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【キングスマン: ゴールデン・サークル】正統派続編であり完結編(感想 : ネタバレあり)

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見てきた。

キングスマン(1作目)」はコメディ色強めだけれど、スパイ映画として我々視聴者が求めているであろう要素(激しいアクション・グッズ・恋愛)がふんだんに盛り込まれた最高のエンターテイメントだったのだけれど、「ゴールデン・サークル」も大枠は変更なく「1作目を楽しんだ人なら2作目も楽しめるんだろうな」といった感想だった。

 

私は1作目の方が好きだったのだけれど、もちろん「ゴールデン・サークル」も好き。

1作目は「蛆虫」のような主人公がスパイとして成長していき、師の死(狙ったわけじゃない)を乗り越えて世界を救うという王道がぴったりはまっていたが、2作目は既に主人公が成熟しきっている以上1作目のような努力友情勝利的な展開は難しい。

コリンファース再登場によって物語の緩急は作れていたものの、やはり「ゴールデン・サークル」は1作目に比べると少し見劣りする。2時間20分ほどの作品だったので、流石に集中力が切れてしまった。

しかし3作目への期待が持てる作品ではあったので、全体的には印象良し。

 

いきなりネタバレありで縦横無尽で語りつくすぞ。とてもブログが書きやすい作品だから助かる。

ちなみに、ネタバレ大筋はwikiに書いてあるから、気になる人はチェックしてみてほしい。長いからブログであらすじ書くのも大変なんだよぉ・・・。

コリンファース(=ハリー)が物語の主人公

いや、もちろん主人公はエグジーであり、彼を中心として物語は展開されていくのだが、「この作品の見せ場を作り、盛り上げた立役者は?」と訊かれたらコリンファースではなかろうか。

 

そもそも1作目で頭を撃ちぬかれたはずの彼は、ステイツマンによって救出されていたが、記憶喪失した状態で再登場。エグジーによって彼の記憶は取り戻されるのだが、物語中盤ではまだハリーは本調子ではない。

1作目の酒場のシーン(「マナーが紳士を作るんだ」からのチンピラ数人を撃退する)を再現しようとしたところ、ことごとく失敗。ステイツマンエージェントウイスキーに見せ場をとられる。

更に麻薬に混入された毒の解毒剤を奪いに敵のアジトに向かうシーンでは、視聴者をハラハラさせるレベルのポンコツさ。素人を気絶させるのもままならず、視界には幻覚の蝶が飛んでおり、ゴンドラの操作もままならない。

 

そんな彼が仲間であるはずのウイスキーへのヘッドショットを決めてしまうのだから、エグジーも、もちろん視聴者も「こいつ大丈夫かよ」と思ってしまうのは仕方があるまい。

結果的にウイスキーはポピー率いるゴールデンサークルの内通者ではなかったものの、個人的な信条でキングスマンのミッションを邪魔しようとしていた敵ではあったのだが、「やっぱりそうだった!」という物語終盤の答え合わせが爽快である。なお、その時には既にハリーはエージェントとして本調子に戻っているので、なおさら気持ち良い。

 

つまり、

師であるはずのハリーが復活したが、全然ダメ(物語に緊張感を持たせる)

調子が戻ってきて、エグジーの頼れる師として復活(本来の役割を取り戻し)

更にポンコツの失敗だと思っていたウイスキーへのヘッドショットが正しかったことが証明される(やっぱりハリーは最高のエージェントだぜ!)

 

といった綺麗な物語の流れが彼によって生み出されているのである。

 

ステイツマンのアクションが楽しい

早回しの激しいアクション(体術と自動式拳銃・傘や旅行鞄といった紳士的グッズの組み合わせ)がキングスマンの基本であるが、ステイツマンの闘い方がキングスマンと全く違うため、途中で飽きが来ないのが嬉しい。

 

ウイスキーは結果的に裏切ってしまったが、回転式拳銃(二丁拳銃)とレーザー投げ縄を中心としたアクションはキングスマンのモノとは一切異なり、見ていて楽しい。

彼の見せ場は2回あるが、そこで彼が圧倒的な強さを見せつけたからこそラスボスとして映える(流石に1作目で生き延びたキングスマン堕ちの半身機械や犬ロボットでは締まらない)。

キングスマンの2人のエージェントVSステイツマンの異文化交流戦も派手ではないが生々しくて悪くない。

ちょっと頑張って重たいテーマを扱おうとしている

1作目は手放しの愉快犯が携帯電話を使って優良民族のみ生き残らせようとした構成だったが、2作目は基本的な構造は同じではあるものの、多少捻っている。

 

敵組織ゴールデンサークルのトップポピーは自己顕示欲の暴走の結果、麻薬に毒を盛り、麻薬の合法化を交渉。毒が盛られたのが麻薬というところが面白い。死に至る毒に侵された人間は基本的には犯罪者であり(劇中でも触れられているが治療目的や若気の至りで麻薬をやってしまう人もいる)、彼らを救うべきなのかという倫理的な問題も扱っている。まぁそこは正答派スパイ映画らしく「どんな人でも救うべきである」というのが物語としての回答であり、麻薬利用者と麻薬の販売者を一網打尽にしようとした米大統領は逮捕されるというオチで終わった。

 

裏切ったステイツマン「ウイスキー」も、麻薬中毒者にかつて恋人を殺されており、彼が私怨でキングスマンの邪魔をしようとしたのも何となく納得できてしまう。倫理的なグレーゾーンをついた麻薬だからこそ、キャラクターの信念に違いが出て面白い。

 

手放しに敵を悪だと言えてしまう1作目と比べて、「まぁあいつの言いたいこともわかるよね(ただしサイコパスのポピーは除く)」と納得できてしまう部分があるのが本作の魅力。中盤で味方として活躍したウイスキーの顔をちゃんと立てているのがよろしい。

続編ならテキーラが主人公?

「ゴールデン・サークル」で第1部キングスマンの幕が閉じられた感はある。

キングスマン所属のスパイは物語の冒頭でほぼ全滅(ロキシーまで死亡したのは正直びっくりした)。さらに物語のクライマックス直前でマーリンがカントリーロードを熱唱しながら自ら踏んだ地雷で昇天。

主人公エグジーは劇中に「スパイという立場上結婚して王室に入るのは・・・」と口を濁していたにもかかわらず、ラストに結婚。

 

ラストカットではテキーラチャニング・テイタム=あの「マジック・マイク」で主演を演じた最高の筋肉俳優である)がキングスマンの店の前に訪れていて、彼がキングスマンのエージェントとしてこれから活躍することが暗示されている。

本編ではポピーが毒を盛った麻薬を服用してしまったこともあり、凍結されてあまり見せ場はなかったものの、「彼は強いが紳士としては完成されていない」ということを一瞬の登場シーンで視聴者全員に強烈に印象付けた。

「ステイツマンのエージェントではなく、キングスマンのエージェントとして成長していく物語」がキングスマン3作目として描かれるのであれば、もう楽しみで仕方がない。チャニングテイタム好きなんだよ。

 

以上。キングスマン、手放しに楽しめる最高の作品だから続編も早めに撮影してほしい。