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【グレイテスト・ショーマン】成功の光と闇(感想:ややネタバレ)

www.foxmovies-jp.com

見てきました。

ラ・ラ・ランド」の製作チームが贈る!的な触れ込みがあった気がするけど、楽曲が「ラ・ラ・ランド」でアカデミー賞を受賞した方らしい。監督や脚本は別だということを私は見てから知った。

 

あらすじはwikiを見ればしっかり書いてあるので、細かくは書かないが感想を書く上でざっくり内容に触れる必要があるのでその程度のネタバレはご了承いただきたい。

 

ちなみに後からブログを書くために調べた結果知ったのだけれど、主人公のP・T・バーナムは実在した人物らしく、つまりこの映画は「史実に基づく物語」ということになる。

遥か昔に読んだ「実業者の成功物語」的な自己啓発本(タイトルさえ覚えていない)と「グレイテストショーマン」が、全く関係がない作品であるのにも拘らず内容の大筋が似通っていたので、勝手に驚いていたのだが、この世に生まれるいわゆる成功者と言われる人間がが辿る道筋はおおよそ同じようなモノなのだろうと妙に納得してしまった。

 

余談が過ぎたが、本作の魅力を語りたい。

やはりミュージカル映画は見栄えが良い


映画『グレイテスト・ショーマン』予告D

予告も最初10秒の引きがすごいが、まさしく本編もこのシーン・歌から始まり、主人公のバーナムが回想する形で物語が展開されていく。

 

音楽と役者の動きで魅せる作品はやはり没入感が違う。オープニングの引きが良い作品は勢いで最後まで気持ちよく見ることが出来るが、この作品もその類の映画。

 

また、ショービジネスが物語の根幹にあるので、劇中に幾度も訪れる歌と踊りで構成される"ミュージカル"なシーンは刺激的で楽しい。

バーナムが酒場でフィリップ・カーライルを口説くシーンの、ショットグラスで酒を開けながら交渉を進めるパフォーマンスが一番の好み。ヒュージャックマン演じるバーナムは主人公として圧倒的な存在感を放っていたのだが、ザック・エフロン演じるフィリップ・カーライルも第二の主人公としてかなり見せ場があり、彼が歌っているシーンは総じて良かった印象。空中ブランコ演者のアンと宙を舞いながら歌っている様は圧巻だし、ラストシーンでバーナムから帽子を受け取りステージに躍り出る彼の楽しそうな表情が目に焼き付いている。

 

本作の軸は①「成功」の定義と②個性を武器に闘う人間の在り方

脚本の良いミュージカル映画は無敵である。

グレイテスト・ショーマン」はテーマ性が強い作品であり、作品が伝えたいメッセージが分かりやすい。かつ、我々が期待する結末に向けて物語が進行していく期待を裏切らない盤石な構成をしている。歌と踊りで完成を揺さぶる系の作品は、視聴者の気持ちが離れないように矛盾なく堅実に物語を進めて、期待通りの結末に落ち着くことが大事だと勝手に私は思っているのだが、本作もその類の作品であった。

 

見出しに書いたように、テーマは2つ。

①「成功」の定義

バーナムは貧困層の生まれであることがコンプレックスで、個性と才能に恵まれながら社会から疎外されている人々(公式HPではこのように記載されている)を起用したショービジネスで成功をおさめながらも、上流階層に認められる「本物」のショーを魅せたいという野望を抱き、歌姫ジェニーリンドを起用したショーにのめり込んでいく。

元々家族の幸せのために努力を重ねていたバーナムが、その本来の目的を忘れさらに高みへ高みへと貪欲に邁進していく様は見ていて心が痛かった。(富裕層が集まるパーティからショーのメンバーを締め出したシーンにはイラっと来た観客も多かったのではないだろうか)

 

結果的にジェニーリンドとの恋がこじれてバーナムは失脚、一度は家族を失いかけることとなるが、バーナムが起用したショーの団員に助けられて返り咲く。

家族サービスのために後継者に出番を譲りショーの本番を中座する形で物語は締めくくられるが、人間にとっての幸せや成功の定義に一つの答えを出していてとても救いのある物語だと私は感じた。

 

②個性を武器に闘う人間の生き方

本作主題歌の「THIS IS ME」はバーナムのショーで髭女として活躍しているレティ・ルッツによる劇中歌。歌詞を見れば分かるが、社会的に阻害されていた要因であった個性を才能と再認識しに自らを主張する勇気を得た様を歌っている。

 

現代においては彼女のような身体的に特徴がある方への差別も少なくなってきているが、バーナムが生きた当時は今よりもずっと差別的で、劇中でも彼女らは何度も何度も阻害されている。しかし、ショーのスターとして活躍することで彼女らは自信を得て、自らを隠す必要がないと力強く生きることを決意する。その様を見ているとなんとなく勇気が湧いてくるのだ。

 

だが、本音を書いてしまうと、いわゆる「社会的マイノリティ」(語弊があるかもしれないがこのように表現してしまう。wikiによると「多くの場合、そのグループの一員であることによって社会的な偏見や差別の対象になったり、少数者の事情を考慮していない社会制度の不備から損失を被ることを前提とした呼称」とのこと。)をテーマとして扱った作品は重くなりがちだと思う。少なくとも私自身は重いと思ってしまう。

 

「差別的な不必要かもしれない配慮」のようなものをしてしまうのだ。「あぁ気の毒だなあ」という気分で見てしまうのだ、どうしても。作中の差別的な描写が多ければ多いほど、「辛いなあ」という気分が積み重なってしまい、彼らが救われるシーンが訪れたところで、その積み重ねた負の感情が払拭されることはまずない。

 

しかし「グレイテスト・ショーマン」においては、テーマ2つのバランスが上手く取れているので、見てて目を塞ぎたくなるような重さはない。

主人公であるバーナムは基本的にショーを成功させることだけを目的に仲間を募っており、いい意味で彼はショーで活躍する団員達に対して無頓着だ。そのため、彼を中心に展開した物語である以上、「マイノリティが活躍するには・・・」的な説教じみた内容には決してなっていないし、「彼女らが迫害されている」という描写も悲劇的に描かず、彼女らが乗り越えるべき一つの壁程度の扱いにとどまっている。

 

ただ、「THIS IS ME」を彼女らが歌い、その気持ちに我々が共感する。その描写にとどまっているからこそ、不必要な配慮をすることなく、彼女らに感情移入できた。それで十分なのである、歌の力はすごい。

 

まとめ

綺麗にまとまった優等生的な作品。

マイケルグレイシーさんはまだ監督としての実績は浅い方だと思うけれど、これだけ面白い作品が作れるなら次もぜひ見たいと思ったところ・・・『NARUTO -ナルト-』のハリウッド実写映画版の監督をやるらしい。

楽しみだってばよ。