが、今回は戦士同士の闘いではなく、十二戦士がチームを組み、新登場の「十二戦犯」と闘う十二対十二、計二十四人(双子座の戦犯は二人で一人なので、正確には二十五だけど)のバトルとなっている。

(本作は「子」の能力「ねずみさん」が導き出した一つの可能性の物語。十二戦士が殺しあわず協力して十二戦犯と闘うという立て付けの十二大戦を子の戦士が選んだという立て付け)

 

物語のボリュームとしては「十二大戦」とほぼ変わらないので、試合展開がものすごく早い。次々と戦士が、戦犯が死んでいく。十二大戦で活躍しきなかった戦士が活躍しており、十二大戦で活躍していた戦士が簡単に死んでいくので、十二大戦とは全く違った楽しみ方が出来る。

例えば、十二戦士の中でもダントツで厄介な圧倒的な戦闘力を持つ丑と死者を使役する兎の戦士は序盤真っ先に死亡するので、前作のような死体が動く泥仕合は展開されず、圧倒的なカリスマである丑の戦士も不在のまま絶望的な展開で試合が始まるのだ。

前作で優勝を果たした子の戦士も、すぐに死んでしまう。死に方はなかなか面白かったので、ぜひ読んでほしい。

 

ちなみに本作で活躍するのは、前作、割と早いタイミングで亡くなった「亥」「戌」「酉」の戦士。そして前作から割と優遇されている「申」の戦士。

特に前作キャラクターがあまり掘り下げられずに終わった「亥」「戌」は本作にて最後まで生き残る大出世を果たし、彼らのバックグラウンドや信念まで丁寧に描かれている。「酉」もそこそこ生き残るのだが、死亡に至るまでの経緯が十二大戦に似ていて、別の可能性の世界でも人間性は変わらない面白さが彼女にはあった。

「申」の戦士は戦争がテーマの十二大戦にて、「平和裏に殺す」をモットーとする平和主義者という時点で物語に深みを出させるため活用せざるを得ない優秀な素材であることは確かだ。使わない手はない。本作はある種彼女のお陰でその「戦争」というテーマの深堀が前作以上になされていたと思う。彼女の考えが、一言一言が、戦争と平和についての疑問の投げかけとなっている。

「綺麗事なめんなよ」

十二大戦屈指の名言は、本作においても一番の見せ場で発せらた。

 

ちなみに、本作のオチは「十二戦犯が、今回の十二大戦において何を願ったか」の解明にある。十二戦士には、前作同様「生き残った者の願いを叶える」と伝えられていたが、敵方である十二戦犯の勝利条件および勝利した際のメリットは最後まで分からない。それを申の戦士が探りながら平和的交渉に臨む場面があるのだが、そこら辺がクライマックスで、物語の終わりに十二戦犯が望んだ「願い」が明かされるという構成だ。

まさしく「十二大戦」にふさわしい願いだった。この「願い」が個人的にとても好きで、それゆえに僕は「十二大戦」より「十二大戦十二大戦」の方が好きだ。ただのバトル小説以上の意味合いを持っていると思う。

 

十二大戦で「ただのバトルロワイヤルじゃん」と思った人。ぜひ本作も読んでほしい、きっと別の感想を抱くから。

 

こちらもどうぞ。

midoumairu.hatenablog.com

 

 

 

【坂道のアポロン】律子が可愛い(ざっくりとした感想)

 

坂道のアポロン コミック 1-9巻 セット (フラワーコミックス)

坂道のアポロン コミック 1-9巻 セット (フラワーコミックス)

 

 実写映画化されるし、原作が9巻で完結するという魅力に駆られ、一気読みしてしまった。

 

青春をこじらせた素直になれない主人公(西見 薫)、がさつに見えて繊細な心を持ち合わせている闇を抱えた親友(川渕 千太郎)、そして親友の幼馴染でTHE 田舎の心豊かな女の子感が満載のヒロイン。

この布陣!彼らがわちゃわちゃしているだけである程度楽しめてしまうずるさがある。僕は結構少女漫画が好きで、キャラクターの心理描写とかよくわからない縺れた人間関係みたいのを永遠と見れられるのが個人的なツボなのだけれど、坂道のアポロンも例にもれずその手の作品であった。期待通りである。

 

何といっても、律子が可愛い。こんなに可愛い女の子が他にいるだろうか。この、素朴な・・・純粋な感じ!!!癖がない、嫌味でもないただの女の子。行動原理全てに共感が出来る。その魅力をしみじみとかみしめながら僕はこの作品を読み進めていた。

彼女の心の動きは至ってシンプルで、下手にドロドロしていないからとてもすっきりしている。納得のいかない動きもなく、物語を盛り上げるために下手なすれ違いを演じたりしない。単に幼馴染の千太郎が好きだったが、主人公の薫に好意を寄せられ、感情が揺さぶられながらも最後には薫を好きになる。この間両者を汚らしく天秤にかけるような真似はしないし、行ったり来たりもしない。その分かりやすさ、潔さが気持ちよく、可愛らしい。

 

なぜ、この名ヒロインが誕生したのか。

薫も千太郎も情緒不安定で女々しいので、律子というぶれの少ない存在がいなければ、作品が離散してしまうからだと私は妄想する。

坂道のアポロン」は三角関係の物語と思わせておいて、実は薫と千太郎の友情がほぼ物語の主軸で、彼らがすれ違いや喧嘩を繰り返しながらも友情を育んでいく物語と言ってしまっても良い。主役は薫と千太郎なのだ。

ゆえに、律子は彼らを乱すような行動を慎まなければならない。読者には彼らの友情に集中してもらいたいから、必要以上のエネルギーを割くようなヒロインであってはならない。彼らのすれ違いの原因でありながらも(三角関係でありながらも)、彼らをまとめあげるポジションを求められる(恋愛故の友情の崩壊を招くわけにはいかない)。

そのためには、純粋に、プラスでもマイナスでもない、物語に波風を絶たせない品行方正なキャラクターである必要がある。恋に積極的になりすぎず、皆でいるのが好きな、必要以上の味付けもされていない、いわゆる良い子。そんな女性が物語の中心に必要だったからこそ、律子という毒なき素朴なヒロインが誕生したのだ。

 

まぁヒロイン論はどうでもいいのだけれど、前述した通り、全体的に「坂道のアポロン」男性が読む分には「ちょっとこの男子たち女々し過ぎないか?」と思ってしまった。

こう・・・もっと男子はさばさばしているというか、ここまで友情の在り方や人間関係について深く思い悩むことはないような・・・。どちらかというと、女の子同士の友情のやり取りを見ているような気分で、それはそれで微笑ましいなという感じ。まぁ登場人物の心の揺れ動きや特に薫の繊細な感情は伝わってきたし感情移入が出来ないというわけではなかったので、「現実の男はこんなんじゃない!」という意見は野暮なのだが、どうも「これ考えすぎだろうぅ」って部分が引っかかってしまう。そんな作品でもあった。

 

しかしそんな違和感を正す役割を持っている人物がいる。こんなのおかしいよ!と伝えてくれる女性が。

そう、律子であr(この記事の冒頭に戻る

 

今回のオチ


「坂道のアポロン」予告編

ヒロインが最近気になっている小松菜奈さんでびっくりした。でも、律子のイメージとはちょっと違う、ちょっとだけ、ちょっとな。

 

映画は見ていないんだけど、やっぱり大人になってから過去を振り返る感じの描写は青春映画の王道で、「坂道のアポロン」は原作でも大人になった後のことを描いてるから映画化しやすかっただろうな。

 

 

 

【週刊少年ジャンプ】僕のヒーローアカデミアも下書き:人気作に限って、見せ場に限って下書き掲載する風潮

 今更ながら週刊少年ジャンプ2018年24号を読んだ。

先日こんな記事を公開したのだが、 

midoumairu.hatenablog.com

今度は、「僕のヒーローアカデミア」が下書き掲載をしているじゃないか(182話)

 

しょうがない。僕の持論は忙しい作家さんであるという前提はありながらも、週刊少年ジャンプにお金を払っている人がいる限り、下書き掲載は許されるべきではないというもの。所詮は一読者の意見でしかない。切り捨ててしまっても良いような小さな戯言でしかないと思う。でも、声を大にして言いたい。

 

にしても!!!先週のブラッククローバーの話をした翌週に、僕のヒーローアカデミアが下書き掲載なんて!!2週連続で人気作品の下書き掲載はないよ!!

 

だって、見せ場じゃん!!!

壊理ちゃんが笑う見せ場でしょ!?

週刊連載で1話1話で人気を獲得しないといけないって前提はあるけれど、その中でも今回の話は大切な1話だったじゃん!!!

 

それを、なぜ下書きに!!!下書きなら、休載して次にしてくれよ!!!感動を完璧な形で味わいたいんだよ!!!

 

頼むから原稿は完璧にして出してくれ。。。

漫画ファンの願いだ・・・

 

 

 

 

【週刊少年ジャンプ】ブラッククローバー下書き掲載多すぎ問題

www.shonenjump.com

ブラッククローバー」という週刊少年ジャンプにて連載中の王道少年漫画がある。

 

私は半年ほど前から週刊少年ジャンプを毎週読むようになって、基本的に掲載している全作品を読むようにしている。

ブラッククローバーは初期の数巻をコミックスで読み、王撰騎士団選出試験の途中からジャンプで追いかけている状態だ。当然間がすっぽり抜けているので、一から十まで楽しんでいるかと言われるとそうでもなく、しかしブラッククローバーは全体のストーリーをばくっとしか把握をしていなくても、各話や各編に手に汗握るような山場を設けており、週刊誌で読むには最高な漫画だと思っている。2018年23号(155話)のアスタとユノの見開きなんて、このページだけでお腹いっぱいになるぐらいじゃない熱い展開じゃないか。

現在のジャンプ連載陣で前後の脈絡なく読んで楽しめるものは「ヒロアカ」と「ぼくたちは勉強ができない」と「ブラッククローバー」ぐらいだと思う。それぐらいの瞬間最高風速を叩きだせる熱い少年漫画だと僕は考えている。

 

私は漫画を買う習慣がないのだが、週刊誌で追いかけている作品のうち面白いものはやはりコミックスで一気読みをしたいと思っているし、前述した「ヒロアカ」や「僕たちは(ry」は無事に完結してくれたら大切に読み直す予定だ。

 

しかし!残念ながらブラッククローバーにはまだ心が動かされないのである。

なぜならば、残念ながら「下書き連載」が多すぎるためだ。直近の23号も下書きの部分が一部あったため、この記事を書くのに至った。熱い展開だったのに、どうしてもその部分で水を差されてしまう。本当にもったいない。僕がジャンプをしっかりと毎週読み始めるようになってから、もう数回は下書き掲載をしている(最初魔法の光で顔の輪郭がぼやけているという演出的なものなのかと勘違いしていたが、2回目から違うということにようやく気付いた)。

 

そりゃ週刊連載だし、タイトなしょうがないという意見はあるかもしれないが、週刊少年ジャンプに掲載される1話1話は全て「コミックスへの準備」ではなく「完成された作品」であるべきだ。週刊少年ジャンプに読者は対価を払っているのだから、プロとして完璧な作品をあげるべきだろう。既にファンになっている人にとってはどうでも良いかもしれないが、週刊少年ジャンプを入口としてコミックスに至る層にとっては休載よりも印象が悪いのではないだろうか。

編集の方も作家をマネジメントして、完璧な作品をあげられないのであれば休載して次号に回すなどの措置が出来ないものだろうか。週刊連載のペースで原稿完成を完璧にマネジメントする難易度の高さは容易に想像できるが、そう何度も下書き掲載をさせるべきではない。明らかなにペースが乱れているので、せめてワンピースぐらいの掲載頻度に下げるべきだ。

 

せっかく面白い作品が週刊連載に忙殺されたゆえにファンや読者に臨まれない形で世の中に出て行ってしまっていることを僕は悲しく思う。どうにか、どうにか週刊少年ジャンプ読者の私の心の琴線に引っかかるような連載をしてほしい。せっかくの画力や魔法の迫力が一つの下書きで台無しなんだよ・・・。

 

という愚痴でした。作品自体は面白いのだから、ちゃんと完成された状態で週刊少年ジャンプを盛り上げてほしい。

ちなみに、ブラッククローバーの魅力についてはジャンプ+連載中の「ヒット作のツメアカください!」を読むといいと思う。田畠先生のこだわりや面白さの原点が知れて面白いです。

shonenjumpplus.com

 

頑張れ田畠先生。長期休載だけはやめてくれよな。

 

 

BLEACHという漫画におけるキャラクターの魅力と、実写映画への期待について

play.google.com

2018年6月いっぱいでサービスが終了してしまうとのことだが、現在無料でBLEACH全巻を読める素晴らしいアプリが配信されており、それをフル活用してBLEACH74巻をすべて読んだ。

 

BLEACHは尸魂界篇がピーク」という意見を多く聞くが、私はこの漫画は一貫して面白いと思っていた。尸魂界篇に入ってからつまらなくなったタイミングがほぼないと思っている。

なぜなら、魅力あるキャラクターがオシャレに活躍してるだけで心が躍るからだ。ストーリーやバトルマンガとしての整合性については他の漫画に比べて抜きんでているとは思わない(むしろ、バトルの展開がいつも一辺倒なので、そこら辺は評価できる点ではないと思う)。しかし、ただオシャレなセリフをカッコいい・可愛いキャラクターが喋り、カッコいい斬魄刀の能力で敵をなぎ倒す。その演出が楽しくて読んでいるのだ。

 

世の中には数多の漫画が存在しており、結構途中で読むのをやめる漫画も多い中で、74巻飽きることなく毎日ログインして読み進めることが出来る漫画の尊さよ。

愛すべきキャラクター達。彼らいかに活躍させるかを中心に据えたシンプルな物語展開と彼らの能力やおしゃれポエム。久保先生の抜きんでたキャラクターメイキング能力で74巻もの長編エンターテイメントは成り立っていた。

世の中にはストーリー展開の駒としてキャラクターを動かしているように見えてしまう作品が多くある中で、BLEACHのキャラクター達はしっかりと人間として生きていた。

 

ピンチになった時の見開きの増援に何度心を躍らせたか。卍解の能力説明に何度心をくすぐられたか。織姫の可愛らしさに何度胸をときめかしたか。74巻読み切った時点で私は軽いBLEACHロスに陥っていた。心のヒーロー、ヒロインを失った気分だ。

 

実写化してBLEACHのキャラクター達が輝くのか


映画『BLEACH』予告【HD】2018年7月20日(金)公開

昨今の漫画実写化ブームに乗り、BLEACHもついに実写化されるとのこと。

別に漫画作品の実写化に私は反対しないが(映画は面白ければ原作がどうこうなんてどうでも良い)、BLEACHの魅力を100分前後の実写映像作品で表現できるかが問題だと思っている。

 

BLEACH原作の魅力的なキャラクター達は、74巻もの積み重ねによって生まれている。一話一話のエピソードを通じて黒崎一護という主人公は完成しているし(序盤と終盤では主人公として貫禄が全く異なっているのがこの作品の感動ポイントでもある。成長したなあ、一護・・・って感じ)、一般的な作品に比べて少々多い主要キャラクター達がしっかりと作品の中で輝いているのは、彼らの生い立ちや現在の行動に至る背景を丁寧に描写しているからだ。それは漫画という長期連載が前提かつかいつまんだ描写が可能な媒体だからこそ出来る表現の方法であって、枠が決まっている映画ではなかなか難しいのではないかというのが私の一つの不安である。

 

とは言ったものの、実写版BLEACHを原作と全く同じ方向性で勝負する必要なんかなく、実写映画なら実写映画らしい武器で面白い作品に仕上げてくれればいいのだが。。。だとすると、BLEACHという既存の作品の看板が一つのハードルになってしまうような気もする。

 

何がこの映画を成功に導くのだろうか。

 

迫力のアクション?(流石に銀魂のアクションレベルではないことを祈りたい。予告映像見た感じだと大丈夫そうだけど)

手に汗握るストーリー展開?(原作で言うところの死神代行篇にオリジナル要素として恋次と白夜を絡ませるイメージだろうと予測出来てしまうのがちょっと苦しいが)

杉咲花ちゃんの可愛さ?(和服 is good)

 

漫画版を読んで感動したからこそ、実写版にも期待したい。

頑張ってくれBLEACH実写版。

もう「アニメ・漫画の実写化は無条件でNG」みたいな残念な風潮を助長するような作品を世に送り出さないでほしい。

 

余裕があれば見に行こうと思っています。

 

【名探偵コナン ゼロの執行人】私が期待しているコナン映画が帰ってきた(感想:ネタバレあり/犯人は記載なし)

www.conan-movie.jp

 

見てきた。

コナン映画を見るのは「純黒の悪夢」以来。去年化物のような興行収入を達成した「から紅の恋歌」は「純黒の悪夢」があまり好きくなかったのでスルーしたが、友達に誘われたので今年のは見てきた。

 

想像を超えるクオリティで感動したので感想を書きたい。

 

とりあえず暴れれば良いだけのコナン脱却

8年ぶりに監督が変わり、立川譲氏が監督を務めた本作。絶対的な人気を誇る作品群の監督を務めたこだま兼嗣氏から本作に至るまで4名がコナン映画の監督を務めてきたが、今までで最も「推理」していて、犯人が犯行に至るまでの動機・探偵が犯人を追い詰めていく過程をしっかりと描けていた映画が「ゼロの執行人」だったと思う。それぐらい、従来のコナン映画と雰囲気が違った作品であった。

しかしとは言っても長年培われてきた劇場版コナンの形式美を大切にしており、年齢層が上がってきたコナンのメインターゲットを意識した大人も楽しめるミステリーに仕上げながらも、年齢層が低めな子どもも楽しめるような仕組みをふんだんに取り入れた長寿テレビ番組劇場版(ドラえもんクレヨンしんちゃん・コナン・ポケモンの類)のお手本のような作品。

 

いや本作は非の打ちどころがないんだよ。一応「"名探偵"コナン」だから、しょうもない動機とかぐだぐだな推理・シナリオをごまかし、とりあえず蘭と新一とラブラブさせといて、激しめなアクションぶち込んでおけば良いって作品は、視聴者側のもうこりごりなの。そんな諦めに近しい感情をひっくり返してくれたのが「ゼロの執行人」だったということですわ。

 

前半パートが重たい(以下ちょっとだけネタバレ)

ストーリーはTOHOシネマズのあらすじから転載します。

東京サミット開催の地となる東京湾の新施設「エッジ・オブ・オーシャン」。サミットが開催される5月1日には、2万2千人もの警察官が出動するというこの超巨大施設で突如、大規模爆破事件が発生!そこには、全国の公安警察を操る警察庁の秘密組織・通称「ゼロ」に所属する安室透の影があった。サミット当日ではなく事前に起きた爆破事件と、秘密裏に動く安室の謎の行動に違和感を禁じ得ないコナン。その時、現場の証拠品に残された指紋が、かつて警視庁に在籍していた毛利小五郎の指紋と一致してしまう!これは何かの陰謀なのか。小五郎の逮捕を巡って敵対し始めるコナンと安室。果たして謎の存在・安室透は、敵なのか、味方なのか?

 

本作は【犯人を追い詰めるまでの推理パート(前半)】と【犯人の犯行により蘭が危険にさらされてコナンと安室さんが助けるパート(後半)】にざっくり分けられる。

前述した「ちゃんと推理している」というのは、前半パートが創り込まれているという意味。「ちゃんと歴代コナン映画の形式美を守っている」というのは、後半で蘭が危険にさらされて助けるとか派手なアクションをかますとかその手の我々が期待している「やっぱり今回もこの展開か~笑」をしっかりとやり遂げているという意味。

下手にやりたいことをごちゃごちゃに並べずに、潔く物語を2パートに分けて面白さを担保した手腕は流石。

 

私が感動したのはその前半の推理パートに当たるのだが、私でもついていけなくなるような場面がいくつかあったので、子どもにはほぼ無理だろう。一応子ども向けアニメでもあるコナン映画で視聴者が置いていかれてしまうリスクをとってしまうことはマイナスポイントかもしれないが、25歳の私が見る分にはこれぐらいがちょうど良かった。

 

あらすじにある様に、小五郎のおっちゃんが何者かの陰謀で逮捕されてしまうのだが、その背景を読み解き真犯人を暴くために、公安という組織、裁判における裁判所、警察組織、弁護人の立場などを丁寧に物語中で描く必要があるストーリー構成となっている。このそれぞれの立場の相関を整理するのが視聴者にとって難易度が高め。

 

しかしこの部分を乗り越えてしまえば、犯人が何を思って犯行に臨んだのか、各登場人物が何を考えて行動したのかがよくわかり、過去のコナン映画の一部にある「はwwwwなんだその動機www皆何を思って行動してるのか意味不明www」みたいなことにはならずに済む。

特に今作においては、登場人物それぞれが掲げる「正義」の価値観のすれ違いが大きなテーマになっているので、各人物の行動原理をしっかりと説明できないとテーマがお粗末なことになってしまいかねないし、後半の皆が期待しているコナン映画のカッコいいシーンが台無しだ。

要は前半の重たい部分は少々大人向けに寄りすぎた部分はあるけれど、半笑いでコナン映画っぽいアクション・恋愛・決め顔と決め台詞を見届けることにならないためにも、必要不可欠な要素であったと言いたい。

 

激しいアクションと子どもを置き去りにしない仕組みづくり

推理ちゃんとやれよ!とは言ったものの、最近のコナン映画の名物になっている人間離れしたアクションはしっかりと楽しみたいもの。本作のキーパーソンである安室さんが、人間離れしたカーアクションを見せてくれた他、例によってキック力増強シューズと花火型のサッカーボールが射出されるベルトを使ったコナンの「いっけー!!!」もしっかりと見れるので安心してほしい。

なお、いつもの蘭と新一のいちゃらぶもそれなりにあり、しかもコナンと安室さんが窮地にも拘らず恋バナをしてくれるというサービス精神旺盛なシナリオ。蘭をおざなりにせず、安室さんの恋愛観にも踏み込んだ我々の期待するストーリー展開となっている。

 

まぁ私は既に大人になっているので、子どもたちが上記した要素で満足するかはわからないが、最低限作り手が視聴者に子どもがいることを意識していることは伝わってきた(わからんけど、アクションが地味だったらもはや本作は子どもたちが追い手彫りを食らうだけの作品になっていたと思う)。

あとは彼らの年代に最も近い少年探偵団がしっかりと活躍しているのもポイントが高い。多少無理がある設定ではあったが、彼らを自然に物語の中で活躍させていたし、子どもが国家規模の危険を回避するのに一躍かっているという描写はこの映画のキッズにとっても興奮ポイントになるのではないだろうか。

 

原作ファンへのサービスシーンもある

「異次元の狙撃手」から原作に関わるような言及が増えてきたコナン映画。

※「異次元の狙撃手」では赤井秀一のお披露目、 「純黒の悪夢」ではラムの存在をにおわせるストーリー展開。

 

本作においても、ちょっとしたサービスシーンがあった。黒田兵衛という人物がおそらく公安における安室さんの上司にあたり、音声は明確になかったものの安室に対して「バーボン」と言っていると思われる描写があった(口パクの形がバーボンに見える)。

黒田兵衛はラムの特徴を一応押さえており、彼もラムの候補だと言われていたらしいので(原作はしっかり追っていないのでよくわからん)、彼の立場を明らかにさせる重要なワンシーンだったのではないでしょうか。

 

まぁ正直ここらへんはどうでも良いや。とにかく展開が気になるから早く原作完結してほしい。

 

まとめ

来年も立川譲監督の続投を希望する。

ちなみに、来年はキッドがメインの映画です。豪華の向日葵以来ですが、ちゃんと面白い作品になってくれることを期待したいですね。

 

【アベンジャーズ/インフィニティウォー】サノス様が主役(感想:ネタバレだらけ)

cpn.disney.co.jp

 

見てきた。MCUファンなら確実に楽しめる作品。よくまあここまで全員(アントマンとかホークアイとかはお留守番だったけど)活躍させながら、綺麗にまとめたものだ。

いきなりネタバレで感想書きます。ネタバレ怖い人は、回れ右。

後半にオチ部分のネタバレと今後の予想を書いてるから、オチだけ確認したい人はスクロール。

 

サノス、ヴィランの美学

感想で書きたいのはここだけである。サノスが良いヴィランであった、ということだけだ。

本作の主役はアイアンマンでもキャップでもソーでもなく、ヴィランのサノスである。

これは私が「サノスかっけー!!!ヒーローとか目じゃないぜ!!!」と逆張りの視点で考察しているからではなく、公式が意図して彼を中心とした物語として「インフィニティウォー」を制作していると思われる描写がいくつもあるから間違いない。

※この映画はサノスが野望を叶え、満足気に朝日(多分。劇中で朝日と言っていた気がする・・・夕日だったらごめん)を眺めるシーンで終えているし、MCU作品のエンドロール後に必ず表示される次回作をにおわせるメッセージ「xxxは帰ってくる」が本作においては「サノスは帰ってくる」であった。

サノスが抱く正義と、アベンジャーズをはじめとしたマーベルヒーローズの抱く正義のぶつかり合いを描いたのがこの作品であり、サノスの正義が本作(続編では共通の敵が現れてサノスが寝返るか、サノスが敗れるのだろうけど)においては勝ってしまった、というのが本作のオチである。

 

サノスがただのサイコ野郎で「全宇宙の人口を半分にする」という野望に背景がなければ彼はただのヒーローの餌食になる魅力無きヴィランで終わっていたのだが、彼という人物の掘り下げがしっかり行われていたのが本作の一番の魅力。

初代「アベンジャーズ」から存在を匂わせていた大ボスであったこともあり、彼の人物像への期待は長い期間を経てパンパンに膨れ上がっていたのだが、想像をはるかに超える味のある人物として本作で完成していた。

 

特に娘であるガモーラ(ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーシリーズのヒロイン)との関係性がしっかりと描かれていたのが良かった。

GOTGシリーズにおける彼女やドラックスの語り口から「無差別に銀河中で殺戮を繰り返している悪役」としてのイメージが強く根付いているが、サノスは無差別に殺戮することこそが銀河を救うことに繋がり、その殺戮行為に苦痛を伴わせないためにインフィニティストーンを集め一撃で全宇宙の人口を減らそうとしているという信念を持って行動している。大きな野望があってからこその殺戮であり、その行為に対して心を痛めていないというわけではない人間らしさがサノスにはある。

※幼少のガモーラに殺戮の場面を見せないように顔を背けさせたシーンがあったが、幼いガモーラにとってその現場は残酷であるという認識をサノスが持っていたという象徴的なシーンであったと思う。

 

そういった人間らしい一面を覗かせるサノスを劇中で小出しにしていき、クライマックスでサノスがガモーラを愛してたという描写を差し込むのだから卑怯である。

魂のインフィニティストーンを手に入れるには、愛する者を犠牲にする必要があるのだが、サノスは愛する娘であるガモーラを自ら崖から投げ落として石を手に入れた。それも泣きながら、娘に愛を伝えてから。

このシーンから、世界が正しい姿を保つために心を苦しめながらも自らの信じる正義を貫いてきた彼の野心の大きさと本気度がヒシヒシと伝わってくる。そりゃ仲間の一人も犠牲にできなかったヒーロー側の陣営は負けるわな。

※本作ではドクターストレンジがアイアンマンを救うために、時間のインフィニティストーンをサノスに手渡し、ヴィジョンが額に持っているインフィニティストーンをギリギリまで破壊できなかったが故に多くの犠牲を出し、結果サノスの手に渡ってしまった。見事にサノスのやり方の逆を行っている。

 

彼の信念と感情移入できるだけの人間らしさを「インフィニティウォー」で初めて描き、彼をただのヴィランではなくキャップやアイアンマン達と同じように一つの正義の価値観を持ち合わせた人物であるということを印象付けることが出来た。だからこそ、彼はただのヴィランではなく主人公になりえたのだ。

 

なお、彼の圧倒的な強さの描写にも抜け目がない。本作に登場する多くのヒーローがサノスとぶつかり合っているが、ほぼ全員一撃で終了。

宇宙パートでアイアンマン、スパイダーマン、ドクターストレンジ、スターロード、ドラックス、マンティスが作戦を練ってギリギリのところまで彼を追い詰めるが、結果失敗。あのシーンはヒーローサイドの活躍を描くシーンなので、サノス自身の強靭さが全面に押し出されているわけではないが、これだけのスーパーヒーローが束になっても敵わないという意味ではサノスへの絶望感を視聴者に叩きつけた戦闘シーンだったか。

 

特に彼の強さを一発でアピールした冒頭のシーンが好きで、ロキがハルクを頼って窮地を脱しようとするが、純粋な殴り合いでハルクはサノスに敗れてしまう。シリーズを続けてみている人は分かると思うが、戦闘にハルクが現れたら大抵勝ちパターンで、我々視聴者もある種の安心感とハルクの圧倒的な暴力の爽快感を楽しみにしている部分もあるのだ。そのハルクが序盤の序盤で軽く退けられたのだ、サノスの強さが一発で分かる良シーンである。

 

ヒーローサイド、死に過ぎ。

この作品は大量のヒーローを登場させながらも、それぞれにちゃんと見せ場があるのが素晴らしいところだ。また、「ソー×GOTG組」、「アイアンマン×ドクターストレンジ(どちらもプライドが高いのが面白い)」などこれまで関わりのなかったメンバーがガッツリと絡むのがファンとしては嬉しいところ。

特にGOTG組は原作の軽やかなコメディ風のやり取りをどのキャラクターともこなしてくれるので、全体的に重めになりがちな本作のバランサーとして大いに機能していた。GOTGの合流を僕は一番期待していたのだけれど、しっかりと期待通りの動きをしてくれていた。

 

まぁヒーローたちのカッコよさは劇場で見てくれればいい。例によってアイアンマン、そしてソーが本作ではかなり活躍していた。次いでスパイダーマン、ドクターストレンジ、スカーレットだろうか。スターク社の派手な武器を搭載していない地球純粋人間組はどうしても「派手さ」で他のメンツに劣ってしまうのが残念だが、次回作に期待。

 

とは言ったものの、次回作が不安になるほど味方陣営が死んでいって私はビックリした。キャラクター多すぎるから絞ったのかな?

とりあえず、記憶にあるやつのみ書いてみる。映画長いし、抜け漏れあったらごめんね。

 

【サノスに手を下されて死亡】

・ロキ

ヘイムダル

・ガモーラ

・ヴィジョン

 

【インフィニティストーンによって人口半分になった際に消滅】

スパイダーマン

・ドクターストレンジ

・スターロード

・ドラックス

・マンティス

・グルート

・バッキー

ブラックパンサー

・スカーレット

・ファルコン

・ニック(エンドロール後)

・マリア(エンドロール後)

 

といった感じで、多くのヒーローが死亡している。アベンジャーズ4で動かせるメンツを絞ったので、だいぶ次の展開を考えるのが楽になったんじゃないだろうか。今後公開される映画からある程度のアベンジャーズ4の展開が予測できる。

 

初代アベンジャーズの面々は全員生き残っており、シビルウォー後に顔を合わせていないキャップとアイアンマンは本作でも一度も顔合わせをすることはなかったので、続編で彼らが合流することはほぼ確定であろう。また初代アベンジャーズであったような集合シーンが見せてほしい。オマージュを希望する。

 

死んだキャラクターについても、GOTG3作目およびスパイダーマン2作目が決まっているので、おそらく彼らはアベンジャーズ4で生き返るだろう。GOTG組の主要キャラはロケットとネビュラしか生き残っていないので、彼らが復活しないとGOTG3作目の絵面が悲惨だ。スパイダーマンなんて、もはや主役不在になりかねない。

 

また、今後合流する可能性があるヒーローとして、本作のエンドロール後の映像にてニックが消滅する直前に救難信号を送ったキャプテンマーベル、2018年夏に主演映画が公開されるアントマン(ワスプも)が期待できる。

インフィニティウォーでは「自宅謹慎」として話題として上がるだけの参戦となったアントマンだが、あんなに面白いキャラクターを放っておいてはもったいない。おそらく「アントマン&ワスプ」は時系列的にシビルウォーとインフィニティウォーの間だろうけれど(世界の半分が消滅した世界では物語が展開しにく過ぎない?)、エンドロール後とかに次回作への参加を匂わせてくれるはずだ。

 

何はともあれ、本作はサノスを主人公として据えた場合はある意味綺麗に完結しているけれど、ヒーローサイドから見るとあまりにも消化不良なので続編が気になるところ。早く公開してほしい。