【シュガー・ラッシュ:オンライン】ディズニープリンセス夢の共演(感想:がっつりネタバレ)
シュガー・ラッシュ:オンラインを見てきた。1作目がかなり好きだったので、期待して見に行ったけど、1作目とは違ったよさがあってなかなか好きな作品でした。はてなブログのお題にもなっているようなので、便乗して感想を書きます。
インターネットの世界が楽しい(ここからネタバレ)
ざっくりと序盤から中盤のストーリーを説明しないと話が出来ないので、まずはネタバレをしてしまう。
■ヴァネロペがキャラクターとして活躍しているレースゲーム、シュガーラッシュの筐体のハンドルが壊れ、撤去が決定してしまう(古いゲームなのでネットオークションサイト「e-bay」にしかハンドルが販売されておらず、しかも高額)。
■ハンドルをインターネットで手に入れ、ゲームセンターに郵送すればシュガーラッシュは修理され、ヴァネロペの居場所を取り戻せると考えたラルフは、ヴァネロペと一緒にインターネットの世界へ
■e-bayのオークションで、仕組みを理解していなかったラルフとヴァネロペは価格を高騰させてしまい、大金を用意することを強いられる。
■胡散臭いポップアップサイトのアドバイスで、スローターレースという割と自由度の高いレースゲーム(今流行りのオープンワールド感がある)のクルマ(登場キャラクター「シャンク」の所持品)を盗もうとするが失敗。
■シャンクのオススメで、動画投稿サイトでの資金稼ぎを始める。懐かしのゲームのキャラクターであるラルフが面白い動画を作っていることで、そこそこバズり、資金稼ぎは順調
■ヴァネロペは他のサイトからの流入を増やすため、「広告」を持ってディズニーキャラクターが集うサイトへ。
シュガーラッシュの続編ということもあり(作り手がどこまで意識しているかは不明だが)、RPG感がある作品で、序盤から中盤は「お使いミッション」を次々こなしていくような構成になっており、終盤で大ボスが登場してクライマックスを迎える(大ボスの魅力については後述する)。
普通の作品であれば、序盤から中盤の"お使い感"は行き当たりばったりに見えてつまらない見えてしまうかもしれない。しかし、本作は我々が使い慣れたインターネットをアニメーションで表現することで、そのシナリオ上退屈に見えそうな筋書を楽しいものに昇華している。表現力の勝利である。
胡散臭いキャラクターがポップアップの看板を持ってインターネットの利用者(アバターの様になっている)に「これちょっと寄ってみませんか~?」と言っている様は、我々が歌舞伎町で見る胡散臭い客引きそのものであり、「あぁ普段2次元の画面で見ているこの様は、3次元の生活に書き起こすとこうなるんだな」と一々気付きがあって面白い。
見てるだけで楽しい表現力ってヤバいな、と感心してしまった。
ヴィランらしいヴィランがいない優しい世界
前作はラルフがヴァネロペと出会い成長する物語であったが、本作も基本的な筋書きは一緒である。ただ、本作の素晴らしい点は、「仮想敵」(前作におけるターボ)を創らず、自らの対峙で成長する様を描いていたところにある。インターネットのギミックを存分に使った最高のシナリオだった。
ヴァネロペは「スローターレース」の過激な世界が好きになってしまい、元のゲームに帰りたくないと心変わりする。しかし、ラルフはヴァネロペのことが好きで好きでしょうがないから、ヴァネロペにどうにかシュガーラッシュの世界に戻ってきてほしいと願い、スローターレースにウイルスを放ち、その世界を滅茶苦茶にしてしまう。
当然ヴァネロペは激怒。ヴァネロペに嫌われて傷心のラルフ。そこにラルフが放ったウイルスが現れ、ラルフ型のウイルスを量産してインターネット上が大混乱に陥ってしまう。
※プログラムの脆弱性を診断し、その脆弱性をコピーするウイルスだったので、ヴァネロペを連れて帰りたいという弱い心を持ったラルフがコピーされた。
結果、ラルフが量産されたウイルスラルフを説得する(=自らの弱さを認め、ヴァネロペと別れる決心をする。つまりは脆弱性がなくなった)ことで、ウイルスは削除されハッピーエンドを迎えるのだが、普通の映画では出来ない「自らとの対話、成長」をウイルスというギミックを用いて視覚的にわかりやすく描いたのが高ポイント。
さらに、このシナリオを見ると一部の方は「いやラルフが勝手なことをしたから人に迷惑をかけたんじゃん」とイライラしてしまうかもしれないが、それはこれまでの長い文脈の中で「ラルフは常にヴァネロペを考えながら行動している」という一貫性を作っていたので、僕はそれをあまり感じなかった。
特に動画サイトのコメントで中傷されているのを目の当たりにしたラルフがへこみながらも、「元々悪役だし、ヴァネロペのヒーローであればいいんだ」と言ったところがもうきゅんとしちゃってたまらんかった。こういう言葉の端々から見える愛情が、彼の失敗への嫌悪感を極限まで下げている。
この物語のオチを書いてしまうと、ヴァネロペはネットのゲーム「スローターレース」で暮らし、ラルフは元の世界に戻ることにした。遠距離恋愛ならぬ、遠距離友情となったのだが、ラルフはラルフで自分の生活を楽しんでいるようだ。
この物語のテーマは「相手を思っているつもりが、自分が大切になってしまっていた。」という普遍的な人間関係の失敗とそこからの再生である。それを誰にでも分かるようにインターネットという世界、ギミックを用いて描いたまさしく子供から大人まで見れるディズニーアインメーションの真骨頂だった。
ディズニーファン興奮のプリンセス大集合
ディズニー長編アニメーションもピクサーもマーベルも好きだから、ディズニーキャラ大集合が楽しみで仕方がなかったのだが、その反面「いやでもちょっと出てくるぐらいでしょ?」と高を括っていたところがあった。
当然ほとんどのキャラクターはほぼちょい役。ただキャラクターの特徴を捉えて印象強く登場させているので、「濃いちょい役」とするのが表現としては正しいかもしれない。
マニアックな質問に「僕はグルート」としか答えないベビーグルート。
ヴァネロペのディスにネガティブな反応を示すイーヨー。
警官としてストームトルーパー(帝国のテーマ付)。
何よりCMにもあったディズニープリンセスの競演がすごい。もはや彼女らはちょい役どころか物語のクライマックスにも噛んできてたし、アクションもしっかりとこなしている。
2Dだったプリンセス達が3Dになって描かれ、ヴァネロペの教示を受けラフファッションに身を包み、クライマックスで彼女らの特徴を捉えた協力プレーが見れるなんて夢のようでしょ。
ちなみに一番好きだったやり取りは、メルダのスタジオ違う弄り(ディズニープリンセスの中ではメルダが唯一ピクサーアニメ―ション)。
というわけで2018年最後の映画鑑賞の感想でした。
映画「シュガー・ラッシュ:オンライン」の感想 #シュガラお題
sponsored by 映画「シュガー・ラッシュ:オンライン」(12月21日公開)