【ソラニン 新装版】種田が死んだあとの生活(感想:ネタバレあり)
全然買えなかったんだけど、遂に手元に届いたので読んだ。
「ソラニン」、原作も映画も曲も好き。新装版が発売されたということで、ひっさびさに書籍を購入してしまったよ。
「ソラニン」は話の結末云々じゃなくて、読んでいてその雰囲気を楽しむ作品だと思っているので、「新装版」で新たに追加されている要素について簡単にまとめるぞ。
ハードの話
YSC版ソラニン(右)より一回り大きい。
YSCソラニン2冊分を重ねたよりちょっと厚いぐらい。
紙質柔らかい感じでふにゃふにゃしてるので、持ち運びには向かないかと。
カバーを外すと多摩川?河川敷(作中で何度も出てきた河川敷)の写真が。
新規書下ろしイラスト
話と話の間に新規書下ろしイラストが掲載されている。主要キャラクターの1点ものイラストが複数。バイク、ギター、CDジャケットなどのイラストもある。
ちなみに全部の話と話の間にイラストが入っているわけではなく、作中の風景や舞台を再現した写真も掲載されている。こんな雰囲気だったんだ~ってのが実写で見えるのはちょっと嬉しい。
新規書下ろしイラストは10年ほどの月日が経っていることもあり、かなり画風が変わっている(あとがきに書かれていたが、本人曰く10年前は「下手」だったらしい)。「ソラニン」本編と今のいにおさんが描いたキャラクターを見比べられるので画風の違いが際立つ。
今のいにおさんのほうがキャラクターが丸っこくて優しい感じ。種田とかは一瞬別人に見えた。
YSC版未収録カラー
巻頭に半ページサイズ2枚、見開きサイズ1枚、計3枚のカラーイラストがある。
芽衣子と種田が手を繋いでいるイラスト(半ページ)
楽器やアンプに囲まれて寝転がっている芽衣子、加藤、ビリー(見開き)
種田と芽衣子が暮らしていた部屋にもたれかかるように座っている芽衣子(半ページ)
って内容。
「未収録カラー」となっているので、新規書下ろしではないと思われ、連載当初に描かれたイラストである可能性が高い。僕が見た感じ、最近の画風っぽくはないなとも思った。
YSC版未収録読み切り「はるよこい」
いつ描かれたのか分からないけれど、おそらく「ソラニン」本編よりは後で、完全新作「第29話」よりは前に描かれたと思われる作品。計16ページ。
芽衣子がいなくなった後の部屋に入居する女性と、その彼氏の短編。本編に出てきていた人物とは全く関係ない人々。
第三者が勝手にかつてその部屋に暮らしていた芽衣子と種田の暮らしを想像しているのだけれど、「どこかで普通に暮らしてる」とその女性は結論付けている。種田が死んでから彼を取り巻く人間たちの暮らしは一変したのだけれど、第三者的に見たらそれは特別なことではなく、死んでいようと生きていようと関係ないんだなあとなんだか寂しい気持ちになってしまった。
「第29話」
新作。絵柄は新規書下ろしイラストと同様、ちょっと丸っこい感じになっている。
芽衣子が36歳になって、可愛らしいお姉さんになっている。今のいにお絵柄に彼女の雰囲気がドンピシャでいい感じ。
芽衣子は本編で名前さえ出てなかった男と結婚し、妊娠。
加藤とアイちゃんは今でも仲が続いていると思われる。アイちゃんの指を確認したけど、指輪をしている形跡はなし。結婚しているかは不明。
加藤とビリーは未だにバンド活動をしている。
ビリーはガールズバーの女子大生にハマっているらしく、結婚はしていない。
作中のラストで芽衣子がソラニンの歌詞を思い出すシーンがあるのだけれど、それ以外では種田を匂わせるような描写は一切なかった。芽衣子も種田を思い出しているというわけではなく、ソラニンの歌詞を思い出して「これからも前に進まないといけない」と気持ちを新たにしているだけ。種田はもう完全に過去の人になってしまっている。
あとがきにいにおさんも書いていたけれど、なんだか種田が可哀想だ。
まぁそれでも残された人は生きていかなければいけないし、いつまでも悲しみを引きずっているわけにもいかないのだから、仕方がないんだろうね。
ソラニン本編である人が死んだあとの再生を描き、その後の話(29話、はるよこい)で死の忘却を描いている。本編がドラマチックだったが、その後の話は妙にリアル。オチのつけ方としてはメリハリがついていて最高だと思う、「いつまでも種田を忘れない」なんてフィクションめいた話になっていたらまさしく「蛇足」だったから。
あとがき
見開き1ページのあとがき。
作者は種田が嫌いだったらしい。
その他、種田は自殺だったのか、事故だったのかへの作者なりの解釈が書かれていて面白かった。あれは、種田の願掛けなんじゃないか、といにおさんは言っている。
「渡り切れたら、上手くいく」みたいな。
以上、新装版の新要素および感想でした。
29話がソラニンのオチとしては最高だったので、1600円払って良かったと思っている。
ぜひ、ファンは購入してほしい。
かつてファンだった僕がSHISHAMOをオススメする。
有名になってもう結構経った作品を急に紹介するのがこのブログの特徴です。
SHISHAMOというガールズバンドがあります。
docomoの学割CMでSIHSHAMOおよび「明日も」が取り上げられ、知名度がぐんと上がった印象。
このCMが放映されるまでは、
僕「SHISHAMOが好きなんだよね」
自称音楽好きな女友達「?」
僕「SHISHAMOって知ってる?」
合コンとかで出会う女性達「?」
僕「僕に彼女ができたんだ~♪」
カラオケに一緒に来た友達「いつ彼女出来んの?」
って感じだったから間違いない。ありがとうdocomo。
僕は2014年~2016年にかけてのライトファンだったので、残念ながら「明日も」で有名になってからの彼女らを知らない(好きなバンドへの愛が有名になった途端に冷める、というよくある話を経験するとは思わなかった)。
というわけで昔の曲しか紹介できないけれど、好きだった曲を紹介させてほしい。
その前に、どんな感じで好きだったかという雑談を挟むので、興味ない人はスキップしよう。
SHISHAMOを好きになってから離脱するまで。
とりあえず、僕がSHISHAMOを好きになった経緯を紹介する。
①ライブハウスでよく配られる冊子に、「SHISHAMO」が紹介されていて、名前のインパクトから興味を持つ。
SHISHAMOって名前のガールズバンドがいたら、とりあえずググるでしょう?
名前って大事だよね。
結構色んなライブに行くのだけれど、ライブハウスで配られた冊子経由でバンドのファンになるのはこれが最初で最後だった。
②SHISHAMO ワンマンツアー2014 秋「君ときみの彼氏と転校した彼女の日曜日のデートプラン」参戦(@恵比寿LIQUIDROOM)
この時点ではアルバムの「SHISHAMO」と「卒業制作」しか聞いてなかったので、知らなかった曲も多数。今セトリ確認してみたけど、どうやら「デートプラン」とかは当時はリリースされてなかった新曲として公開されていたっぽい(SHISHAMO2に収録さされた曲だからね)。
客層は男女半々かちょっと男性が多かったぐらいだった気がする。
ベース松岡ちゃんが可愛くて震えた。当時のキラーチューン「僕に彼女ができたんだ」で激しいモッシュが起きて、「ははぁ、こういうバンドなんだ」と理解。
③2015年夏、「SHISHAMO NO YAON!!!」参戦。
その頃にはどっぷりハマっていたので、「SHISHAMO2」も聞き込み、ちゃんと演奏された曲は全部理解できていた。この時もまだ、男女半々ぐらいだった気がする。
確か2014年のツアーでは来場してきた人の調査はやっていなかった気がするけれど、少なくともこの野音からは会場の属性調査(男子返事して~女子返事して~高校生返事して~みたいなやつだ)が行われるようになっていた。
なお、どうでも良い余談だがこの日僕は合コンの1次会をすっぽかし、ライブに参戦してから2次会だけ参加するという暴挙に出た(もちろん事前の合意の上)。
僕「SIHSAMOのライブ行ってた」
皆「何それ?とりあえず歌ってよ」
僕「僕に彼女ができたんだ~」
友達「いつ彼女できんの?」
が炸裂したのはこの時である。まだまだ知名度が低かった。
④2016年冬、「SHISHAMO NO BUDOKAN!!!」参戦。
初めて友人(男友達2名)を誘って参加した武道館ライブ。
このPV見せたら一発で食いついた。ちょろいぜ男子たち。
この頃から多分ホールでのライブが多くなってきて、演出に力を入れ始めたんだと思っている。
「君と夏フェス」のPVに出演していると思われる女の子が好きな男の子を誘って「SHISHAMO NO BUDOKAN!!!」に参加する、といったショートドラマがライブ開演前に流れる。
武道館の会場に向かう女の子をカメラが追っていて、武道館の会場の後ろからその女の子とカメラが入ってくる、という手の込んだオチ。録画されたものかと思ったら、途中ぐらいから「LIVE」だったってことだね。
もはやこの頃には、学生(女子多め)が圧倒的多数を占めており、社会人となってしまっていた僕はマイナーな観客となってしまっていた。この頃から、気持ちが離れ気味になっていく。
⑤ワンマンツアー2016春「少女達が恋心に気付いたのは、宇宙からの旅がえり」@神奈川県民ホール 大ホール (神奈川県)
最後のライブ参戦。独りで参戦したのが間違いだった。
もはや周りには学生(主に女子)しかおらず、松岡ちゃんが鉄琴?木琴?を叩くたびに「かわいい~~!!!」という黄色い歓声が辺りが包まれる。周りに社会人一人で参加しているお兄さんがいないものかと探りを入れるが、もう周りは若い女子、女子、女子。没入感より、浮いている自分の自意識が勝ってしまい、SHISHAMOから離れることになる。
しかし宇宙篇、地球篇とドラマ仕立てになっている上に横浜で撮影したと思われる彼女らの映像を見ているのは楽しく、純粋に演奏だけで魅せるのではなくホールならではのエンターテイメントとしてライブを完成させているセンスには感服した。
ボーカルギターの宮崎ちゃんが歌も書けて絵も描ける芸術肌であることが、そういうライブ演出づくりにプラスに働いているのだと思う。
まぁ、長々と書いたが要は「有名になって彼女らが悪くなった」のではなく、「有名になることで本来受けるであろう客層の人気が集まり、マイナーな私がはじき出された」結果、ファンであることを辞めたのだ。
でも、今でも昔の曲は時々聞いている。嫌いになったのではなく、ライブに行かなくなっただけなのだ。
オススメ5曲
というわけで、アルバムは「SHISHAMO3」、シングルは「君とゲレンデ」が最後に訊いた円盤であるこの私が好きなSHISHAMOの曲を紹介しよう。
①僕に彼女ができたんだ
アルバム「SHISHAMO」に収録。
今ちらっと見たが、オフィシャルが公開しているPVの中では3番目の再生回数みたい。
(明日も⇒君と夏フェス⇒という順番)
迸る童貞感を可愛らしいボーカルで歌い上げている一曲。「初心な男の子も可愛いよね」と全国の女子がこの曲を通じて思ってくれると、世の中の男子が大喜びするのではないだろうか。
ライブで乗りやすい適度なリズム感。PVでも手拍子とかしちゃってるし、僕が最初に参加したライブでもこの曲が一番盛り上がっていた。
有名な曲だけど、好きになったきっかけの曲だからまずはこれから紹介した。ちなみに、この曲のアンサーソング的な存在なのが「僕、実は」である。
「僕に彼女ができたんだ」でウキウキだった「僕」は、彼女を友人に寝取られてしまっている。その様子を寝取った友人目線で描いているのが「僕、実は。
PVの構図が似ているのだが、「僕、実は」はモノクロで撮影されているのが面白い。ブラックである。
②デートプラン
アルバム「SHISHAMO2」に収録。僕が一番好きな曲。
年上と思われる大人な男性とデートするまでの高揚感を歌っている一曲。歌詞が抜群に可愛らしく、年頃の女の子が抱く等身大の恋愛の悩みという感じがしてとても好き。
無理な靴で身長を高くして男性に近付こうとしている女の子とか可愛すぎるよな。朝子ちゃんのボーカルにとてもマッチしていて良い。
なお、この曲ベースで始まるのだけれど、いつぞやのライブで松岡ちゃんが「いきまーす」って照れ笑いしながら言ってからベース弾き始めたときは倒れるかと思った。可愛すぎて。
③生きるガール
シングル「熱帯夜」およびアルバム「SHISHAMO3」に収録。
失恋してもあなたがいなくても生きてきますよ、と前を向こうとしていく女の子の曲。
僕が知っている限りでSHISHAMOソングの中でも一番疾走感があり爽やかな曲だと思う。
④恋する
アルバム「SHISHAMO」に収録。6:12と僕が知っているSHISHAMO曲の中で最長。大抵6分上回ると、ショート版の方が良いとかCメロがいらないという議論が巻き起こるのだけれど、2番終わるまでアップテンポで続いていき、Cメロからサビまでのつなぎで抑揚を作り、サビを繰り返しながら最後に盛り上がっていく構成となっていて隙がない。何度も聞いても飽きない。
「友達以上恋人未満」的なドキドキを詰め込んだ一曲。好みじゃないはずじゃない男の子を好きになっちゃった女の子の話。
SHISHAMOの曲は全体的にストーリー性があってきゅんきゅんできるのが良いよね。
⑤お菓子作り
アルバム「卒業制作」収録。2:05、こちらは僕が知っているSHISHAMOソングの中で最短の曲。
好きな人のためにお菓子を作るだけの曲。朝子ちゃんが書く詞は「手放しで恋愛楽しんでいます!」的な曲はかなり少なく、「好きだけど実際はこうだよね、」的な葛藤がどこかしらに含まれていて、全体を絞めている。
が、「お菓子作り」は影一つない手放しで恋愛楽しんじゃってる感じ。コーラスが楽しそうで、僕が女の子だったらライブで叫びたくなっちゃうようなサビも素敵。
あなたのために\クッキングー/
アルバム1枚に1曲はお気に入りの曲があるというバランスの良い紹介になったので、ここらへんで辞めておく。
僕はそのバンドがメジャーかどうかの判断を「図書館にアルバムが置かれているか」で判断しているのだけれど、SHISHAMOの最新のアルバム「SHISHAMO4」はちゃんと置かれているので彼女らは立派に羽ばたいていると判断して良さそうだ。
「SHISHAMO4」を聴いたら、この記事に追記します。
【アトミックブロンド】ちょっと理解が追い付かないけど、アクション見てるだけで楽しい(感想:ネタバレあり)
見てこの予告編。
すげーカッコいいでしょ?
僕、こういう音楽とアクションがマッチしてる感じの映像大好きなんだよね。
Queen - Killer Queen (Top Of The Pops, 1974)
「Killer Queen」使っちゃうのはマジで卑怯。
↑これもそういう映画だった。
というわけで「アトミックブロンド」を見てきた。
しかしだね、残念ながら本編では一度も「KIller Queen」流れないんだよ。
予告最高にかっこよかったから期待してたのになあ。
まぁそれでも決してつまらない作品ではなかったということで、感想を書いていくよ。
あらすじ(まだネタバレなし)
TOHOシネマズのあらすじから引用。
世界を揺るがす最高機密のリストが消えた。イギリスの諜報機関MI6きってのスパイ、ロレーン・ブロートンはリストの奪還を命じられる。しかし、世界中のスパイがリストを狙っていた・・・。
ちょっとあっさりし過ぎじゃないですかね?公開劇場が少ないからといって。
もう少し補足すると、
◇現代ではなく、ベルリンの壁崩壊直前直後の話。部隊は東ベルリンと西ベルリン
◇ローレンはジェームズ・マカヴォイ演じるパーシヴァルとペアを組む
◇ミッションは最高機密のリストの奪還および、MI6の二重スパイのサッチェルを見つけること。
まぁこんな感じですわ。基本的にはアクションと「誰が悪役か?」という疑心暗鬼を楽しむ映画ですわね。
流石にアクションの迫力はすごい
シャーリーズ・セロンが敵を次々と殺害するシーンが結構続くのだけれど、決してスタイリッシュではなく、マジモンの喧嘩を見ているような肉弾戦が多い。
スタイリッシュな殺戮の典型例は「ジョン・ウィック」シリーズね。あぁゆう感じで爽快感のある殺しでは決してないってこと。
特に中盤のアクションシーンはすごくて、血みどろになりながらそこら中に落ちている家具やとりあえず堅そうなもので敵の急所を力任せに殴りつけるようなシーンが続く。銃で的確に次々と敵を殺していくというよりは、肉弾戦が多いし、一撃で敵が沈むこともあまりないから戦闘にスピード感があるとは言い難い。
何というかあんなにクールな予告編なのに、本編は泥臭く結構地道に一人一人を処理していくのだ。「生々しい」という表現がふさわしい。
女性なのに、いや女性だからこそ、血みどろの殴り合いによる殺戮が映えるのだろう。普段見れない、女性がとてもリアルな喧嘩に興じているような変な高揚感を覚えた。
映画『アトミック・ブロンド』特別予告 "Sweet Dreams"
この映像のしょっぱな、すげー血だらけのシャーリーズセロンが映っているが、これはその血みどろな戦闘の直後の姿である。
展開が追いかけにくい(まだネタバレじゃない)
僕が人の名前覚えるのが得意じゃないこともあるが、結構話の展開は追いにくい。頭空っぽにして見ていると、展開に追いつけなくなるパターンの映画だ。
ローレンが任務後に取り調べのようなものを受けながら、過去を回想していく感じで物語は進行するのだけれど、その行き来が結構多い上に、回想部分も各シーンのつながりが分かりにくいので、結構話を追うのに苦労した。
結局サッチェルは誰なのかも物語の終盤で分かるのだが、物語の経過を見ながら誰かな・・・?と推理することは叶わず、「あぁこの人ね」と何の積み重ねもなく急に黒幕が判明したって感じだった。
まぁこれは人によるのかもしれない。僕は少なくとも、話の展開が理解しにくかったよというだけで。
ジェームズ・マカヴォイが最高にかっこいい(ここからネタバレ)
ヒロインローレンと組むパーシヴァルを演じたジェームズ・マカヴォイ。結構本作では見せ場が多いのだけれど、彼がすげーカッコいい。アクションをたくさんこなすでもなく、淡々とローレンを追い詰めていく役なんだけれど、彼のカリスマ感がすごかった。軽く適当な装いだが(ローレン曰く、無能に見せかけている)、最後までローレンの一歩先を行く名悪役だったと思う。
彼はベルリンという街をよく知っている人間であり、スパイとして人を騙し、そして騙されるということをゲームとして受け入れている。結果的に彼はローレンに殺害されるのだが、その場面での彼の独白、そして最後の「この街を愛している」という一言が最高に痺れた。
オチは?(ガッツリネタバレ)
サッチェル=ローレン。
ローレンはパーシヴァルをサッチェルに仕立て上げ、リストは手に入れることが出来なかったと言ってベルリンより帰還。
しかし、当然ローレンは殺害したパーシヴァルからリストを奪っていて、KGB(ロシア連邦保安庁)へサッチェルとしてそのリストを渡しに行く。
しかしサッチェルも裏の顔。KGBの面々を殺害。彼女はMI6の人間でも、KGBの人間でもなく、CIAのスパイつまり三重スパイをしていたのさ。
って感じ。まぁサッチェルがローレンであることは途中ぐらいから勘付く内容ではあったものの、CIAのスパイというのは気が付かなかったな。冒頭からローレンの取調室にCIAの人間もいたから、気付いても良かったようなものだけれども。
まとめ
シャーリーズ・セロンがマジモンの殺しみたいなアクションをしているのが最大の見どころで、ついでにジェームズ・マカヴォイがカッコいい。見ているだけで幸せ系映画の典型。まーこれは家でDVDで見るのが気楽でいいかもしれない。
【ブレードランナー2049】ブレードランナーを見てなくても楽しめる(感想:ネタバレなし)
実は私、SF物はあまり得意ではない。「ブレードランナー」のような設定が凝っていて舞台背景をよく知っていないと「???」という作品は特に。
それでも、「ブレードランナー2049」の前作にあたる「ブレードランナー」はSF映画の名作と言われているので、映画好きを公言しているからには見ないととダメでしょうということでDVDで鑑賞済み。で、「2049」の方も友人に誘われたから見に行ってみようということで・・・。
見てきました。
しかも新宿TOHOシネマズのMX4Dで見てきてしまいました。
せっかくなので、その感想も含めて書いていきたいと。「シンゴジラ」がMX4Dのデビューだったんだけど、「ブレードランナー2049」の方が、MX4Dのクオリティは高かったなあ。
ちなみに、「ブレードランナー2049」僕は解説が出来るほど詳しくないので、ネタバレはなしのオススメ記事として書かせていただきますね。
そもそも、どんな映画か。
TOHOシネマズのあらすじから引用。
2049年、貧困と病気が蔓延するカリフォルニア。人間と見分けのつかない《レプリカント》が労働力として製造され、人間社会と危うい共存関係を保っていた。危険な《レプリカント》を取り締まる捜査官は《ブレードランナー》と呼ばれ、2つの社会の均衡と秩序を守っていた―。LA市警のブレードランナー“K”は、ある事件の捜査中に、《レプリカント》開発に力を注ぐウォレス社の【巨大な陰謀】を知ると共に、その闇を暴く鍵となる男にたどり着く。彼は、かつて優秀なブレードランナーとして活躍していたが、ある女性レプリカントと共に忽然と姿を消し、30年間行方不明になっていた男、デッガードだった。
うーんまさしくSFって感じ。
ちなみに、初代「ブレードランナー 」の主人公がデッガード。前作の主人公が登場する、ファンとしては熱い展開だね。
ちなみに僕は「ブレードランナー」を見たんだけど、内容ほとんど覚えてない状態で「2049」を鑑賞。それでも十分楽しめたから、初代をよく覚えていない人も安心して見に行ってほしい。
しかし、当然「ブレードランナー」初代の内容は分かっていたほうが楽しめるので、時間がない人はwikiのあらすじを見てから劇場に足を運ぼう。
没入感ある「未来の世界」が楽しい
2049年の世界を描く本作。ストーリーの面白さはこの後書くので、まずは魅力が伝わりやすいところから。
SF作品といったら僕はスターウォーズやスタートレックを思い出すんだけど、僕はそれらを見るとき、どうしても「フィクションでしょ」と思ってしまう。ハリーポッターやロードオブザリングを見ているときと、全く同じ気持ちで見ているのだ。
これはただの僕の私的な考え方であり、暴論である。でも、なんとなく分かってくれる人もいると思う。
「自らの生きる世界とは、全く違った世界の話。」
多くのSF作品を見るとき、僕はそんな気持ちで見ている。
ジャンルがどうこうの話はどうでもいい。なぜこんな話をしたのかというと、「ブレードランナー2049」は「本当に2049年になったらこんな世界になるんじゃないか」と視聴者に思わせる力がすごいということを言いたかったからだ。
自分たちとは違う世界というよりは、自分たちが生きる世界の延長線上にあるリアルな未来を見ている感覚。
本作は2時間44分もある長編で、話が複雑なのでかなり敷居は高い方だと思うが、何も考えずに映像を見ているだけでも、未来の地球を見ているようで楽しいというのはかなり見ている側としては励みとなった。世界観が作り込まれていて、没入出来たからこそ難しいストーリーが理解できたとも言える。
抽象的な話だけしてても仕方がないので、物語の本筋に関わらないところで感心したところを書いておくと
◇主人公のKの恋人が、リアルなホログラムっぽい人工知能
◇保存用のメディアが球体のガラスっぽい素材で出来ている
◇女性の爪装飾を溶接で行う
・・・結構どうでもいいことばっかりだったな。Kの恋人は本作で結構活躍するからどうでも良くはないんだけど。
でも、こういうどうでもいいような日常的なワンシーンに、「あ、これあり得そう」が散在しているのが楽しいわけだ。荒廃的な街の雰囲気も近未来的でみているだけで刺激的。
こういう世界観に浸れるだけってだけでも、まぁ楽しむことが出来たってわけだ。
思ったよりもドンパチ主体ではない。
派手な銃撃戦や激しい肉弾戦が繰り広げられる作品を想像していたのだけれど、予想と異なり本作は本格的なミステリー映画(=主人公が謎を解き明かすことを目的とした映画)であった。
ネタバレ一切なしなので、あまり詳しくは語れないが、カギを握る人物を探るうえで、主人公の出自や前作主人公デッガードとの関係性の謎など、一つ物語が進展する度に新たな謎が生まれ、観客へのミスリードを華麗に仕向け、結果的に「こういうことかよ!」と膝を打つ感じのオチとなっている。
よくあるスパイものやアクションもののように主人公がドンパチをして敵をなぎ倒すという内容ではなく、ミステリものが好きな人が楽しめる頭を使う映画だということだ。
そういうジャンルが好きな人には、ハマる映画かもしれない。
倫理観が問われる
人造人間を労働力として使っている世界観。その中で、「生命とは何か」を問うようなやり取りが散在する。人間、レプリカント、そして生き物ではない人工知能も主要人物がいる中、様々な人物が社会や人間の在り方についてそれぞれの哲学を持っている。
僕は頭が悪いので、先の展開の予想ばかりしていてこのような哲学的なやり取りは結構流してしまっていたのだけれど、割と良いこと言ってた気がするので、そういう雰囲気が好きな人はぜひ注目。
個人的には人工知能に対して、人造人間が「あなたは空っぽ」というシーンがグッと来たな。人間同様に思考する人工知能と、人造人間って何が違うんだろう?と心に引っかかっている。
しかし、2時間44分は長すぎる。MX4Dはありがたかった。
全体的に面白かったが、流石に2h44mは長すぎだ。途中で退屈する場面もいくらかあった。画も悪くない、脚本も面白いということで、退屈しにくいクオリティをおおよそ保てていたからよかったものの、もう少し短くまとめることは出来なかったのかとは何度も思い返す。
私は4DMXで本作を見たのだけれど、あの様々なギミックは退屈をしのぐうえで大いに貢献してくれたので、本作に限っては4DMXで見れてよかったと思っている。
例えば
◇煙が立つシーンでは、スクリーンの前に実際に煙が立つ。
◇シャワーが出るシーンで、顔面目掛けて水しぶきが飛んでくる。
◇ウィスキーを注ぐシーン、花を手に取るシーンで、ウィスキーや花の匂いがする。
◇偵察用ドローンの動きに合わせて座席が動く
などなど。
シンゴジラでは椅子が揺れるとか左右のライトがちかちかするぐらいだった気がするけれど、「ブレードランナー2049」はMX4Dの機能を存分に活かしきっていた。
まだ公開しているかわからないけれど、4DMXで見れる劇場があるならぜひ足を運んでみてほしい。ちなみに、通常料金+1600円。結構高いが、それだけの価値はある。
まとめ
「ブレードランナーってSF」という先入観を投げ捨てて見に行くと、結構楽しめる。しかし、長い。とにかく長い。長時間の視聴に耐えきれる人ならば、おおむね満足感は得られる作品でしょう。
余談だけど、「ブレードランナー」の原作って「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」なんだね。読書も好きで調べてるとよく「読むべき名作」として挙げられている作品だと思ってたけど、まさか「ブレードランナー」の原作だとは思わなかったよ。
【マイティ・ソー バトルロイヤル】戦闘もギャグもこなせるハルク(ネタバレあり)
見てきました。マーベルシリーズはやっぱり劇場で見ないとね。
今作でマイティ・ソーシリーズは完結と言われているのだけれど、集大成としてふさわしい作品だった。
他のMCU(マーベルシネマティックユニバース=アベンジャーズに出てくるヒーロー達の作品群。世界観を共有している)作品と比べて、マイティ・ソーシリーズは①登場人物の戦闘力の格が違うからスケールが大きくなりがちで、②基本シリアスだけど笑えるシーンが散在しているのが特徴だと思うのだけれど、「バトルロイヤル」もその特徴をしっかりと受け継いだ作品だったぞ。受け継いだ、というよりは過去2作よりもコメディ色をぐんと濃くした感じかな。
あらすじ(ネタバレなし)
以下、マーベルの公式から抜粋。
復讐に燃える最強の“死の女神”ヘラ VS. マイティ・ソー率いる型破りのチーム“リベンジャーズ”
誰にも止められない!限界突破のバトル・アクション・エンターテイメント。今、新『アベンジャーズ』へのカウントダウンが始まる!
アベンジャーズの一員ソーの前に<死の女神・ヘラ>が現れた。
復讐と野望に燃えるヘラは、ソーの故郷へ攻撃をはじめる。故郷を奪われたソーは、この最強の敵を倒すため盟友ハルク、宿敵ロキらと型破りのチーム“リベンジャーズ”を組み極限バトルに挑む。 果たして、ソーたちは史上最強の敵からこの世界を守ることができるのか?
死の女神・ヘラの復讐の目的は!?そこには、ソーの運命を変える秘密が隠されていたー。
新『アベンジャーズ』へのカウントダウンが始まる!
こんな感じである。
このあらすじが「あらすじ」として機能しているかどうかで、この作品を見て楽しめるかどうかが分かる優秀な内容となっている。
MCUシリーズを見てきた人は、ピンとくる。
見たことない人はピンとこない。
要は何が言いたいかというと、ソーシリーズの3作目でありながら、MCU系列の1端を担っている作品ということで、MCUシリーズを見ていないと内容を理解するのは厳しい。
なんとなく友達に誘われて見に行くのはお勧めしない。雰囲気で楽しめるかもしれないが、小ネタ等は一切楽しめない。そしてMCU作品の魅力は「分かる人には分かる小ネタ」にあるので(特にコメディ要素が強い作品においては)、知らないとただの凡作以下に成り下がってしまう可能性が大いにあるのだ。
少なくとも、以下4作は見ておいた方が良いと思われる。
・マイティーソーシリーズ2作
・アベンジャーズ エイジオブウルトロン
しかも「アベンジャーズ」は登場人物たちが主人公になっている作品(アイアンマンとかキャプテンアメリカとか)を見ていないと楽しめない内容となっているので、結果的には見なければいけない作品はどんと膨れ上がる。
マーベル・シネマティック・ユニバース - Wikipedia
作品は上記URL参照。
というわけで、20作近くに膨れ上がったMCU作品を見る気力がない人は、回れ右という感じだ。
大まかな流れ(以下ネタバレ)
①地獄っぽいところでソーと炎の巨人サーターが闘う。サーターは永遠の炎と彼が頭にくっつけている兜によって、ソーの故郷「アスガルド」にラグナロク(=原題のサブタイトルだね)を起こすことが出来るとのこと。そんなことはさせないぜ、とソーはサーターを撃破し、兜をアスガルドに持って帰る。
Marvel 映画「ソー バトルロイヤル」日本版予告 (原題: ソー ラグナロク)
0:10までが、映画の冒頭シーン。その後現れるのはヘラではなく、サーター。
②ソー母国に帰還。弟のロキが国王オーディンに化けているのを(=前作ダークワールドを参照)、看破。ソーとロキはオーディンを迎えに地球に。
③ドクターストレンジの手ほどきで、オーディンと再会。オーディンの寿命がその場で尽き、同時に彼が封印していたソーとロキの姉「ヘラ」が復活し、その場に現れる。応戦するが、ムジョルニア(ソーのハンマー)を破壊され、ソーとロキは宇宙の果てに吹っ飛ばされ、ヘラはアスガルドに帰還。
④ソーとロキはグランドマスター(ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーに出てたコレクターと瓜二つ)が支配する星サカールに到着。ソーは賞金稼ぎのヴァルキリーに捕まり、闘技場で闘うことを強いられる。グランドマスターお気に入りの最強の戦士と闘い、勝ったら解放するという条件のもと、いざ闘技場へ。
⑤ソー、ハルク(=闘技場の最強の戦士でした)と再会。ハルクは理性を失っているので、普通に戦闘開始。ソーが雷神として覚醒し、ハルクに勝利しかけるが、グランドマスターの邪魔が入り、結果的にハルクが勝利。
1:26ぐらいの目が光ってビリビリしてるシーンが、ソーが雷神として覚醒している状態(このシーンはハルクと闘っているときのシーンではないけど)。一瞬覚醒しただけなので、本格的に力を使いこなすのはこの後ヘラと再戦したとき。
⑥闘技場での戦闘後、ソーとハルクは意気投合。ハルクが乗っていたクインジェット(アベンジャーズエイジオブウルトロンのラストでハルクが乗っていたクインジェットが、サカールに辿り着いたらしい)でアスガルドへの帰還を企てるが、ハルクが暴走して失敗。この際、クインジェットで流れたブラックウィドウの映像で、ハルクはブルース(人間状態)に戻る。
⑦ソーとブルース、そしてかつてアスガルドの戦士だったヴァルキリー、ロキは協力して、グランドマスターの宇宙船を奪い取り、アスガルドへの帰還を再度試みる。ロキはお得意の裏切りをソーに看破され、サカールに残ることになるが、ソー・ブルース・ヴァルキリーは無事アスガルドへ帰還。
⑧ソーとヘラ再戦。ソーは右目をつぶされる。
⑨アスガルドの民を逃がそうとしているヘイムダルとブルース、ヴァルキリーが合流。ヘラの猛犬と兵に囲まれ絶体絶命となるが、ブルースが再度ハルクに覚醒し、ロキがサカールで闘技場に幽閉されていた戦士たちを率いて登場。形勢逆転。
⑩ついでにソーも雷神として覚醒。しかしヘラはピンピンしていて、勝てないと判断。ソーはロキに指示をし、永遠の炎と兜でサーターを復活させる。結果、ラグナロクが起きてアスガルドはヘラごと消滅。ソー、ロキ、ヴァルキリー、ハルク、ヘイムダル、アスガルドの民、サカールの闘技場にいた反乱兵たちを乗せた宇宙船は、地球に向かうことに。
↑ここで本編エンド。
⑪エンドロール中、ソーを乗せた宇宙船が、何十倍もある巨大な宇宙船に進路を阻まれる映像が流れる。
↑おそらくここから、アベンジャーズインフィニティウォーに繋がるのだろう。ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーとソーが合流するんじゃないかな。
以上、粗々だけど、全編の流れはこんな感じである。
ここで1点気になったのは、ブルースの行方について。
「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ MovieNEX」ソーとブルース・バナー=ハルク
本作「バトルロイヤル」では、ハルクはエイジオブウルトロンのラストに乗っていたクインジェットでそのまま宇宙に来たことになっているが、この映像ではシビルウォーが開戦される前に、ブルースにトニーから連絡が入っていることになっている。
これって矛盾してないか?何か僕が見落としていることがあるのだとしたら教えてほしい。
本作の魅力① ハルクコント
思考能力が極端に落ちたハルクを中心とし、笑えるシーンが散在。
ちゃんと面白いと認識するために、過去作を振り返ってから見る様にしよう。
例えば
1. ハルクへのトラウマがすごいロキ
ソーとハルクが闘うシーンでは、ロキは観客席にいるのだけれど、ハルクが登場した瞬間のリアクションがまず面白い。ヘラを目の前にしてもあくまでも冷静だったのに、ハルクを遠目に確認しただけで異様なまでに震えあがるロキ。
「アベンジャーズ」でハルクに散々床にたたきつけられ、ボロ雑巾のようになってしまった哀れなロキを覚えているだろうか。
闘技場でソーとハルクが闘ったときに、そのシーンがソーとハルクによって再現されているのだけれど、その時のロキの喜び方がまた面白い。
思い知ったか!!!とか言ってた気がする。
2. ブラックウィドウとのやり取りを弄るソー
「アベンジャーズ エイジオブウルトロン」では、ハルクの暴走を宥める役としてブラックウィドウが活躍。彼らの関係性にも進展がみられ、「バトルロイヤル」でハルクの暴走を止めたのもブラックウィドウの映像であったが・・・。
「エイジオブウルトロン」でブラックウィドウがハルクを宥めるときに「日が沈む」とセリフを投げかけていたのだけれど、「バトルロイヤル」では執拗なまでにソーがブルースに対してそのセリフを繰り返す。
理性を取り戻したら異星にいたブルースは当然不安になっているのだけれど、その様子を見て何度も何度も「日が沈む日が沈む」とソーが神妙な面持ちで宥めようとしている過去作の感動を踏みにじる容赦ないネタ。
「バトルロイヤル」、間違いなく意欲作である。
3.自称最強のソーと、他称最強のハルク
我らが最高の皮肉屋トニースタークが本作でも活躍。クインジェットも当然スターク製なわけだが、クインジェット曰く「最強アベンジャーズ」はハルクで、ソーは「サーファーくん」とのこと。
「最強アベンジャーズ」と自称し、クインジェットに自らを認証させようとしたソーがトニーの前に崩れ落ちた瞬間だった。
本作の魅力② 王として覚醒するソー
アスガルドは場所ではなく民であるという決断をし、サーターを使ってアスガルドの地ごとヘラを葬ったソー。父であり国王であるオーディンを失い、圧倒的な敗北を経験した結果、王としての自覚に芽生えたソーは間違いなく本作ぶっちぎりのヒーローであった(見せ場はハルクの方が多かった気がするけどね)。
ロン毛を狩り、短髪にしたのもナイスイメチェンだし、右目を黒色の眼帯で保護した姿も「宇宙船の船長」っぽくていい。
インフィニティウォーに向けて、「頭悪いパワー系面白キャラ」であったソーの「ヒーローらしいカッコよさ」を伸ばすことに成功した作品だったと思う。
画面映えするハンマーによる戦闘が失われてしまったのは残念だが、雷を放出しながら生身の身体で敵を薙ぎ払うアクションも派手で見てて退屈はしないし、戦闘力もハルクと同等かそれ以上になったのではないだろうか。
本作の魅力③ いつも通りのロキ
語るまでもあるまいが、憎めない悪役キャラが板につきすぎていて、作品を固める名わき役になっている。
本編で実の兄であるソーにも言われているが、「心を許したら裏切る」⇒「裏切ったと思ったら、ピンチのところで助けに来る」というテンプレート通りの活躍をしてくれるロキ。作品を重ねるにつれて登場人物のキャラクターは少なからず変わっていくものだが、ロキについては本当にいつも通りで見ているこちらとしては安心する。
なお、アスガルドで保管されていたキューブをロキはおそらく持ち出しています。今後も愛すべき悪役として活躍が期待されますね。
その他ちょいネタ
エンドロール後の映像について
巨大な宇宙船に行く手を阻まれる映像については前述したが、その後にも映像が流れる。
サカールで革命を起こされ、王から堕ちたグランドマスターの映像。
まぁ、本編には関係ない笑い系のオチがついた感じ。
マットデイモン
アスガルドでロキを讃える劇が公開されるシーンがあるんだけど、そこにマットデイモンが出てる。まさかとは思ったが、帰って来てググったらそうだった。
ラブロマンスの消失
マイティーソーシリーズ2作目まではちゃんとヒロインがいたが、本作では破局してます。パンピーに指摘されて大人な切り返しをするソー。
コメディとカッコいい戦闘に振り切り、余計な要素を切り落としたのは、作品のクオリティ担保という意味で素晴らしい判断だと思う。よく別れた。
浅野忠信
ヘラに虐殺されるが、それなりに見どころがあった。やったぜ、日本人。
移民の歌
予告で流れていたのだけれど、戦闘シーンで流れてかなりマッチしていた。
音楽の使い方が上手いと映像の見栄えがかなり違ってくる。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズは劇中曲のセンスがずば抜けているが、それに準ずるセンスの良さ。
実際アスガルドの民は「移民」になったわけで、戦闘の賑やかしだけじゃなくてその裏にある意味合いも合致している。考え抜かれてるねえ。
まとめ
マイティーソーシリーズらしいコメディと戦闘映えを極限まで高めてぶっぱしたファンのための作品。思考停止で楽しめる良作でした。
見逃した昔の映画を映画館で観たいなら3選
映画を見ることが好きだが、パソコンやテレビで見るよりはやはり映画館で見たほうが作品に没入できる。外界の刺激をすべてそぎ落とし、映画と私だけの世界を作り出してくれる映画館が好きだ。
しかし最近は忙しくなってしまい、公開中の映画を全て拾い上げるのは難しくなってきた。「気になっていたけれど、上映が終わってしまった」なんてこともしばしば。
だから、私は定期的に、昔公開していた映画を上映している映画館のスケジュールを確認するようにしている。「あれ、映画館で見たかったなー」という作品があったら、見に行くという算段だ。
というわけで、私が利用したことのある「昔の映画を公開している映画館」を紹介する。
キネカ大森
「見逃した映画」系シネマとしては最強のラインナップを取りそろえる優秀な映画館。
<名画座2本立て>というシリーズで、既にDVDレンタル店に並んでいるような作品を1週限定で2本公開。ちなみに翌週には別の2作品が1週間公開されるので、毎週のように別の作品を楽しむことが出来る。
普通に公開している作品も、「既に劇場公開は終わりつつあるけれど、DVDレンタル店には並んでいない」といった作品が多い。例えば「三度目の殺人」や「ダンケルク」が11月4日~公開される、といったように(前者は3週間、後者は2週間公開なので期間は少々短めだが)。
ちなみに、<名画座2本立て>の方はいつでも一般1300円で見れるし、普通の映画を見る分にも、メンバーズカードを持っていればいつでも1300円で見れる(キネカ大森はテアトルシネマグループです)。
テアトルシネマグループのカードは以下の参照。
なお、私は存在を知らなかったが、名画座キネカードと呼ばれる会員サービスもあるらしい。3000円で購入し、3回名画座を見れるとのこと。しかも3回見終えた後は、6か月間の間ならばいつでも1000円で見れるようになり、さらに5回見るごとに1回鑑賞が無料になる。とてもお得だ。
小さい映画館ではありがちなことだが、席のオンライン予約が出来ないので注意が必要だ。実は行ったのがかなり前だったので記憶は定かではないが、確か席も指定ではなく入場した人から順に好きな席に座っていく形式だったと思う。
目黒シネマ
こちらは前述したキネカ大森でいうところの<名画座2本立て>のみを常に上映しているスタイルの映画館。
常に2本の映画が公開しており、1週間ごとに上演作品が変更していくスタイル。
一般1500円。ウェブでチケットを出力して持っていけば、1400円。
ちなみにウェブサイトで明言されているが、1回1400円で入場したら2作品を同じ劇場で見ることが可能(2本を交互に上映しているため)。実質1本700円で見れるということだろう。ちなみに、僕は2本続けてみたことはまだない。
こちらも席はチケットを購入した方から順番に並んで、入場していく方式。ウェブ予約などはない。
チケットの券売機がラーメン屋でおなじみのチケット券売機なのがちょっとツボ。待合室に本が並んでいたりと雰囲気は最高である。
TOHOシネマズ新宿
最後にメジャーどころをあげておく。
最新映画をばかすか深夜まで公開している優秀な映画館ではあるが、実はこっそり遥か昔に公開していた名画も上映してるのだ。
朝の10時~ 一日に1回だけ上映。今は野良犬という作品が公開されている。
調べてみたら、1949年の映画だった。
過去には「ローマの休日」が公開されていてびっくりした。
ピンポイントの上映なのでなかなか行けないが、最新の設備が揃った強靭な映画館で名作を楽しみたい方はチェックして見るといいかもしれない。
ちなみに、料金は一般1100円。安く設定されているので、お得だ。
以上、昔の映画を見たいなら3選でした。
見つけたら順次更新していくよ。
【オトメの帝国】百合はファンタジーである。
オトメの帝国【期間限定無料】 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
- 作者: 岸虎次郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2017/10/20
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
面白いweb漫画を見つけてしまった。
「オトメの帝国」という岸虎次郎氏の作品。
最近「ジャンプ+」で1話から75話ぐらいまで一気に公開されていて、日々の楽しみにしている。既にコミックスは12巻まで発売されていて、グランドジャンプのHPの方では最新162話まで公開されている。
どんな作品かというと、グランドジャンプのHPから引っ張ってくるとこんな感じだ。
かわいくって好奇心旺盛。やかましいけれど憎めない。欲望に忠実なイマドキ女子高生の不思議な生態を、ちょっと覗き見してみます?新たな時代の先端をいく'10年代ティーンたちの、波乱に満ちた日々を描くセキララ百合コメディ!!
で、せっかく無料公開されているので、1話をまず読んでほしい。
リンクを踏まない皆様に、さらにわかりやすく内容を説明すると。
◇とある女子高を舞台として、そこに通う女の子達の物語である。
◇男性はほぼ出ない。「オトメの帝国」なだけあって、女子高生だらけである。
◇5Pぐらいのショートストーリーをいくつも積み重ねていく作品である。
◇登場キャラクターは非常に多い。多種多様な女子高生の生活を楽しむことが出来る。
しかしキャラクターは使い捨てではないので、大きなストーリーの流れは存在する。
◇ジャンプ+で読むと登場人物の把握に時間がかかるが、どうやらコミックスには目次に登場人物表が描かれているようなので、非常にわかりやすい。
こういった感じである。まぁ説明を読むよりも、漫画を読んだ方が早いので(無料だ)、ぜひ読んでほしいのだが、そんなことを言ったらブログで取り上げる意味などなくなってしまうのである。
というわけで、何がそんなに面白いのかポイントを3つに絞って説明したい。
絵柄が妙にリアル
まずはここである。女の子が百合百合する作品は世の中には溢れかえっているが、大体それらの作品はまんがタイムきらら系の絵柄であり、極端なデフォルメが施されているものが多い。
いや、実際多いかどうかは分からないが、少なくとも僕が目にしてきた百合作品・女性だけが登場して彼らの生活を描く作品は非常に記号的なキャラクターが登場しているパターンが多かった。
しかし!漫画を読んでもらうと分かるが、「オトメの帝国」は絵柄が基本リアル路線である。流石青年向けコミックス、必要以上に目が大きかったり、人間とは思えない等身をしていることもない。
画力が高い上に、そして時々出てくるデフォルメされた絵も可愛らしい。
なので、まるで「本当の女子高生の生活」を読んでいるような感じで、没入感がある。
(ちょっと変態っぽくなってきたが、もうこの漫画を勧めている時点でその辺は覚悟している)
「はいはいフィクションフィクション」という前提をまずはぶっ壊してくれるのだ。あのリアリティのある絵柄が。
後述するが、この絶妙なリアルさというのがまずは大切なのである。
百合はファンタジーであるが、初めから「ファンタジーっしょ?」と斜に構えてみてしまうか、没入できるかでその価値は大きく変わってくるのだ。
ありそうな女子高生の生態と、あり得なさそうな百合感のバランスが良い
「セキララ百合コメディ」と記してあるぐらいなので、女の子の恋愛を描きながら、コメディ漫画であるのだが、それだけだと「はっはーフィクションだぜー」で終わってしまう。
しかし、「オトメの帝国」の素晴らしいところは、女子高生が「それっぽい」のだ。だから、彼女らがふざけている様子も「あぁこういうのが女子高ではあり得るんだ」と思えるし、一見なさそうな女の子同士の恋愛についても「あぁ!こういうのが女子高ではあり得るんだ!!!」と感嘆することが出来る。
その「それっぽさ」をどうやって演出しているのかの説明は難しいが、「登場人物が何を考えているのか」をかなり丁寧に描写しているのは、その「それっぽさ」に関連している部分だと思う。リアルにいる人間らしい悩みや思考の過程を描いているから、まず登場人物が記号化しておらず、本物の人っぽい。だからその人をベースとした、一見あり得なさそうなやり取りも、本物のように見える。
絵柄も相まって、ちゃんと女子高生がこの世に居そうなのである。そんな彼女らが思いっきり百合したりコメディしたりしてくれている。つまらないわけがないのだ。
百合である
結局のところここに落ち着く。
この作品には、ありとあらゆる形の百合カップルが次々と登場していく。ガチ恋愛をしているカップルもいれば、ぎこちない友情を築いていく陰キャと陽キャもいるし、子どもっぽい仲良しを楽しむ双子のような二人組もいる。
そのバリエーションが楽しいというのもあるのだが、やはり女の子同士のガチ恋愛を見ているのが一番楽しい。至福である。
なぜか。
男性である僕が、女の子と女の子の恋愛を傍目から見ているのは、「傷のない幸せなだけの恋愛の世界」を眺めているのに等しい。
世の中には恋愛を描いている作品が五万と存在しているが、それらの多くは男性と女性の作品である。そしてそれらを見るときに、僕は必ず感情移入をしてしまう。そして、リアルの恋愛と比較対照してしまうのだ。
過去の自分の恋愛を重ね合わせるとか。
壁ドンとかふつうやんねーだろwwwとか。
要は、フィクションで描かれる男女の恋愛には没入出来ないのだ。必ず、この現実の世界に持ち帰り、比較対照をしてしまう。その行為がどんなに虚しいものか。
美しい恋愛に完璧に入り込むには、僕が生きる現実との比較が出来ない高次元な恋愛を見せてもらうしかない。
そこで、百合である。
可愛らしい女の子と、可愛らしい女の子が、僕と一切関係のないところで幸せな恋愛をしている。そして、「本当にこんなことあるの?」と検討する余地もない。なぜなら、私は男性だし、当然ながら女子高出身でもないので、その文化を知る余地もないのだ。
だからこそ、浸れる。彼女らの恋愛を、この現実の一切合切を投げ捨て、信じることができるのだ。
前述したとおり「オトメの帝国」は「明らかにフィクションでしょ?」と「ちょっとリアルっぽいなこれ」が絶妙に織り交ぜられているので、より没入出来るのだ。
あからさまなフィクション感が出ている百合だと、「へーいやでもそんなことないっしょ」で終わってしまうので、このフィクションとリアルの絶妙な配合は重要である。
朝から凄い尖った記事を書いてしまったが、僕が言いたいのはこういうことだ。
リアルでは考えられない高次元恋愛こそが、我々に真の没入感を味合わせてくれる恋愛作品である。
百合に限らず、僕は読んだことはないがBL作品や、あるいは現代社会では比較検討しにくい歴史物や未来での恋愛の形もその高次元恋愛に含まれるかもしれない。
むしろ24年間生きてきて僕自身が女性同士の恋愛を目の当たりにしたことがないから百合が高次元恋愛に見えるだけであって、どちらかというと今後生きていても一切リアルで触れることが出来ない歴史もの未来ものの方が高次元恋愛としての役割を担えるのかもしれないな。
趣向は全く異なるが、人工知能と恋愛する「her」はなかなかリアルと切り離し純粋な恋愛作品として楽しむことが出来た。
まぁ、こんな感じで比較的メジャーな映画で前半の濃い内容を中和させ、この記事は〆とする。
久しく漫画を定期的に読むことから離れていたのに、ジャンプ+を読み始めてからむさぼるように漫画を読んでいる。無料で読めてしまうとやはり食いついてしまうな。
あわせてこちらもどうぞ。そろそろ60話に到達しちゃうから、ジャンプ+での集中連載は終わっちゃうけどね、食戟のソーマ。