【坂道のアポロン】律子が可愛い(ざっくりとした感想)
坂道のアポロン コミック 1-9巻 セット (フラワーコミックス)
- 作者: 小玉ユキ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/05/04
- メディア: コミック
- 購入: 1人 クリック: 1回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
実写映画化されるし、原作が9巻で完結するという魅力に駆られ、一気読みしてしまった。
青春をこじらせた素直になれない主人公(西見 薫)、がさつに見えて繊細な心を持ち合わせている闇を抱えた親友(川渕 千太郎)、そして親友の幼馴染でTHE 田舎の心豊かな女の子感が満載のヒロイン。
この布陣!彼らがわちゃわちゃしているだけである程度楽しめてしまうずるさがある。僕は結構少女漫画が好きで、キャラクターの心理描写とかよくわからない縺れた人間関係みたいのを永遠と見れられるのが個人的なツボなのだけれど、坂道のアポロンも例にもれずその手の作品であった。期待通りである。
何といっても、律子が可愛い。こんなに可愛い女の子が他にいるだろうか。この、素朴な・・・純粋な感じ!!!癖がない、嫌味でもないただの女の子。行動原理全てに共感が出来る。その魅力をしみじみとかみしめながら僕はこの作品を読み進めていた。
彼女の心の動きは至ってシンプルで、下手にドロドロしていないからとてもすっきりしている。納得のいかない動きもなく、物語を盛り上げるために下手なすれ違いを演じたりしない。単に幼馴染の千太郎が好きだったが、主人公の薫に好意を寄せられ、感情が揺さぶられながらも最後には薫を好きになる。この間両者を汚らしく天秤にかけるような真似はしないし、行ったり来たりもしない。その分かりやすさ、潔さが気持ちよく、可愛らしい。
なぜ、この名ヒロインが誕生したのか。
薫も千太郎も情緒不安定で女々しいので、律子というぶれの少ない存在がいなければ、作品が離散してしまうからだと私は妄想する。
「坂道のアポロン」は三角関係の物語と思わせておいて、実は薫と千太郎の友情がほぼ物語の主軸で、彼らがすれ違いや喧嘩を繰り返しながらも友情を育んでいく物語と言ってしまっても良い。主役は薫と千太郎なのだ。
ゆえに、律子は彼らを乱すような行動を慎まなければならない。読者には彼らの友情に集中してもらいたいから、必要以上のエネルギーを割くようなヒロインであってはならない。彼らのすれ違いの原因でありながらも(三角関係でありながらも)、彼らをまとめあげるポジションを求められる(恋愛故の友情の崩壊を招くわけにはいかない)。
そのためには、純粋に、プラスでもマイナスでもない、物語に波風を絶たせない品行方正なキャラクターである必要がある。恋に積極的になりすぎず、皆でいるのが好きな、必要以上の味付けもされていない、いわゆる良い子。そんな女性が物語の中心に必要だったからこそ、律子という毒なき素朴なヒロインが誕生したのだ。
まぁヒロイン論はどうでもいいのだけれど、前述した通り、全体的に「坂道のアポロン」男性が読む分には「ちょっとこの男子たち女々し過ぎないか?」と思ってしまった。
こう・・・もっと男子はさばさばしているというか、ここまで友情の在り方や人間関係について深く思い悩むことはないような・・・。どちらかというと、女の子同士の友情のやり取りを見ているような気分で、それはそれで微笑ましいなという感じ。まぁ登場人物の心の揺れ動きや特に薫の繊細な感情は伝わってきたし感情移入が出来ないというわけではなかったので、「現実の男はこんなんじゃない!」という意見は野暮なのだが、どうも「これ考えすぎだろうぅ」って部分が引っかかってしまう。そんな作品でもあった。
しかしそんな違和感を正す役割を持っている人物がいる。こんなのおかしいよ!と伝えてくれる女性が。
そう、律子であr(この記事の冒頭に戻る
今回のオチ
ヒロインが最近気になっている小松菜奈さんでびっくりした。でも、律子のイメージとはちょっと違う、ちょっとだけ、ちょっとな。
映画は見ていないんだけど、やっぱり大人になってから過去を振り返る感じの描写は青春映画の王道で、「坂道のアポロン」は原作でも大人になった後のことを描いてるから映画化しやすかっただろうな。