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【こころに剣士を】師弟関係を描くのに、フェンシングという競技は画面映えする(感想:後半ネタバレ)

あけましておめでとうございます。

新年一本目の映画は昨日見てきた「ポッピンQ」だったのですが、まずは昨年最後に見た映画、「こころに剣士を」の感想を書いていきます。

 

めちゃくちゃいい映画だった。「2016年良かった映画まとめ」を暇すぎたクリスマスイブに書いてしまったことをしっかりと後悔した。

 

midoumairu.hatenablog.com

 ↑これに入れてあげたい映画。僕がクリスマスにちゃんと予定を入れていれば、しっかりと入っていた。非リア充は悲劇を生む。

 

 閑話休題。「こころに剣士を」の魅力を書いていきますよ。

kokoronikenshi.jp

 

どんな話?

あらすじはこちらをご確認ください。ストーリーの大半が書かれているので注意。

史実を元にした映画で、実在するフェンシングの指導者が主人公のモデルであるようです。

舞台は1950年代初頭のエストニア第二次世界大戦中はドイツ、大戦末期からはソ連に支配されていた国。

主人公エンデルはソ連の秘密警察に追われており、身を隠すために小学校の体育教師として田舎町ハーブサルに赴任する。

元フェンシング選手のエンデルは小学校で子どもたちにフェンシングを教えることとなります。

フェンシングを通じた、エンデルと子ども達の交流を描いた物語です。

 

フェンシングを通じて、成長していく子どもたち。そして変わっていくエンデル

スポーツを題材にした作品は、分かりやすい。

そのスポーツに打ち込んでいき、勝負に挑み、勝ったり負けたりしながら成長していく彼らを描く。

おそらくスポーツを題材にした映画に我々が期待するのはそこだし、それを過不足なく描けていれば我々も満足するだろう。

 

そういう意味では、「こころに剣士を」はスポーツを扱った作品らしくない。題材としてフェンシングという競技があるが、この映画の本質はフェンシングを通じて、それぞれ問題を抱えた教師と生徒が、対話をする物語だ。

もちろん、物語で大きな変化を見せるのは主人公のエンデル。彼が子ども達にフェンシングを教えることで、自分を殺し逃げ続ける彼自身の生活に疑問を持っていく。

そのファクターとなるのが、子ども達がフェンシングの技術を身に着け成長していく過程なのだ。

エンデル自身が愛したフェンシングが、子ども達が抱える問題に立ち向かう希望となっている。その確信が、彼を変えていく。誰かのために尽くすことで、自分も救われているということに気付くことはよくあるけれど、この映画のテーマはそこにあると思う。

 

ちなみに、エンデルがフェンシングを教える子ども達はたくさんいるのだけれど、この物語の主要人物として登場するのは「マルタ(女の子)」と「ヤーン(男の子)」。「マルタ」がエンデルの変わるきっかけを常に作っていて、「ヤーン」はフェンシングに熱中することで、自らの家庭の問題を乗り越えていき、希望を掴み取る役割を担っている。

素晴らしい分業制である。

 

フェンシングを物語の中心に据えた意味(ここからちょっとだけネタバレ)

スポーツものらしくはない、とは言ったものの、やはりこの物語の良さはフェンシングに支えられている。

物語のクライマックスにマルタやヤーン達生徒の試合シーンを置くことで、明確に子ども達が成長したこと、そしてエンデルが同じように変化したことを描写していた。

迫力あるフェンシングの試合だからこそ、彼らの変化が劇的に描写出来るのだ。スポーツでなければいけない理由はこそにある。

 

そして、ここでタイトル回収。フェンシングという競技は師弟関係を描くのに、とても画面映えする。

常に教える側と教えられる側が向き合い、2人の距離を同じまま保ち、時には距離を縮め、離れ、ということを繰り返す。「誰かと向き合う」という表現はよく見るけれど、それを絵として美しく、凛と映すことが出来るのは、フェンシングならではの魅力だ。

 

試合シーンの秀逸さ(ここから完璧なネタバレ)

最後に、マルタとヤーン含む生徒達が優勝をかけて試合に臨むこととなるが、このシーン、とても熱かった。手に汗を握ってしまった。

ヤーンはある意味、試合シーンまでに役割を果たしているので、ここではあまり活躍をしなくていい。

補欠として大会に参加し、優勝が決まる試合に急遽出ることとなったマルタが、エンデルに「一緒に闘って」と話しかけたマルタこそが、この試合の主役だ。彼女の真直ぐな性格や剥き出しになった闘争心を、最後の仕合では良く描けていたと思う。

 

自信なさげに試合に挑み、点数を取られてしまうマルタ。

攻めなければ負ける状況となり、自らを奮い立たせるマルタ。

勝ちを確信している相手チームの選手とコーチ?を睨みつけるマルタ。

そして、しっかりと勝利を収めるマルタ。

 

完璧な主人公である。ここでちゃんとスポーツものらしい熱さを描けていたのはポイントが高い。

ポスターのセンターを飾るだけある。

 

だけど、ヤーンも前面に押し出してあげてよ、って僕は思う。

 

【聖杯たちの騎士】2時間近く美術館で動く絵画を見てた気分だ。(感想:ネタバレなし)

もう今年は映画館にはいかないと思ったんだけど、飲み会までの時間調整のために2本ほど見てしまった。

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まず、難しかった方の映画、「聖杯たちの騎士」について感想を書きたい。

seihai-kishi.jp

 

ちなみに、「こころに剣士を」の感想はこちらからどうぞ。

 

midoumairu.hatenablog.com

 

 

はっきり言って、

こんなに感想が書きにくい映画は、ない。

が、どうにか雰囲気だけでも伝わるように・・・頑張る。

 

◇過去に似た雰囲気の映画を見たことがあった。

僕はトレーラーを見て「雰囲気よさそうじゃん!」と思ったら、何一つ情報を収集しないまま映画館に足を運んでしまうタイプだ。

僕が見たトレーラーがこれ↓


テレンス・マリック監督×クリスチャン・ベイル主演『聖杯たちの騎士』予告編

 

これを見て、「6人の女!?脚本家!?きっと、ドロドロしてて面白いんだろうなぁ」と、勝手な邪推をし、映画館に足を運んだのであった。

 

もちろん、この予想、大外れである。商業主義的な恋愛からかけ離れた、齢23の僕には理解が追いつかないような、男女の心理描写が2時間近くたっぷり繰り広げられる、視聴難易度が高い映画だった。

 

後になって映画について調べてみると、監督・脚本がテレンス・マリックさんとのこと。この監督の映画を、映画館で1本だけ見たことある。

www.tothewonder.jp

 

いやーこれも視聴難易度が高かった。どんな映画だったかもうあまり覚えていないけど、ただひたすらに美しい映像と男女の気持ちを言葉で描写しまくっている映画だったと記憶している。

ちなみに、僕は見たことないけど、この監督の映画で有名なのが、

ツリー・オブ・ライフ|ブルーレイ・デジタル配信|ディズニー

これ。見たことある人は、大体この監督の作風が分かるはずだ。

 

さて。さっきから、「視聴難易度が高い」って言ってるけど、何がそんなに難しいんだよ?って話をこれからようやくしていきます。

◇単調なストーリー、美しい映像と男女のやり取りの繊細さを楽しむ映画。

タイトルの「2時間近く美術館で動く絵画を見てた気分だ」は、そういうことである。この映画の特徴は2つある。

①起承転結がはっきりしておらず、物語で魅せる映画ではない。

多くの映画は、起承転結があり、視聴者がワクワクしたりドキドキするような仕組みを仕込んでいるが(実際にそういう映画が面白いと言われていて、売れるのだからしょうがない)、「聖杯たちの騎士」はそういう映画ではない。

脚本家の主人公の日々と、その中で出会う女性とのやりとりをひたすら映像にしているイメージである。動く日記を見ているイメージに近い。「面白くさせよう!」という演出はなく、物語は淡々と進んでいく。

ただ、登場人物がどんな人間で、どんな考えを持っているか、そしてどのように変わっていくかが明確に伝わってくる。人に寄った映画なのだ。それがこの映画の面白さだろう。

なんというか、文学を読んでいる気分になる。

 

美しい映像が短いカットで流れ、それを背景に男女の心理描写が続く。

登場人物の内面に迫った映画だと前述したけど、「なぜそうなるのか」の理由がこれだと思う。

見ている時、ずっと思っていた。「カットが多いなあ」と「登場人物が何を考えているかをひたすら言葉にしてるなあ」と。

映像が流れ、独白のように主人公が、6人のヒロインたちが、ひたすら自分の気持ちを語る。ナレーションのように、別撮りしているんだと思う。

もちろん登場人物同士の会話も行われてるんだけど、体感的には全然少ない。

 

登場人物たちの気持ちを映像で表現し、それに詩的な言葉を乗せる。抜群に雰囲気は良いんだけど、その良さを理解する難易度が高い・・・って感じ。だから、絵画のようだなあって思ったわけです。

 

ここまで特徴をつらつら書いてきたけれど、トレーラーの映像が2時間近く続くと考えてくれれば分かりやすいと思う。さぁ、商業主義を飛び出して、高尚な映画を見てみませんか?

◇今回のオチ

難しい映画であること、そして何が難しかったのか、を書かせていただきました。

僕がこの映画から学んだことは、ある程度情報を調べてから映画館に足を運ぶ重要性です。

ちゃんとこれら情報が分かっていたら、会社の納会でビール2本あけて、有楽町駅を激走して開演ギリギリに映画館に飛び込んで・・・ってコンディションで見る映画ではないということが分かっていたはずなのに。

もう一度、フレッシュな頭で見たい。そんな映画でした。

 

 

 

【俺はまだ本気出してないだけ】自分は今、ピンチだ。と思うことがある。(感想:ネタバレなし)

eiga.com

 

明日で仕事収めなので、「もー今週は頑張らなくていいっしょ」と思い、そこそこの時間で仕事を切り上げて、家に帰りさっとご飯を食べ、21時に就寝。

 

パッチリと目が覚めた。「あーよく寝た、今日は早起きしたしなんか映画でも見ようか。やっぱり早寝早起きに限るね」そんな気分で布団から這い出ると、まだカーテンの向こう側は真っ暗だ。「日の出もまだなのか」と一日の早すぎるスタートを切ったことに得した気分になる。

うきうきとスマートフォンを確認すると、日の出どころか日付も変わっていなかった。11時。2時間しか寝ていない。にも拘らず、頭が冴えわたり、一遍の眠気さえ訪れない自らのコンディションに絶望を覚える。眠れない。あぁ、眠れない。諦めてパソコンを立ち上げた。まだ腹の中に存在感を残している夕食と、昼間眠気と闘うために散々飲み下したボトルコーヒーが恨めしい。

 

夜遅くまで働いている同じ部署の先輩方が、グループLINEでこれからカラオケに行くと盛り上がっていた。

「あぁ、またはぐれてしまった。僕って、大丈夫なの?社会でちゃんとやれてる?」と不安になる。自分が望んだ行動の結果ではあるが、それが所属しているコミュニティにおいて浮いた行動となってしまうと、「自分はダメなんじゃないのか?」と気分が沈む。

 

夜は人を弱くする。そんな時、決まって見返したい映画があるので、紹介したい。

 

2013年公開の映画「俺はまだ本気出してないだけ」である。

ちなみに、ネットフリックスで見ることが出来るぞ。

 

監督は勇者ヨシヒコシリーズで有名な福田雄一さん。主演が堤真一さん。

そして、主演堤真一が演じる大黒シズオの娘役が、橋本愛ちゃん。

 

www.instagram.com

 

可愛い。

 

何はともあれ、魅力を語っていきます。

 

社会的にダメな人たちへの救いの物語。

この映画は、非常にシンプルで、脱サラした主人公、大黒シズオ(堤真一)が漫画家を目指す話だ。基本的にコメディ映画なので随所に笑えるシーンが盛り込まれていて、終始楽しい。一方で、ヒューマンドラマとしてもなかなか面白い話になっている。

 


映画『俺はまだ本気出してないだけ』予告編

 

まずは予告を見てほしい。まー大黒シズオは、残念ながらダメ男である。漫画家目指すと言っても、謎の自分への自信と行動力だけはあるのだが、自分に甘くぐーたらする一方だ。

 

彼に限らず、この物語の主要人物は全員社会不適合者である。

バイトや仕事にやる気が出せず、自分が気に入らないことがあったらすぐに手を出してしまう市野沢秀一(山田孝之)。

うだつが上がらなく、奥さんと離婚し子どもと面会しても話が弾まないサラリーマンの宮田修(生瀬勝久)。

決して悪い人ではないけれど、彼らの「癖」がゆえに、社会と馴染むことが出来ず、上手くいかない。

 

そんな中でも登場人物中屈指のダメ人間は大黒シズオなのだが、彼の徹底的な明るさと前向きな姿勢ゆえに、上手くいかないダメ人間達が少しずつ救われていく。

悪いところではなく、彼らの持ち前の良さがある時カチッと社会と合致して、彼らなりの幸せを手に入れる様は、見ていて心が温かくなる。

 

何で上手くいかないのだろう?と悩んでいる人に、ぜひとも見ていただきたい作品だ。

 

ちなみに、主題歌も良い。

この映画、主題歌も好き。SCANDALの「会わないつもりの、元気でね」


SCANDAL 「会わないつもりの、元気でね」/ Awanaitsumorino Genkidene ‐Music Video

 

この映画のラストシーンからの、この主題歌が染みるのだ。

「サヨナラ」の曲なのだけれど、シズオと、彼の娘・鈴子が変わろうとしていることを表しているように聴こえる。とてもナイスな選曲だと思う。

 

余談だが、SCANDALは個人的に好きなバンドで、「会わないつもりの、元気でね」が収録されているアルバム「STANDARD」がとても好き。

また別の記事で紹介したい。

 

原作もよい。

この映画、原作の漫画がある。

俺はまだ本気出してないだけ コミック 全5巻完結セット (IKKI COMIX)

俺はまだ本気出してないだけ コミック 全5巻完結セット (IKKI COMIX)

 

 堤真一が演じたとは思えないような、ずんぐりむっくりなおっさんが表紙で、彼がシズオである。全5巻。購入もたやすい。

 

原作の漫画も読んだのだけれど、こちらの方がビターな内容となっている。

「現実は厳しいけれど、それでも希望を持って生きているダメな人たち」の話となっており、映画のように言い方は悪いが、都合の良い展開では終わらない。

 

ちなみに、映画のラスト付近で衝撃的な事実が発覚するが、原作だとその「衝撃的な事実」は1巻でさらっと描かれてしまっている。

映画版は起承転結をしっかりつくって大衆向けに楽しめるエンターテイメントになっているが、漫画はどこにでもいそうなダメな人々の日常を淡々と描き、その中に一抹の希望を見出せるような内容になっている。

僕はどちらも好きだが、比べてみると楽しいかもしれない。

 

今回のオチ

僕もまた、本気を出していないだけであり、本気を出せば何か変わるのではないかと思っているダメ人間の一人である。

視聴者の心に残る作品は、その視聴者が共感できるものだと思っている。僕はシズオに共感してしまった。救いを求めてしまった。

 

そんな僕だが、明日(いつの間にか今日になっていた)の仕事納めは本気出したいと思っている。納めるのに、何の本気が必要なのかは、よくわかっていない。

2016年公開オススメ映画8選

こんばんは、クリスマスですね。

 

年末もう映画館に行く予定もないので、今年良かった映画の振り返りを早々にしてしまおうと思います。オススメの作品を、8作に絞りました。

3本邦画、5本洋画。邦画に興味ない人は④からどうぞ。

 

この世界の片隅に

konosekai.jp


 戦争アニメ映画。「日常系アニメ」というキャラクター推しの何でもない毎日を描く系ジャンルが存在するが、僕はこの映画を見たとき「日常系アニメだなあ」とまず感じた。もちろん良い意味で。
 当時の日常生活を丁寧に伝えていて、キャラクターも立っている。だから、その日常を「壊す」存在である戦争の悲惨さがとても伝わってくる。
 かといって、重くなりすぎない。見た人を後ろめたい気分にさせないので、なんというか戦争をフラットに見れる。ヒロインがすずであることがこの映画の肝で、彼女のぼんやりしたところや前向きな姿勢に視聴者は救われていたような気がする。

 

②湯を沸かすほどの熱い愛

atsui-ai.com


 家族の太陽なお母さんの余命がわずかな映画。そういう映画はいくらでもあるけれど、この映画は母親の余命宣告をきっかけに、バラバラだった家族が家族らしくなっていく作品だ。母、父、娘2人という家族構成で、父親以外それぞれが「個人的かつ深刻な」問題を抱えているのだけれど、それを「家族の問題」にして一緒に苦しみ、支え合っていこうと団結していく様がとても暖かい。ちなみに物語の伏線の張り方も上手かった。
 一家の太陽である母親を宮沢りえが、不甲斐ない父親オダギリジョーが演じていたが、はまり役だった。僕が個人的に好きな杉咲花も出演していて、キャストも大満足な作品。

 

君の名は。

www.kiminona.com


 新海監督の魅力「焦燥感ある恋愛」をすべて前向きに明るく表現しきった究極の大衆映画。そりゃ売れるわ。
 星野源がANNで言ってたけど、今年ヒットした作品(君の名は。と逃げ恥)は、音楽をとても大切にしていると言っていた。新海監督のルーツはそこにあると思う。

 なお私、新海監督がとても好き。いずれ別の記事にして、彼の魅力をちゃんと語りたい。

 

ズートピア

www.disney.co.jp


 上半期、相当ヒットしていたのに、今年のアニメ映画は「君の名は。」になってしまった、悲しみを背負った作品。

 私はディズニー長編アニメーションが好きで55作全て見ているのだけれど、ズートピアは1番とは言わずとも5本の指に入る名作だと思う。
 種族による差別という重いテーマを、説教臭くならずジュディに共感する形で視聴者に伝える秀逸な脚本。無駄が一切ない、90点をコンスタントに生み出し続けるディズニーらしい作品。動物の「らしさ」を活かした小ネタが至る所に散りばめられていて、一切退屈しない夢のような映画。

⑤ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ 

best-seller.jp


 敏腕な編集者と精神的に幼い天才作家の関係を描いた映画。私の好きな小説・映画である「グレート・ギャツビー」の編集者の話ということで、視聴を決定。
 とにかく、役者が良い。「実力者の凄み」と「まだ芽が出たばかりの新人作家を見守る温かさ」を持ち合わせた編集者を演じるコリンファースと、感情的で自分の信じたことに真直ぐすぎる作家を演じるジュードロウ。パートナーでもあり、師と弟子的な関係でもある2人の関係の変化と、その中で成長していく若き作家
 世界屈指のイケメン、ジュードロウがいるだけで女性は全員もれなく楽しめる映画なので、安心して視聴いただきたい。

 

⑥シング・ストリート 

gaga.ne.jp


 女の子に惚れてバンドを結成する少年の青春モノ。バンドメンバー同士の友情、彼らが抱える問題(主に家庭環境)、そして好きな女の子。思春期の少年が抱える全ての問題がこの映画に詰まっていて、それを音楽で打破していく様を見ているのは単純に気持ちがいい。我々が青春モノときいて期待する要素が余すことなく盛り込まれている。
 こういう映画を見ると、いつだって男子校はクソだと思い返す。

 

⑦グッバイ、サマー

www.transformer.co.jp


 フランス映画。・・・というだけで大体どんな雰囲気かみんな察することが出来るから、フランス映画らしさについて語ることは避けるけれども、難しい心理描写と情景が2時間流れているという視聴難易度が高い映画では決してなく、起承転結がはっきりした分かりやすい映画だった。僕はこの映画の「良いとこどり感」が好き。
 これも男子2人の青春を描いた映画だったのだけれど、爽快というよりはほろ苦い。内気な主人公と、快活な転校生が改造した「家っぽい車」で旅する。旅を終え、主人公が(すれた)大人になってしまうのだけど、それがとてもいい。2時間近く青春を描いたあとの、「青春終わりましたよ」感がグッと詰め込まれたラストシーン。ギャップにぞわぞわする。

 

⑧ブルックリン

www.foxmovies-jp.com


 こちらも旅・・・というか移住を通じてヒロインが成長していく映画。アイルランドからアメリカへ移住してきた女の子が、現地でイケてる男性と恋に落ちたんだけど、とある事情で故郷に戻ることになって・・・、みたいな映画。
 アメリカに移住してホームシック⇒アメリカでの生活を楽しむ⇒故郷に戻るけどまだ気持ちはアメリカ⇒そしてどちらを選ぶ? という物語の流れなのだけれど、その契機ごとに彼女が何を考えていて、何を大切にして、そして何を決断するのか、という心の動きがよく伝わってきて、物語の最初と最後で彼女が別人の如く変化しているのが面白い(逆に、変化していないものが光って見えるのもいい)。
 生活の変化に臆病な方々は見るといいかも。元気になれる。

 

<8本だとキリが悪いので、以下、個人的に好きだった映画2選>


⑨シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ

marvel.disney.co.jp


 今年は久々に連ドラをいくつか見て、こういう続き物の魅力ってキャラ一人ひとりに思い入れが出来て、ストーリーに重みが出てくることだよなあって感じたのだけれど、アベンジャーズシリーズはこれに近い。第1作から見ている人なら、無条件で楽しめるお祭り映画。
 スパイダーマンの登場をどれだけ待ちわびたか。そしてやっぱりアントマンのおかげで戦闘が面白い。彼の功績は大きい。

 

傷物語〈Ⅱ熱血篇〉

www.kizumonogatari-movie.com


 ヒロイン羽川翼の殺人的な可愛さを目の当たりして、一瞬三次元の恋愛捨てそうになった。 
 こういう映画を見ると、いつだって男子校は最高だったなと思い返す。

 

 

 

 さて、今年はTOHOシネマズフリーパスを手に入れたこともあって、たくさん映画をみました。良い作品を選ぶのにも時間がかかってしまった。

 

 来年1作目はおそらく「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」なので、そちらの感想からスタートしたいと思います。

 

 

【ザ・ギフト】クリスマスにオススメ♡心が温まる夫婦の愛(感想:ネタバレなし)

クリスマスイブです。

 

僕は東京都内在住ですが、人混みが苦手なので街からそっと離れて、自宅のデスクトップとにらめっこしています。

こんなクリスマスソングを聴きながら。


Mariah Carey - All I Want For Christmas Is You

 

「All I Want For Christmas Is You」といえば、ラブアクチュアリーですが、残念ながら独り寂しいクリスマスイブを過ごす中、こんなにも温かい映画について記事を書く気分にはなれない。来年のクリスマスを期待してくれ。

 

では、今年、こんなにも捻くれた気分でクリスマスを過ごしている僕がオススメしたい映画は何か。はい、こちらです。

 

movie-thegift.com


映画『ザ・ギフト』 予告篇 スマートフォン版

 

ほら、クリスマスと言ったらプレゼント♡

というわけで、日本では2016年10月に公開された映画、「ザ・ギフト」の話をします。

ちなみに、タイトルの心温まる?夫婦?っていうのは、嘘です。

 

あらすじ

 詳しくはリンク先を。とある夫婦(サイモン&ロビン)が引っ越してきたんだけど、サイモンが高校時代の旧友(ゴード)とばったり再会!

ゴードは親交を深めようと、サイモン&ロビン夫婦にプレゼントを持って何度も彼らの家に訪れる。それを煙たがってサイモンはゴードを追い払うんだけど、それ以降夫婦の周りで不可解なことが起きて・・・。

本当に怖いのは誰か

 この映画、「サイコスリラー」というジャンルらしい。サスペンスと同じようなジャンルなんだけど、「サイコスリラー」は物語が未解決で終わるとのこと。

確かに、見終わった後とてもモヤモヤした。誰も幸せにならない、救いのない物語なのだ。

あらすじを読んだあなたは思うだろう、「ゴードマジ意味わかんない、不審者怖い」

 

違う。怖いのは「何を考えているかわからない人がつきまとってくること」ではなく、その原因を生んでしまった人間の汚さと、その汚さへの報いだ。

人の心の弱さと、その弱さが生んでしまった悲劇がこの映画の全てである。

物語が進むにつれて、隠れていた登場人物たちの本心が露わになる。どうなるのだろう、という不安が募っていき、そして、最悪のラストで幕を閉じるのだ。

 

「サイコスリラー」は物語が未解決で終わると前述したけれど、それだけでなく、この映画は我々視聴者が、登場人物を裁けないのが難しい。

「こいつが悪い!」「こいつがこんなことをしなければ!」と裁ければ、もやもやせずに、もしかしたらスカッとした気分で劇場を出ることが出来たかもしれない。しかし、この映画はなかなか巧妙で、加害者は同時に被害者であり、被害者が同時に加害者なのだ。手放しに誰が悪いと言えない、絶妙な形で幕を閉じる。それが視聴者の「モヤモヤ」させる。

 

とにかく、決して幸せな気分になれる映画ではない。人間の心の弱さとそれが生んだ悲劇を目の当たりにする勇気がある人が見に行けばいい。どうだ?クリスマスに見るには、最悪な作品だろう?

 

ちなみに、予告篇を見て「この映画・・・怖いんじゃないの?ホラー?」と思っている人は安心してほしい。僕もホラー映画は苦手だけど、急に大きな音が出たり、急に人が飛び出て来たり・・・そういう視覚・聴覚に訴えかける系の「怖さ」はあまりなかった。(1・2回はあったけど)

 

ニュースで猟奇的な事件を目の当たりにしてしまった、あの胸糞悪い感覚に近い。それに耐えられる人が見るべき映画だと思う。

ここまで散々言ったが、その胸糞悪さに耐えられるメンタルの持ち主ならば、楽しめる映画だと思う。視聴者の気持ちをこんなに揺さぶる映画が、駄作なわけないのだから。

今回のオチ

 とにかく、人間不信になる映画なんだよ。結婚なんてしたくねえと思ったね。クリスマス、時間を持て余したカップル達よ。ぜひとも間違えてこの映画を見てほしい。

 そういえば、10月後半に公開だったけど、まだこの映画やってるのかな・・・?

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もうやってねえじゃねえか!!!

 

どうせ世のクリスマスラバーたちは、「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」とか見てくるんだろ!?知ってるよ、知ってる。はいはい、楽しんできてくれ。僕は年始に見てくるよ。ひとりで。

www.bokuasu-movie.com

 

 

※ちなみに「ザ・ギフト」DVDの発売は2017年3月8日だってさ。ギフトとしてお渡しするのはおススメしないけどね。