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十二大戦対十二大戦 (ちょっとネタバレあり、ざっくり感想)

 

十二大戦対十二大戦 (JUMP j BOOKS)

十二大戦対十二大戦 (JUMP j BOOKS)

 

ようやく続編?の方のこちらも読みました。十二戦士の登場人物は変わらずなのですが、今回は戦士同士の闘いではなく、十二戦士がチームを組み、新登場の「十二戦犯」と闘う十二対十二、計二十四人(双子座の戦犯は二人で一人なので、正確には二十五だけど)のバトルとなっている。

(本作は「子」の能力「ねずみさん」が導き出した一つの可能性の物語。十二戦士が殺しあわず協力して十二戦犯と闘うという立て付けの十二大戦を子の戦士が選んだという立て付け)

 

物語のボリュームとしては「十二大戦」とほぼ変わらないので、試合展開がものすごく早い。次々と戦士が、戦犯が死んでいく。十二大戦で活躍しきなかった戦士が活躍しており、十二大戦で活躍していた戦士が簡単に死んでいくので、十二大戦とは全く違った楽しみ方が出来る。

例えば、十二戦士の中でもダントツで厄介な圧倒的な戦闘力を持つ丑と死者を使役する兎の戦士は序盤真っ先に死亡するので、前作のような死体が動く泥仕合は展開されず、圧倒的なカリスマである丑の戦士も不在のまま絶望的な展開で試合が始まるのだ。

前作で優勝を果たした子の戦士も、すぐに死んでしまう。死に方はなかなか面白かったので、ぜひ読んでほしい。

 

ちなみに本作で活躍するのは、前作、割と早いタイミングで亡くなった「亥」「戌」「酉」の戦士。そして前作から割と優遇されている「申」の戦士。

特に前作キャラクターがあまり掘り下げられずに終わった「亥」「戌」は本作にて最後まで生き残る大出世を果たし、彼らのバックグラウンドや信念まで丁寧に描かれている。「酉」もそこそこ生き残るのだが、死亡に至るまでの経緯が十二大戦に似ていて、別の可能性の世界でも人間性は変わらない面白さが彼女にはあった。

「申」の戦士は戦争がテーマの十二大戦にて、「平和裏に殺す」をモットーとする平和主義者という時点で物語に深みを出させるため活用せざるを得ない優秀な素材であることは確かだ。使わない手はない。本作はある種彼女のお陰でその「戦争」というテーマの深堀が前作以上になされていたと思う。彼女の考えが、一言一言が、戦争と平和についての疑問の投げかけとなっている。

「綺麗事なめんなよ」

十二大戦屈指の名言は、本作においても一番の見せ場で発せらた。

 

ちなみに、本作のオチは「十二戦犯が、今回の十二大戦において何を願ったか」の解明にある。十二戦士には、前作同様「生き残った者の願いを叶える」と伝えられていたが、敵方である十二戦犯の勝利条件および勝利した際のメリットは最後まで分からない。それを申の戦士が探りながら平和的交渉に臨む場面があるのだが、そこら辺がクライマックスで、物語の終わりに十二戦犯が望んだ「願い」が明かされるという構成だ。

まさしく「十二大戦」にふさわしい願いだった。この「願い」が個人的にとても好きで、それゆえに僕は「十二大戦」より「十二大戦十二大戦」の方が好きだ。ただのバトル小説以上の意味合いを持っていると思う。

 

十二大戦で「ただのバトルロワイヤルじゃん」と思った人。ぜひ本作も読んでほしい、きっと別の感想を抱くから。

 

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