定時後に映画館

ITパスポートの記事が人気の、映画ブログです。

【ヴェノム】言うほど最悪ではない。(感想:ネタバレあり)

www.venom-movie.jp

 

見てきた。

ヴィランが主人公の映画ということで、「基本スタンスは悪なんだけど、とある事情から別の悪と闘い、結果、平和を守ってしまった」的なストーリーを期待していたのだけれど、残念ながら方向性は全く違う。そもそも原作でのヴェノムはどんな立ち位置なんだろう?まぁ素直になれないアンチヒーローだけど、基本的にはいいやつ、敵な感じなのかな。

 

 

まぁ、可愛いって言われてしまうのもわかるわっていう感じの、バディヒーロー物であった。せっかくマーベル最悪と言われたヴィランを使うのであれば、もう少し・・・って感じはあったけれど、期待していた内容と方向性が違っただけで、決してつまらないわけではなかった。

 

むしろヴェノムに寄生されたことで正義感が増す主人公

主人公エディは記者なのだが、序盤でライフ財団の取材を依頼された際に、「人間による生体実験を行っていた」ことを追求し失脚。しかもそのソースが恋人の弁護士アニーのPCを盗み見て得た極秘文書だったため、アニーもリストラ。結果、破局

控えめに言って、まあ悪いやつではないけれど、ダメな奴である。正義のヒーローとは程遠い。しかも男らしい一面があるというわけではなく、なじみのコンビニにギャングが訪れても知らんぷり、同じアパートでギターをかき鳴らす騒音野郎がいても注意出来ない。

はっきり言って、ヴェノムに寄生されるまではただの残念な男なのである。

 

しかし、ライフ財団の科学者の内部告発を受け、宇宙から地球に持ち帰ってきたシンビオートの人体への寄生実験をしている現場を押さえようと深夜のライフ財団に忍び込むような行動力は持ち合わせている(もはやすべてを失った人間の捨て身の行動ともとれるが)。その「真直ぐになれない正義感」「ヒーローになり切れないヘタレ感」が人間らしくてよろしい。

 

で、結果ライフ財団に忍び込んだ結果、ヴェノムに寄生されることとなる。

その後の彼の成長は目覚ましい。

ヴェノムはエディを気に入ったため、地球を侵略するという本来の任務を捨てることになるのだが、基本的には「人間を食べたい」欲求を持ち合わせた外来種。寄生したヴェノムは人間を食べようともするし、人間離れした行動を規制したエディの身体で次々と行っていく(レストランの水槽に身体ごと浸かってエビを食べちゃう)。

彼を窘めなければいけないという立場が、エディ本人の精神を成長させ、ヴェノムの戦闘力を得たからこそ、ヘタレではなく自らの思う正義を強気に遂行できるようになる。

「決していいやつではない」×「最悪」=「いいやつじゃなかったはずが、いい感じに見える」

「へたれた精神」×「圧倒的戦闘力」=「2人なら最強だぜ!いえーい!」

的な、寄生されたことによるシナジーは作中で結構描けていると思う。つまり、バディヒーローものとしては成功だ。

 

ヴェノムは可愛い

常にお腹が空いているヴェノム。

エディに取りついて間もない頃、エディのありがとうに対して素直に「どういたしまして」と答えてしまう礼儀正しさ。

エディに恋愛のアドバイスをしちゃう感じ。

思ったよりも早く仲間のシンビオートを裏切り、地球のために闘うことを決意するヴェノム。

 

どっからどうみても、最悪ではない。チャーミングな、人間とは違う生き物である。

 

ヴェノムはキャラクターとして魅力があるのだが、エディとの和解があまりにもあっさり過ぎる(エディもヴェノムも「はぐれモノ」だったから、シンパシーを感じたらしい)のは、非常に残念。せっかくだからエディとヴェノムをもう少し対立させるとか、エディ側の恰好を丁寧に描くとかしないと、最悪なヴェノムが全然活きない。

あっという間に「2人はヴェノム!」な感じになってしまったのは惜しいところ。

 

アクションは面白いけど短い

地球に飛来したシンビオートのうち、最強格とされるライオットは、ライフ財団の長であるカールトンに寄生する。カールトンは宇宙からシンビオートをさらに呼び寄せ、地球の侵略に手を貸そうとクライマックスでロケットで宇宙に飛び立とうとする。それを阻止しようとするエディとヴェノム。

人間×シンビオート同士の闘いがクライマックスでは繰り広げられる。

ここがなかなか面白く、スライム状の生物が殴り合いをしている一方で、その中身の人間も殴り合っているような描写があり、そのアクションシーンはもっと尺をとってほしかった。

 

おそらく続編あり。

エンドクレジット中に、エディが快楽殺人者のクレタス?を取材し、彼が大虐殺がはじまるぜー!と言って終了。ググってみると、彼にもシンビオートがとりつくらしいので、続編のヴィランは彼になるだろう。

 

MCUに出張中もスパイダーマンも次回作でソニーの世界に戻ってくる権利はあるだろうから、ぜひとも共演はしていただきたいところ。原作ではクレタスに寄生するカーネイジはスパイダーマンとの共闘で倒したらしいので。

 

ちなみにエンドクレジット中に全く別の世界観のスパイダーマンのアニメがやってた。

2019年公開予定のスパイダーバースの特別映像らしい。結構長めなのでお楽しみに。


映画『スパイダーマン:スパイダーバース』予告