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【フリクリ オルタナ】17歳女子が青春を叫ぶ映画(感想:ネタバレあり)

flcl-anime.com

見てきた。

2時間20分の長編だからどうしたもんかな、と思ったけど映画館で何度も見た予告編のオーラに負けて、わざわざフリクリOVA版を前日に6話詰め込んで、見に行った。


劇場版「フリクリ オルタナ」& 劇場版「フリクリ プログレ」本PV

 

伝説のOVA作品として有名なフリクリを見た私の印象は

 

良くストーリーは分からないけれど、もやもやした小学6年生男子がピンク色の自由奔放なお姉さんに引っ掻き回されて、クライマックスでthe pillowsのカッコいい音楽をBGMにぐりんぐりんロボットが動き回る戦闘で魅せる作品。

頭で考えるのではなく、頭をベースギターで殴られて楽しむ作品。

 

といった感じだ。

つまり、勢いで面白がっていたが、そこまで愛着はない。

だが、「オルタナ」は結構楽しめたので、どんなもんだったか語るぞ。

 

フリクリっぽいけど、フリクリではない映画(まだネタバレなし)

フリクリの文脈やモチーフを利用して、女子高校生4人の青春を描きました」という映画であった。

フリクリという冠がありながらも、OVA6作に比べると明確に異質。まさしくオルタナなので、タイトル通りの作品だね。

 

もう少しかみ砕いて説明すると、

これフリクリじゃなくてよくね?と思われるほど、フリクリの文脈は無視していない。

ヒロインがもやもやすると頭から何かが生え、それをハル子が引っ張り出して戦闘開始、それも最高にクールなBGM付きで。アイロンが街に出現し、世界の終わりが訪れるという設定も引き継いでいる。パロディネタが散見されるのも、まぁ原作のリスペクトだろう。

ちなみに本作2時間20分程度の超大作なのだが、構成もOVAと同じように、短編×5という構成になっている(詳しい中身は後述)。

音楽も当然the pillowsだし、OVAで使われていた曲も流れるので、そこも嬉しいファンサービスだ。

 

そういった、「分かりやすくまとめるとフリクリってこういうOVAだったよね」という要素をまとめたときに上がるような表層部分のモチーフは引っ張ってきている。ちなみに僕はフリクリのそういう大まかな流れ、様式美が好きだったので、この点については非常に満足している。

 

しかし、「これぞフリクリ!」としっくりはこない

OVA6作の鬱憤を抱えた登場人物達が醸し出している空気感は、「オルタナ」については一切ない。

説明が難しいのだが、OVAの方はなんだか全体的に街の雰囲気も暗いし、登場人物の持つ闇の一面は決して1話1話で明確に気持ちよく解消とされるというわけではなく、あくまでも「世界が終わり」を生きる彼らがほんの少し救われると言うだけの話だったと思う。

だからこそ、一抹の希望、光としてハル子のキャラクターが映えていた部分があったし、最終6話のナオ太の活躍がクライマックスにふさわしいものになる。

僕にとって、OVAフリクリは捻くれた人間が6話分じっくりかけてハル子に巻き込まれながら、バットを振る人間に成長したという物語だ。

 

で、「オルタナ」はどうかというと、「今が一番幸せ♡」な友達大好きなJKが主人公であり、彼女を取り巻く環境は基本的にきらきらしており、清涼感たっぷりの作品に仕上がっている。

アイロンが露呈し世界の終わりを意識し始めるタイミングはかなり終盤で、それまでは、普通のJKとしての生活の中で、彼女ら4人の仲良しグループの面々が感じる青春な悩みを丁寧に描いているような作品となっている。

そういった青春を生きる女子高校生達に、フリクリの枠組みをあてこみ、彼女らの悩みの爆発をpillowsのミュージックにのせて、ピンク髪のお姉さんがベスパとベースギターでロックにファイトする感じに仕立てあげているのが本作だ。

 

要は、枠組みは同じようで、やっている内容は全く違う。

僕はそれ自体は悪いことだと思わないが、「こんなのフリクリじゃない!」な人が現れても仕方がないだろう、とは思う。だって、フリクリじゃなくてもこの作品は出来るからね。

 

「叫べ、17歳」な映画。

本作はショートストーリーが5本連なり、1つの作品を作り上げている構成となっている。

 

ショートストーリー5本の内訳とあらすじは以下の通り。

 

1.主人公のカナちゃんメインパート(ほぼ作品の導入)

-毎日楽しいよね~。うわーお、よく分からない地球外生物が攻めてきた!ピンクの人も来た!

 

2.仲良しグループの一人聖ちゃんメインパート

-聖ちゃん大学生と付き合ってるの!?え、別れるの?そんな簡単に別れるなんてわからないよ!

 

3.仲良しグループの一人満ちゃんメインパート

ー満ちゃんファッションデザイナーになりたいってマジ?でもバイトとコンテストの両立なんて無理だから手伝わせてよ!やったね、うまくいったね!!

 

4.カナちゃんが好きなクラスメイトの佐々木君メインパート

ー好きだと思ってたけど、やっぱりまだ恋は早かった♡

 

5.仲良しグループの一人友美ちゃんメインパート

ーアイロンが地球を真っ平にしちゃう!?それどころか小学生時代からの幼馴染が火星に行っちゃうなんて!ちゃんとお別れもしないなんてひどいよ、地球を救うために叫びます!

 

それぞれの物語で主人公のカナちゃんがもやもやするので(友達想いで感情移入し、すぐに友達言葉を交わしたくなる性格)、そのタイミングで頭から異形が発生、ハル子さんがベスパとギターでロックに闘って一件落着、が基本パターン。

「モヤモヤしたし、悩んだけれど、思いっきりストレス解消いえーい!!!」といった気持ちの良い展開を何度も繰り返しているのが本作。

流石に同じような展開が続くので、1本の映画として見たときは流石に間延びしている印象は持ったんだけれど、「オルタナ」スゲーなーって思ったのは1話1話は起承転結しっかりしていて「なんだこのキャラクター意味わかんねえよ」って矛盾がないこと。

最後のオチがよくわからなかったこと以外は、引っかかる部分がない優等生的な脚本だったと思う。

特に、登場人物(華のJK)の悩みにフォーカスして物語を展開しているだけあり、キャラクターの描写は丁寧で、彼女らが何を考えて、なぜこういった行動に出るのか、しっかりと腹落ちした。

よく脚本に振り回されてキャラクターがちぐはぐな動き方をしてしまう作品があるが、本作はその矛盾が生じていなかったとは思う。

 

総括

女子高校生のビタースイートな悩みと友達と支え合いながら乗り越えていく青春もの、として見たときの完成度は高いと感じた。ゴリゴリの戦闘シーンが良いアクセントになっている。

 

が、「フリクリ」でよいのかはわからない。「フリクリ」原作に思い入れがない人ほど、楽しめる作品な様な気がした。