【マイティ・ソー バトルロイヤル】戦闘もギャグもこなせるハルク(ネタバレあり)
見てきました。マーベルシリーズはやっぱり劇場で見ないとね。
今作でマイティ・ソーシリーズは完結と言われているのだけれど、集大成としてふさわしい作品だった。
他のMCU(マーベルシネマティックユニバース=アベンジャーズに出てくるヒーロー達の作品群。世界観を共有している)作品と比べて、マイティ・ソーシリーズは①登場人物の戦闘力の格が違うからスケールが大きくなりがちで、②基本シリアスだけど笑えるシーンが散在しているのが特徴だと思うのだけれど、「バトルロイヤル」もその特徴をしっかりと受け継いだ作品だったぞ。受け継いだ、というよりは過去2作よりもコメディ色をぐんと濃くした感じかな。
あらすじ(ネタバレなし)
以下、マーベルの公式から抜粋。
復讐に燃える最強の“死の女神”ヘラ VS. マイティ・ソー率いる型破りのチーム“リベンジャーズ”
誰にも止められない!限界突破のバトル・アクション・エンターテイメント。今、新『アベンジャーズ』へのカウントダウンが始まる!
アベンジャーズの一員ソーの前に<死の女神・ヘラ>が現れた。
復讐と野望に燃えるヘラは、ソーの故郷へ攻撃をはじめる。故郷を奪われたソーは、この最強の敵を倒すため盟友ハルク、宿敵ロキらと型破りのチーム“リベンジャーズ”を組み極限バトルに挑む。 果たして、ソーたちは史上最強の敵からこの世界を守ることができるのか?
死の女神・ヘラの復讐の目的は!?そこには、ソーの運命を変える秘密が隠されていたー。
新『アベンジャーズ』へのカウントダウンが始まる!
こんな感じである。
このあらすじが「あらすじ」として機能しているかどうかで、この作品を見て楽しめるかどうかが分かる優秀な内容となっている。
MCUシリーズを見てきた人は、ピンとくる。
見たことない人はピンとこない。
要は何が言いたいかというと、ソーシリーズの3作目でありながら、MCU系列の1端を担っている作品ということで、MCUシリーズを見ていないと内容を理解するのは厳しい。
なんとなく友達に誘われて見に行くのはお勧めしない。雰囲気で楽しめるかもしれないが、小ネタ等は一切楽しめない。そしてMCU作品の魅力は「分かる人には分かる小ネタ」にあるので(特にコメディ要素が強い作品においては)、知らないとただの凡作以下に成り下がってしまう可能性が大いにあるのだ。
少なくとも、以下4作は見ておいた方が良いと思われる。
・マイティーソーシリーズ2作
・アベンジャーズ エイジオブウルトロン
しかも「アベンジャーズ」は登場人物たちが主人公になっている作品(アイアンマンとかキャプテンアメリカとか)を見ていないと楽しめない内容となっているので、結果的には見なければいけない作品はどんと膨れ上がる。
マーベル・シネマティック・ユニバース - Wikipedia
作品は上記URL参照。
というわけで、20作近くに膨れ上がったMCU作品を見る気力がない人は、回れ右という感じだ。
大まかな流れ(以下ネタバレ)
①地獄っぽいところでソーと炎の巨人サーターが闘う。サーターは永遠の炎と彼が頭にくっつけている兜によって、ソーの故郷「アスガルド」にラグナロク(=原題のサブタイトルだね)を起こすことが出来るとのこと。そんなことはさせないぜ、とソーはサーターを撃破し、兜をアスガルドに持って帰る。
Marvel 映画「ソー バトルロイヤル」日本版予告 (原題: ソー ラグナロク)
0:10までが、映画の冒頭シーン。その後現れるのはヘラではなく、サーター。
②ソー母国に帰還。弟のロキが国王オーディンに化けているのを(=前作ダークワールドを参照)、看破。ソーとロキはオーディンを迎えに地球に。
③ドクターストレンジの手ほどきで、オーディンと再会。オーディンの寿命がその場で尽き、同時に彼が封印していたソーとロキの姉「ヘラ」が復活し、その場に現れる。応戦するが、ムジョルニア(ソーのハンマー)を破壊され、ソーとロキは宇宙の果てに吹っ飛ばされ、ヘラはアスガルドに帰還。
④ソーとロキはグランドマスター(ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーに出てたコレクターと瓜二つ)が支配する星サカールに到着。ソーは賞金稼ぎのヴァルキリーに捕まり、闘技場で闘うことを強いられる。グランドマスターお気に入りの最強の戦士と闘い、勝ったら解放するという条件のもと、いざ闘技場へ。
⑤ソー、ハルク(=闘技場の最強の戦士でした)と再会。ハルクは理性を失っているので、普通に戦闘開始。ソーが雷神として覚醒し、ハルクに勝利しかけるが、グランドマスターの邪魔が入り、結果的にハルクが勝利。
1:26ぐらいの目が光ってビリビリしてるシーンが、ソーが雷神として覚醒している状態(このシーンはハルクと闘っているときのシーンではないけど)。一瞬覚醒しただけなので、本格的に力を使いこなすのはこの後ヘラと再戦したとき。
⑥闘技場での戦闘後、ソーとハルクは意気投合。ハルクが乗っていたクインジェット(アベンジャーズエイジオブウルトロンのラストでハルクが乗っていたクインジェットが、サカールに辿り着いたらしい)でアスガルドへの帰還を企てるが、ハルクが暴走して失敗。この際、クインジェットで流れたブラックウィドウの映像で、ハルクはブルース(人間状態)に戻る。
⑦ソーとブルース、そしてかつてアスガルドの戦士だったヴァルキリー、ロキは協力して、グランドマスターの宇宙船を奪い取り、アスガルドへの帰還を再度試みる。ロキはお得意の裏切りをソーに看破され、サカールに残ることになるが、ソー・ブルース・ヴァルキリーは無事アスガルドへ帰還。
⑧ソーとヘラ再戦。ソーは右目をつぶされる。
⑨アスガルドの民を逃がそうとしているヘイムダルとブルース、ヴァルキリーが合流。ヘラの猛犬と兵に囲まれ絶体絶命となるが、ブルースが再度ハルクに覚醒し、ロキがサカールで闘技場に幽閉されていた戦士たちを率いて登場。形勢逆転。
⑩ついでにソーも雷神として覚醒。しかしヘラはピンピンしていて、勝てないと判断。ソーはロキに指示をし、永遠の炎と兜でサーターを復活させる。結果、ラグナロクが起きてアスガルドはヘラごと消滅。ソー、ロキ、ヴァルキリー、ハルク、ヘイムダル、アスガルドの民、サカールの闘技場にいた反乱兵たちを乗せた宇宙船は、地球に向かうことに。
↑ここで本編エンド。
⑪エンドロール中、ソーを乗せた宇宙船が、何十倍もある巨大な宇宙船に進路を阻まれる映像が流れる。
↑おそらくここから、アベンジャーズインフィニティウォーに繋がるのだろう。ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーとソーが合流するんじゃないかな。
以上、粗々だけど、全編の流れはこんな感じである。
ここで1点気になったのは、ブルースの行方について。
「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ MovieNEX」ソーとブルース・バナー=ハルク
本作「バトルロイヤル」では、ハルクはエイジオブウルトロンのラストに乗っていたクインジェットでそのまま宇宙に来たことになっているが、この映像ではシビルウォーが開戦される前に、ブルースにトニーから連絡が入っていることになっている。
これって矛盾してないか?何か僕が見落としていることがあるのだとしたら教えてほしい。
本作の魅力① ハルクコント
思考能力が極端に落ちたハルクを中心とし、笑えるシーンが散在。
ちゃんと面白いと認識するために、過去作を振り返ってから見る様にしよう。
例えば
1. ハルクへのトラウマがすごいロキ
ソーとハルクが闘うシーンでは、ロキは観客席にいるのだけれど、ハルクが登場した瞬間のリアクションがまず面白い。ヘラを目の前にしてもあくまでも冷静だったのに、ハルクを遠目に確認しただけで異様なまでに震えあがるロキ。
「アベンジャーズ」でハルクに散々床にたたきつけられ、ボロ雑巾のようになってしまった哀れなロキを覚えているだろうか。
闘技場でソーとハルクが闘ったときに、そのシーンがソーとハルクによって再現されているのだけれど、その時のロキの喜び方がまた面白い。
思い知ったか!!!とか言ってた気がする。
2. ブラックウィドウとのやり取りを弄るソー
「アベンジャーズ エイジオブウルトロン」では、ハルクの暴走を宥める役としてブラックウィドウが活躍。彼らの関係性にも進展がみられ、「バトルロイヤル」でハルクの暴走を止めたのもブラックウィドウの映像であったが・・・。
「エイジオブウルトロン」でブラックウィドウがハルクを宥めるときに「日が沈む」とセリフを投げかけていたのだけれど、「バトルロイヤル」では執拗なまでにソーがブルースに対してそのセリフを繰り返す。
理性を取り戻したら異星にいたブルースは当然不安になっているのだけれど、その様子を見て何度も何度も「日が沈む日が沈む」とソーが神妙な面持ちで宥めようとしている過去作の感動を踏みにじる容赦ないネタ。
「バトルロイヤル」、間違いなく意欲作である。
3.自称最強のソーと、他称最強のハルク
我らが最高の皮肉屋トニースタークが本作でも活躍。クインジェットも当然スターク製なわけだが、クインジェット曰く「最強アベンジャーズ」はハルクで、ソーは「サーファーくん」とのこと。
「最強アベンジャーズ」と自称し、クインジェットに自らを認証させようとしたソーがトニーの前に崩れ落ちた瞬間だった。
本作の魅力② 王として覚醒するソー
アスガルドは場所ではなく民であるという決断をし、サーターを使ってアスガルドの地ごとヘラを葬ったソー。父であり国王であるオーディンを失い、圧倒的な敗北を経験した結果、王としての自覚に芽生えたソーは間違いなく本作ぶっちぎりのヒーローであった(見せ場はハルクの方が多かった気がするけどね)。
ロン毛を狩り、短髪にしたのもナイスイメチェンだし、右目を黒色の眼帯で保護した姿も「宇宙船の船長」っぽくていい。
インフィニティウォーに向けて、「頭悪いパワー系面白キャラ」であったソーの「ヒーローらしいカッコよさ」を伸ばすことに成功した作品だったと思う。
画面映えするハンマーによる戦闘が失われてしまったのは残念だが、雷を放出しながら生身の身体で敵を薙ぎ払うアクションも派手で見てて退屈はしないし、戦闘力もハルクと同等かそれ以上になったのではないだろうか。
本作の魅力③ いつも通りのロキ
語るまでもあるまいが、憎めない悪役キャラが板につきすぎていて、作品を固める名わき役になっている。
本編で実の兄であるソーにも言われているが、「心を許したら裏切る」⇒「裏切ったと思ったら、ピンチのところで助けに来る」というテンプレート通りの活躍をしてくれるロキ。作品を重ねるにつれて登場人物のキャラクターは少なからず変わっていくものだが、ロキについては本当にいつも通りで見ているこちらとしては安心する。
なお、アスガルドで保管されていたキューブをロキはおそらく持ち出しています。今後も愛すべき悪役として活躍が期待されますね。
その他ちょいネタ
エンドロール後の映像について
巨大な宇宙船に行く手を阻まれる映像については前述したが、その後にも映像が流れる。
サカールで革命を起こされ、王から堕ちたグランドマスターの映像。
まぁ、本編には関係ない笑い系のオチがついた感じ。
マットデイモン
アスガルドでロキを讃える劇が公開されるシーンがあるんだけど、そこにマットデイモンが出てる。まさかとは思ったが、帰って来てググったらそうだった。
ラブロマンスの消失
マイティーソーシリーズ2作目まではちゃんとヒロインがいたが、本作では破局してます。パンピーに指摘されて大人な切り返しをするソー。
コメディとカッコいい戦闘に振り切り、余計な要素を切り落としたのは、作品のクオリティ担保という意味で素晴らしい判断だと思う。よく別れた。
浅野忠信
ヘラに虐殺されるが、それなりに見どころがあった。やったぜ、日本人。
移民の歌
予告で流れていたのだけれど、戦闘シーンで流れてかなりマッチしていた。
音楽の使い方が上手いと映像の見栄えがかなり違ってくる。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズは劇中曲のセンスがずば抜けているが、それに準ずるセンスの良さ。
実際アスガルドの民は「移民」になったわけで、戦闘の賑やかしだけじゃなくてその裏にある意味合いも合致している。考え抜かれてるねえ。
まとめ
マイティーソーシリーズらしいコメディと戦闘映えを極限まで高めてぶっぱしたファンのための作品。思考停止で楽しめる良作でした。