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【スター・ウォーズ/最後のジェダイ】細かいところは考えなければ良い映画(感想:ネタバレあり)

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今更見てきた。人気作はいつまでも劇場公開してて良いですなあ。

 

世代交代というコンセプトが強く推されており、「これまでの作品に思い入れがあったらもっと楽しめたんだろうなあ」という印象。

見る前に「賛否両論」ってことを聞いていたから構えてはいたものの、賛否が分かれるのも良くわかるなという感じ。作り手の過去作へのリスペクトは感じ取れるのだけれど、細かい部分での失敗が重なって結果的に「今までの設定とは?」と思わせてしまうような展開になってしまっている。

 

しかしそれでも結果的に楽しんでしまう。SWはずるい、もうオープニングの例のあの「でーでででー」と壮大な音楽と黄色い英語が流れてくるだけでなんか鳥肌が立ってしまい、その高揚感が劇場を出るまで続いてしまう。

SWはよくわからない。しかし一人の映画好きとして楽しんでしまった。そんな適当な私がなんとなく良かったところと悪かったところを語るぞ。

 

ちなみに懇切丁寧にストーリーを解説することはないが、基本的にはネタバレありだ。

 

良いところ:ルークへのリスペクト

僕はSWを良く知らない。「フォースの覚醒を見る前に前作とりあえずDVDで見てみました」程度の人間で、本当に1度しか見ていないものだからあまり詳しいところは分からない。

 

しかし、そんな僕でもわかるような「これは過去作を意識してるな」ってシーンがたくさんあった。特に、過去作からの登場人物であり本作のキーキャラクターのルーク周りで。

 

こういう過去作のリスペクトというか、過去作があるからこそ出来る演出というのは8作(外伝除く)もシリーズを重ねている作品ならではの魅力であり、そういう積み重ねが生む感動というのが僕は好きだ。

 

ルークがレイに協力するきっかけになったのはR2-D2が流したEP4のレイア姫の映像。「ずるいぞ」と彼も言っていたが、視聴者も「こういう演出はずるい」と思うのではないだろうか。

 

 

物語中盤で唐突に現れたヨーダは2017年公開映画からは明らかに浮いてるのだけれど(ちょっと笑ってしまった)、おそらくこれは青年ルークが実際に目の当たりにした(EP4か5かな?)ヨーダを模しているのだろう。EP2で見たぬるぬる動くヨーダじゃなくてよかった。

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↑まさしくこのままのヨーダだった

 

ルークがフォースを使い果たして昇天したシーンも、EP3でルークが生まれたシーンのオマージュだろう。二重の夕日を目の前に生まれ、二重の夕日の前で死に至る。

 

余談だが、結局ルークが隠居している惑星から出てくることがなかったのは残念だったが、レジスタンスを救うべくフォースの幻影をカイロレンの元に飛ばし、その役割を全うしたのは素直にカッコよかった。「いやどうせ死ぬなら本体来いよ」って思ったけれど、カッコよかったのだからいいのだ。きっと本体だったら、ファーストオーダーの軍事力をつぎ込んだ一斉射撃の前に敗れていたのだろう(肩を余裕の表情でさっと払う動作も生まれなかったことになる)。

 

本作のコンセプトは世代交代。レジスタンスのリーダーはレイア姫から、ポーへ。ジェダイの志を継ぐ者はルークからレイへ。そしてファーストオーダーを率いる者はスノーくからカイロレンへ。

本作で引退するルークやレイアをこれまでのシリーズの要素をかき集めながら目いっぱい立てて、そして次の世代に繋いでいくという構成。ファンに支えられてきた歴史ある作品が次のステップに行くために避けて通れない道ではあるが、かなりうまくやっていたと思う。

まぁ、ちょっと疑問に思うところもあるけれど。

 

悪いところ:脆弱な新キャラ達(カイロレンを除く)

ポーやフィン、レイが次回作以降の中心人物になるわけだ。しかし、彼らの活躍がちょっとだけ甘かった気がする。

 

まずはポー。序盤レイア姫の命令に逆らって多くの死者を出し、降格。レイア姫の戦線離脱によって新リーダーに任命された紫のおばちゃん(名前、わからない)にも、反抗。そもそもポー・フィン・妹(名前、分からない)が勝手に遂行したミッションが失敗してレジスタンスが危機に瀕する展開は、残念ながら見ているこっちもイライラしてしまうほど救いようがない。

そんな彼が物語の終盤自ら指揮をとり、「戦略的撤退」をフィンに命令するシーンがあるが、そういう物語の組み立ては上手いなあとは思いつつも、あまりにも都合の良い展開過ぎて「ポー、それでいいんか」と思ってしまうのが現実。

 

フィンは前述したとおり、彼の活躍シーンが全て無駄どころかレジスタンスの邪魔になってしまったのが残念。ポーの命令を無視し、ミニデススター(名前、分からない)に突っ込もうとした見せ場も、妹(名前分らない)の愛によって失敗。

フィンと妹の冒険自体は面白かったんだけど、大きな物語の下ではほぼ無駄な徒労となってしまったのが残念。成長を見せた彼らの活躍をEP9で魅せてもらうしかない。

 

そして主人公レイ。完全にルークやカイロレンにくわれている。彼女自身の見せ場があまりない。「ルークのバカ‼もう知らない‼カイロレンは正義の男になれるわ‼」からの一瞬生まれたカイロレンとレイの共闘は最高に燃えたけど、そこがピークで結局カイロレンはスノークを自ら殺害したことで真の悪として完成してしまった。

レイさん、ラストシーンの岩を持ち上げることしか見せ場なかったっすよ。これも次回作期待ですかね。

 

まぁ最後に持ち上げておきますと、カイロレンだけは素晴らしかった。ただの子どもみたいな「フォースの覚醒」から一転、本物の悪に成り上がった。

レイアに自ら手を下すことは出来ず、レイとのふれあいの中で正しい道を歩もうとする過程で「仲間入りか!?」と期待させておき、スノークを殺害、レイとの共闘ではもはや心の中で拍手喝采。しかし彼の思惑が「自分たちが新しい時代を築く」ためにレイと二人で世界を掌握しようとしていたというオチには一瞬ガッカリしつつも、いやこれこそ本物の悪役だと私は心が躍った。世代交代がテーマの作品でよくそれを言った。

前の世代の意思を継ぐレイ、そして前の世代を踏み越えて自らが頂点に立とうとするレン。この対比も素晴らしい。結果的に違う道を進んでよかった。

 

悪いところ:レイア姫とワープ攻撃

いやいやいや・・・

って思ったところはレイア姫の宇宙空間からの謎帰還と、ワープを利用した攻撃。この・・・これやっていいの?という前提を犯してしまうと、物語は何でもありになってしまうが、この二つはその最たるものだと思う。

ワープ攻撃オーケーならさ、危機に瀕したときには何か使い捨ての船用意しちゃえば敵に壊滅的なダメージ与えられるわけでしょ?(コストが高いとか人命が大事みたいなこともあるけれど、作戦としてオーケーになってしまったという事実が問題。今後「またこの手で逃れればいいじゃん」と我々は考えてしまう。)

それにレイア姫。あれはさ、説明がつかな過ぎてこの世界の人は無敵か!ってなっちゃうでしょ。説明してよちゃんとね。

 

まとめ

全体として面白い・ワクワクしたんだけど、マイナス点も多いから「とにかく印象に残った映画」としておく。

フォースの覚醒よりは確実に面白かったけど、例えばカイロレンの活躍はフォースの覚醒の不甲斐ない彼がいたからこそ映えたものだと思うし、シリーズ物はこの作品だけでは完成度が判断できないところもある。

EP9が名作であれば、EP7,8の評価もぐんとあがるわけだ。頑張れ、次回作。