定時後に映画館

仕事の片手間に映画の話をします。

【劇場版ポケットモンスター みんなの物語】今年のポケモン映画は一味違うぞ!(感想:ネタバレほぼなし)

www.pokemon-movie.jp

見てきた。

 

昨年の「キミにきめた!」に引き続き、TV本編とは全く関係のない設定で展開される本作。昨年の出来が良く、右肩下がりであった興行収入を立て直したこともあり、今年の映画にも期待している人は多かったのではないだろうか。

midoumairu.hatenablog.com

 ↑TV放送されたときはこの記事へのアクセスが爆発的に伸びた。やはりみんな注目していた作品なのだろう。

 

「みんなの物語」は今までのポケモン映画と違ったベクトルで楽しめる、個人的には好きな映画だった。

「みんなの物語」というだけあり、従来のサトシとピカチュウを主人公とした、伝説のポケモンとのドンパチを通じて一つのテーマを描く物語とは全く違った構成となっている。映画のオリジナルキャラクターがポケモンとの触れ合いを通じて成長する群像劇に近しい物語であった。

 

ぼちぼち感想を書いていくぞ。

 

◆サトシだけが主人公ではない。

前述したが、この映画は従来のポケモン映画とは全く違う構成をしている。

物語の中心に常にサトシがいるわけではなく、サトシはあくまでもポケモンとの絆を他のトレーナーよりもうまく築けているモデル的なトレーナーであり、一人の登場人物に過ぎない。

キャラクター|ポケモン映画公式サイト「劇場版ポケットモンスター みんなの物語」

登場人物紹介のところを見ていただければわかるが、顔なじみのキャラクターはサトシとロケット団のみ。

いつもの劇場版ならばサトシに達の周りにちょこまかついているモブっぽいキャラクターが多いように見えるが、彼らが全員主役級の活躍を見せる。

 

これが今作で一番思い切ったところだった。サトシを中心とした物語ではなく、ポケモンとの関わりを持つ人々の普遍的な物語。各々のバックグラウンドを持った登場人物がポケモンとの関わりを通じて成長していく、いわば全員が主人公の物語となっている。

 

とは言ったものの、キッズがちゃんと楽しめるように、ちゃんと起承転結があるストーリーになっている。決して、例えば「トレーナー、リサの場合」と言ったようにショートエピソードがいくつも連なっているような構成ではない。

様々なトレーナーがポケモンと協力しながら、街で起きた事件の解決に臨むという大きな筋書きはあるし、その筋書きは破綻せずしっかりと視聴者の気持ちを掴んでいる。その大きな筋書の中で、各トレーナーの人物像や彼らの心情を丁寧に描ききった(サトシ含めてメインキャラクターは6人近くいる。並大抵なことではない)ことが、本作の魅力に繋がっている。

ポケモンパワーはすごい。

メインキャラクター6名全員が主人公とはいったものの、大ベテラントレーナーのサトシと相棒ピカチュウの立ち位置はやはり別格である。トレーナーとポケモンの理想の関係を築いた彼らは本作における他の登場人物にとってのロールモデルであり、英雄的な存在となっている。

ピカチュウとの硬い絆で結ばれたサトシによる「一人じゃ出来ないことも、ポケモンと一緒ならやれる!※」という言葉が他の登場人物5名の気持ちを変えていく。

※このことを、劇中で「ポケモンパワー」とサトシが名付けた。絶妙なダサさがたまらん。

 

かつて陸上競技に打ち込んでいたが、ケガをきっかけに走れなくなってしまったリサ

研究者としての能力が高いが、自信がなく物事をはっきり言えないトリト

姪を喜ばせるために嘘をつき続けるカガチ

かつて愛するポケモンを失ったヒスイ

※メインキャラクターのうちの1名、ラルゴについては後述。

 

彼らが一つの事件を解決するために一致団結し、ポケモンの後押しで変わっていく様を劇場で見せつけられるのである。見せ場が4回もあるんだぞ、こんなに贅沢な映画があるか。

繰り返しになるがこれまでの映画は基本的には「サトシを中心としたメインキャラクターとポケモンの絆」がテーマであったが、本作は"みんなの物語"とすることで「トレーナーとポケモンの絆」を描いていた。

自分とは違う主人公とポケモンの物語ではなく、「ポケモンの世界にいる自分かもしれない誰か」とポケモンの物語なのだ。だからこそ普遍的なポケモン世界を生きるトレーナーとポケモンの物語になっていたし、感情移入もしやすい内容になっていると思う。

僕は今年、初めてポケモン映画を見て涙ぐんでしまった。カガチが・・・カガチとウソッキーが良いキャラしてるんだ・・・

ゼラオラのちょうどいい扱い

ポケモン映画と言えば幻のポケモンの活躍だが、本作の幻枠であるゼラオラもなかなか良いキャラクターをしていた。

ある事件をきっかけに人間を信頼しなくなったゼラオラが、ラルゴという女の子との交流を通じて心を開き、最後には人間と和解、街で起きた事件を一緒に解決するというのが彼にまつわる本作の大まかな話の流れである。

ポケモン映画ではありがちな展開だが、本作における彼の役割、というかラルゴと彼の関係性が持つ役割は大きい。

 

本作のテーマは、前述したポケモンパワーに凝縮されており、要は「1人じゃ出来なくても、ポケモンと一緒なら頑張れる!前に進める!」であり、そのテーマを様々な人間とポケモンとの交流の中で描いてきたわけだが、ラルゴとゼラオラの関係においては主体が逆なのだ。

 

ラルゴが終盤に「トレーナーは、ポケモンと一緒に居ると頑張れる。ポケモンも、トレーナーと一緒に居ることで幸せになれたらいいなぁ」(ごめん、正確なセリフは忘れた。)的なことを言うのだ。そして、クライマックスでゼラオラは人間の皆の声援を受けながら、力を振り絞って鉄柱と闘う(詳細は劇場で見てください、適切な表現が思い浮かばない)。

 

つ、ま、り、ラルゴとゼラオラの関係はあくまでもポケモンが主体になっており、彼らの視点があるからこそ、トレーナーにとってのポケモンの立ち位置を一方的に語っている独りよがりの映画にならず、トレーナーとポケモンがパートナーであることをしっかりと印象付けることが出来ているのだ。

 

去年のマーシャドーに比べると、本作のゼラオラはしっかりと物語の中で役割を持てていた印象。メインの伝説ポケモン幻のポケモンの扱いで物語に歪が生まれている作品もそこそこあるので、本作はとてもうまく構成していたと言えよう。脚本完璧なんだよなあ。

 

◆おまけ

まぁもはやポケモン映画は心配することないけれど、今年も声優の皆様は違和感なく仕事をしてくださっていました。個人的には濱田岳の優しい声が好き。

 

来年はミュウツーの逆襲のリメイクもしくはリブート版みたいだ。今年から監督が変わったけど、本作を創った人なら期待できる。ぜひ頑張ってほしい。