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【劇場版ポケットモンスター キミにきめた!】ピカチュウが喋った。(感想:ややネタバレあり)

www.pokemon-movie.jp

 

久々にポケモンの映画を見てきた。最後に見たのはディアンシーの映画だったかな?

アニポケは初代を放送当時に見ていて、DPのポケモンリーグだけしっかり見てて、それ以外はほぼ見ていない。

 

初代をリアルタイムで見ていた少年が、くたびれた大人になって劇場に足を運んだ形となる。「すべてのポケモンファンへ」何て言われたら、そりゃ見に行きたくなるよね。

実際見に行ったらなかなか感慨深いものがあった。

 

ざっと感想を書きます。ストーリー展開とかはネタバレしないけれど、ポイントポイントで要素のネタバレがあるから気を付けて。

物語の前提

この映画が公開する前から「俺たちのタケシとカスミを返せ」という声が噴出していたが、まぁ無理もない。旅の仲間がオリジナルキャラクターになっている。

ポケモン・キャラクター|ポケモン映画公式サイト「劇場版ポケットモンスター キミにきめた!」

↑ソウジとマコトが旅の仲間になっている。

 

で、何で僕らのタケシとカスミがいなくなってしまったのかというと、「キミに決めた」はテレビ版のifストーリーだからだ。

テレビ版の1話でサトシとピカチュウは和解し、ホウオウの姿を見たが、ジョウト地方に行くまでそれっきり。

それに対して「キミに決めた」では、ホウオウが落とした「虹色の羽根」をサトシは手に入れる。その結果、TV版とは違った物語となっている。「キミに決めた」では、ホウオウに再会し、バトルすることが目的になっている(もちろんサトシの旅の目的「ポケモンマスターになること」がぶれていないが)。

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↑こんな感じ(「羽」は正確には「羽根」だけど、作り直すの面倒だから許して)。

 

なので、TV版と違うのは当たり前。リメイクと思ってみるとちょっとがっかりするかも。

ちなみに、「キミに決めた!」のサトシの手持ちはピカチュウヒトカゲ(後のリザードン)、キャタピー(後のバタフリー)の3匹のみで、お馴染みのフシギダネとかゼニガメはゲットしない。公開前に登場することが判明していて盛り上がっていたオコリザルも、完全にモブキャラでサトシの手持ちにはならない。

お馴染みのポケモン達と再会できる!って感じではないから注意しよう。そんな皆さんはTV版のポケモンリーグ編で再登場することを待とうな!

 

当然20年近くの時を経て制作されたというメタ的な前提もあるが、TV版と劇場版では物語だけでなく世界観もかなり異なる。

キャラクター紹介を見れば分かるが、カントー地方にも他の地方のポケモンがうじゃうじゃいるし、ジムの回り方も自由になっている(エリカ様と戦闘するシーンがちょっとだけ挟まるのだけれど、勝利したときサトシが「3つ目のジムバッジ」と言っていた)。

 

初代の雰囲気がある別物として見たほうが楽しめるだろうね。

 

それでも初代を見ていた僕らが「懐かしい!」と思える

のが、素晴らしいと思う。ちゃんと「ポケモンってこれだよね!」というのが伝わってくるのが良い。

 

おおよそ1.5~2hの劇場版で、以下の要素をしっかりと抑えている。

ピカチュウとの友情

オニスズメの件はしっかりとやってのけた。

劇場版オリジナルの要素として、ピカチュウとの一時的な別離と再会も描いている。

(TV版で言うところの「ピカチュウの森」とか、劇場版1作目の「ミュウツーの逆襲」に近しいサトシとピカチュウの関係)

◇敗北とポケモンの進化

今回の悪役的トレーナーはクロスというガオガエンルガルガン(夜)を使う「強さ史上主義、友情何て糞くらえ」なキャラクターなんだけれど、ヒトカゲはクロスに捨てられた設定になっている。

雨の中ヒトカゲがトレーナーを待っていて、サトシが救出、彼のポケモンになるという大きな流れは変わらない。

その後、クロスのガオガエンリザードがバトル。敗北して、サトシがいじける。仲間たちの励みによって立ち直ったサトシが、クロスと再戦。バトル中にリザードリザードンに進化し、見事ガオガエンを倒す、といった熱いテンプレ展開を堂々とやってのけている。

※ちなみに「キミに決めた」のリザードリザードンはちゃんとサトシの指示に忠実ないい子だ。

 

敗北からの成長。ポケモンらしい要素が微塵も歪められることなく描けていたのは評価が高い。

ポケモンとの別れ

TV版の「バイバイバタフリー」は「キミに決めた!」でも健在。一緒に居た描写が短く溜めが少ない感は否めないが、一緒に旅をしてきた友達との別れの辛さ、そしてそれでも前を向くサトシには思わずうるっとくる。

 

まぁこれだけあればポケモンの要素はちゃんと満たせている気がするので、僕としては満足だった。劇場版特有の幻ポケモンとの別れ的な感動はなかったけれど、本来ポケットモンスターというシリーズにおいて大事にしている(あるいは視聴者がポケモンってこれだよね!って思っている)ものがちゃんと詰め込まれているんだよね。

 

色々な疑問に「答え 」が

20周年記念作品ということもあり、ポケットモンスターというシリーズ全体で共通するテーマへの回答が用意されている。

ピカチュウがボールに入らない理由を、ピカチュウ本人が日本語を使ってサトシに伝えるシーンがある。マーシャドーに襲われてサトシが意識朦朧としている場面なので、ニャースのように本当に喋っているというよりは、「心が通じ合った」と解釈するのが自然だろうが、とにかくピカチュウがサトシに日本語で話したのだ。

「いつもいっしょにいたいから」と。

既にピカチュウはボールに入らず常に一緒にいるのは当たり前となってしまっていたが、改めて作品でその理由を語られると感慨深いものがある。サトシとピカチュウの絆が明示された瞬間だった。

 

あとは、ポケモンマスターって何だよ、という話。我々視聴者が持つ共通の疑問を、劇場版オリジナルキャラクターが代弁してくれていた。「なによそれ」と。で、それに対して明確な答えをサトシは口にはしていなかったのだけれど、それに準ずる答えをサトシの口から聞けたと思っている。

クライマックスシーンで、サトシ本人がポケモンをゲットし、バトルする理由を、「友達になりたいから」と答えていた。彼が目指すポケモンマスターというのは、それの延長線上にあるんだろうなあ、と僕は個人的に納得した。

 

話はずれるけれど、サトシとピカチュウが喧嘩した時に、マーシャドーがサトシに幻覚を見せるシーンがある。「もしサトシの住む世界にポケモンがいなかったら?」が結構長めな尺で描かれているのだけれど(サトシが普通に学校に登校している笑)、その時にも彼は「あの先には何があるんだろう」と旅への意欲を捨ててなかったんだよね。

 

こういうシーンの積み重ねで、やっぱりポケモンシリーズの原点は旅と友情なんだね、と再認識できた良作でした。

 

ちなみに来年も劇場版が公開するらしいよ。予告映像では伝説のポケモンは現れず、リーグ戦の会場みたいなものが遠目に映されていただけだった。アニポケサン・ムーンは一切見ていないんだけれど、劇場版には向いてない作風らしいから、来年も引き続きTV版とは離れた作品を作るのかもね。

 

以上、久々の劇場版ポケモンでした。