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NICO Touches the Wallsの終了について

 

nico-m.com

 

毎年11月25日(いいニコの日)に何かイベントを行っているのにもかかわらず、今年は何も告知がなかったのでどうしたものかと思っていたら、突如「終了」というから驚いた。自分語りと好きなNICOの曲をまとめる記事が書きたくなった。

 

それなりに音楽が好きで、ライブに足を運ぶのが好きで、詳しくはないけど趣味と言って恥ずかしくないぐらいの興味を持っている私が、「好きなバンドの解散」に直面したのは初めての経験となる。

複数のバンドやミュージシャンを渡り歩くのが好きなので、発表を見た途端崩れ落ち、涙を流し、すぐにでも彼らの曲を聴く、という絵にかいたようなファンの行動を模すことはできなかった。仕事中にスマホを見て、少しびっくりして、複数の友人にラインをして、とりあえず彼らの終了と向き合うのはやめた。

 

今、改めて時間をとって彼らの終了について考えているが、突然の終了告知ほど酷なものはない、と思っている。

まず、もう彼らのライブを観られないという悲しみが大きい。そこそこの数のミュージシャンのライブに参加してきていたが、彼らのライブほど思いっきりはしゃげる場はなかったし、毎回ライブに足を運びたいと思ったミュージシャンはいなかった。

それは彼らのファン歴が最も長いという僕個人の生き方の影響もあるが、NICOの「場を盛り上げる力」が抜きんでていたからだと思う。経

験した彼らの良いパフォーマンスを、脳が身体が覚えて離さない。

天地ガエシのおかわりで汗だくになったことも、ニワカ雨ニモ負ケズの静寂も、口笛吹いて、こんにちはで吹けない口笛を強いられらことも、色々な記憶が残っている。

そういった良い体験のリピートを求めて何度も足を運んだ。

それがもうできない。

最後に参加したのは今年の3月のEX THEATER ROPPONGIの「ACO」の公演だったのだが、QUIZMASTERのツアーに参加できなかったのが悔やまれる。「NICO」の公演を最後に見たのは おそらく“Fighting NICO”だから2017年だろうか。過去の記憶がおぼろげになっていき、もうこれから先の記憶の更新が亡くなっていくのも虚しい。

 

そして、曲がこれから先更新されなくなるのも残念だ。当たり前のことだが。

私はNICOを明確に認識してファンになったきっかけは鋼の錬金術師FULLMETAL ALCHEMISTの最終回のホログラムのハマりが良すぎたことだったのだが、調べてみると2010年あたり。そこからアニソンとしても捉えられるロック・ポップスをいくつもリリースし続け、「Howdy!! We are ACO Touches the Walls」からアコースティックアレンジあるいはアコースティックにもハマりが良い曲のリリースを意識し続け、上手く説明できないが「OYSTER -EP-」から明確に「一般」が離れても仕方がないようなエッジの利いたロックを展開するようになった。

9年ちょっとしか彼らの経歴を追えていないが、その中でも明確に彼らの音楽の方向性の変容が見て取れる。これほど追っていて面白いバンドはない。自分の期待通りをやり続けてくれるバンドも愛おしいが、自分の想定を外れてその道に引きずり込んでくれるバンドは刺激的だ。

「OYSTER -EP-」から私の気持ちは少しだけ離れてしまっていたのだが、ライブでのパフォーマンスを見てひっくり返されてしまった経験がある。mujinaもFunny Side Up!もVIBRIO VULNIFICUSもイケているのだ、生で聞くと全然表情が違う。

※繰り返しになるが、QUIZMASTERもライブに行くべきだった。いつかライブの場で聞けるだろう、と思った僕が馬鹿だった。

話が膨らんだが、とにかく新しいNICOがもう見れない。彼らの過去をリピート再生し、これから先も楽しんでいくしかない。いつまでも好きだよ、と言ってあげたいけれど、音楽は擦り切れていくものだと思う。別のミュージシャンはどんどん曲を発表するし、昔の音源を聞く頻度は下がっていくだろう。色あせていく。

昔の曲にも脚光を浴びせ、バンドとしての価値を維持し続けていくのが、ファンにとっての彼らの新しい活動の意味だったと思う。それが終了してしまうということは、彼らの経歴が私の中で埋もれていってしまうということだ。それがたまらなく寂しい。

 

終了の告知で彼らは、「壁」はなくなった、と言った。彼らはどこまでもいくという。彼らを好きだった僕としては、それぞれの今後の活動も期待したいし、追いかけていきたいという気持ちがある。

ただ、彼らが必死に守ってきた「壁」に私は魅せられてきたし、囲われていたある種の安心感があった。それが突然崩れてしまうと、何というか、びっくりしてしまう。私は好きなように今後も音楽を聴いていくけど、なくなってしまうの?と。

何事も終わりはある。仕方がないことだが、せめて、せめて、終了を受け入れる準備期間だけは設けてほしかった。

長々と書いてきたが、要は僕の主張は一つで、最後にもう一回、あるいは数回、彼らのライブを観たい。11月25日に何かがないかと終了宣言の後も、なんとなく期待してしまう。

 

以下、この記事を書きながらNICOを聴き返してやっぱりいいなあ、と思った曲をいくつかまとめておく。ニワカだから、ほぼシングル曲だ。

■THE BUNGY(アルバム「Who are you?」)


NICO Touches the Walls 『THE BUNGY』

ライブ映えする曲。裏拍が楽しい。

同じアルバムに収録されている1stシングルの「夜の果て」とカップリング曲「バニーガールとダニーボーイ」も好き。

 

 

■ホログラム(アルバム「オーロラ」)


NICO Touches the Walls 『ホログラム』

 私がNICOを好きになるきっかけを作った曲。NICOはアニソン映えする曲が多くて好きだ。「Howdy!! We are ACO Touches the Walls」に収録されたアコースティック版のしっとりしたやつも好き。

ちなみに、アルバム「オーロラ」におけるホログラムは2曲目の収録、1曲目に「Aurora」という曲が入っている。2分に満たない曲だが、ゆっくりと気持ちを高めるようなテンポでかつ少し切なげ。気持ちをぐっと引き付けられるアルバム1曲目にふさわしいのこの曲も好きだ。「Aurora」でつくられた雰囲気と高められた気持ちを次の曲ホログラムで爆発させることになる。

 

■妄想隊員A(アルバム「PASSENGER」)


NICO Touches the Walls 『妄想隊員A』

アルバムのリードトラック。N極とN極もそうだが、NICOの「恋愛に失敗している男性」の曲は変な中毒性があって、癖になる。

ちなみにアルバム「PASSENGER」はNICOの中では最も好きなアルバムだ。「Passenger」という7分弱の曲が最後に収録されているのだが、これが滅茶苦茶に良い。「勇気も愛もないなんて」も大好きなのだが、アルバムタイトルと同じ曲名にしたスローテンポ曲はNICOの本気を感じてたまらん。

 

ニワカ雨ニモ負ケズ(アルバム「勇気も愛もないなんて」)


NICO Touches the Walls 『ニワカ雨ニモ負ケズ』

凄いライブ映えする。NARUTO疾風伝のOPだった。アニソンらしい疾走感がある曲なので起用も納得できる。Cメロと最後のサビの間に間を作ってVoの語りが入れるライブのお決まりのパフォーマンスがとても好きであった。NICOはじらすバンドなのだ。

 

天地ガエシ(アルバム「勇気も愛もないなんて」)


NICO Touches the Walls 『天地ガエシ Live Ver.』

ライブ映えする曲。ACOとの相性も良く、カントリー調のアレンジも楽しく、ライブの度に別の表情を見せてくれて一切飽きない。天地ガエシがライブで披露されないとちょっとがっかりするぐらい好きだった。アウトロを永遠に繰り返し観客を休ませない「おかわり」では頭がおかしくなるぐらい跳ねた。

youtube公式にライブパフォーマンスをアップしているのは素敵。

 

■Funny Side Up!(「OYSTER -EP-」)


NICO Touches the Walls 『Funny Side Up!』(Short Ver.)

NICOの方向性がガラッと変わったなあと思いながらも、従来の空気を感じさせる絶妙に「新しい曲」という印象があった。このEP自体が通常とアコースティック版を両立させる前提でつくられているが、ライブで聴いたアコースティック版はめちゃくちゃにバイオリンが映えていて違う曲のように聞こえる。

Bメロからサビに向けての高まっていくのははまさしく「音を楽しんでいる」って感じでよい。演奏している彼らも楽しそうだった。

 

というわけで、好きだった曲のまとめはこんな感じだろうか。これ以外も色々あるが、ブログにまとめるとしたらやっぱりPVがあるような有名な曲になってしまうね。まだ利いたことのない人も是非聞いてみてほしい。