【ブレードランナー2049】ブレードランナーを見てなくても楽しめる(感想:ネタバレなし)
実は私、SF物はあまり得意ではない。「ブレードランナー」のような設定が凝っていて舞台背景をよく知っていないと「???」という作品は特に。
それでも、「ブレードランナー2049」の前作にあたる「ブレードランナー」はSF映画の名作と言われているので、映画好きを公言しているからには見ないととダメでしょうということでDVDで鑑賞済み。で、「2049」の方も友人に誘われたから見に行ってみようということで・・・。
見てきました。
しかも新宿TOHOシネマズのMX4Dで見てきてしまいました。
せっかくなので、その感想も含めて書いていきたいと。「シンゴジラ」がMX4Dのデビューだったんだけど、「ブレードランナー2049」の方が、MX4Dのクオリティは高かったなあ。
ちなみに、「ブレードランナー2049」僕は解説が出来るほど詳しくないので、ネタバレはなしのオススメ記事として書かせていただきますね。
そもそも、どんな映画か。
TOHOシネマズのあらすじから引用。
2049年、貧困と病気が蔓延するカリフォルニア。人間と見分けのつかない《レプリカント》が労働力として製造され、人間社会と危うい共存関係を保っていた。危険な《レプリカント》を取り締まる捜査官は《ブレードランナー》と呼ばれ、2つの社会の均衡と秩序を守っていた―。LA市警のブレードランナー“K”は、ある事件の捜査中に、《レプリカント》開発に力を注ぐウォレス社の【巨大な陰謀】を知ると共に、その闇を暴く鍵となる男にたどり着く。彼は、かつて優秀なブレードランナーとして活躍していたが、ある女性レプリカントと共に忽然と姿を消し、30年間行方不明になっていた男、デッガードだった。
うーんまさしくSFって感じ。
ちなみに、初代「ブレードランナー 」の主人公がデッガード。前作の主人公が登場する、ファンとしては熱い展開だね。
ちなみに僕は「ブレードランナー」を見たんだけど、内容ほとんど覚えてない状態で「2049」を鑑賞。それでも十分楽しめたから、初代をよく覚えていない人も安心して見に行ってほしい。
しかし、当然「ブレードランナー」初代の内容は分かっていたほうが楽しめるので、時間がない人はwikiのあらすじを見てから劇場に足を運ぼう。
没入感ある「未来の世界」が楽しい
2049年の世界を描く本作。ストーリーの面白さはこの後書くので、まずは魅力が伝わりやすいところから。
SF作品といったら僕はスターウォーズやスタートレックを思い出すんだけど、僕はそれらを見るとき、どうしても「フィクションでしょ」と思ってしまう。ハリーポッターやロードオブザリングを見ているときと、全く同じ気持ちで見ているのだ。
これはただの僕の私的な考え方であり、暴論である。でも、なんとなく分かってくれる人もいると思う。
「自らの生きる世界とは、全く違った世界の話。」
多くのSF作品を見るとき、僕はそんな気持ちで見ている。
ジャンルがどうこうの話はどうでもいい。なぜこんな話をしたのかというと、「ブレードランナー2049」は「本当に2049年になったらこんな世界になるんじゃないか」と視聴者に思わせる力がすごいということを言いたかったからだ。
自分たちとは違う世界というよりは、自分たちが生きる世界の延長線上にあるリアルな未来を見ている感覚。
本作は2時間44分もある長編で、話が複雑なのでかなり敷居は高い方だと思うが、何も考えずに映像を見ているだけでも、未来の地球を見ているようで楽しいというのはかなり見ている側としては励みとなった。世界観が作り込まれていて、没入出来たからこそ難しいストーリーが理解できたとも言える。
抽象的な話だけしてても仕方がないので、物語の本筋に関わらないところで感心したところを書いておくと
◇主人公のKの恋人が、リアルなホログラムっぽい人工知能
◇保存用のメディアが球体のガラスっぽい素材で出来ている
◇女性の爪装飾を溶接で行う
・・・結構どうでもいいことばっかりだったな。Kの恋人は本作で結構活躍するからどうでも良くはないんだけど。
でも、こういうどうでもいいような日常的なワンシーンに、「あ、これあり得そう」が散在しているのが楽しいわけだ。荒廃的な街の雰囲気も近未来的でみているだけで刺激的。
こういう世界観に浸れるだけってだけでも、まぁ楽しむことが出来たってわけだ。
思ったよりもドンパチ主体ではない。
派手な銃撃戦や激しい肉弾戦が繰り広げられる作品を想像していたのだけれど、予想と異なり本作は本格的なミステリー映画(=主人公が謎を解き明かすことを目的とした映画)であった。
ネタバレ一切なしなので、あまり詳しくは語れないが、カギを握る人物を探るうえで、主人公の出自や前作主人公デッガードとの関係性の謎など、一つ物語が進展する度に新たな謎が生まれ、観客へのミスリードを華麗に仕向け、結果的に「こういうことかよ!」と膝を打つ感じのオチとなっている。
よくあるスパイものやアクションもののように主人公がドンパチをして敵をなぎ倒すという内容ではなく、ミステリものが好きな人が楽しめる頭を使う映画だということだ。
そういうジャンルが好きな人には、ハマる映画かもしれない。
倫理観が問われる
人造人間を労働力として使っている世界観。その中で、「生命とは何か」を問うようなやり取りが散在する。人間、レプリカント、そして生き物ではない人工知能も主要人物がいる中、様々な人物が社会や人間の在り方についてそれぞれの哲学を持っている。
僕は頭が悪いので、先の展開の予想ばかりしていてこのような哲学的なやり取りは結構流してしまっていたのだけれど、割と良いこと言ってた気がするので、そういう雰囲気が好きな人はぜひ注目。
個人的には人工知能に対して、人造人間が「あなたは空っぽ」というシーンがグッと来たな。人間同様に思考する人工知能と、人造人間って何が違うんだろう?と心に引っかかっている。
しかし、2時間44分は長すぎる。MX4Dはありがたかった。
全体的に面白かったが、流石に2h44mは長すぎだ。途中で退屈する場面もいくらかあった。画も悪くない、脚本も面白いということで、退屈しにくいクオリティをおおよそ保てていたからよかったものの、もう少し短くまとめることは出来なかったのかとは何度も思い返す。
私は4DMXで本作を見たのだけれど、あの様々なギミックは退屈をしのぐうえで大いに貢献してくれたので、本作に限っては4DMXで見れてよかったと思っている。
例えば
◇煙が立つシーンでは、スクリーンの前に実際に煙が立つ。
◇シャワーが出るシーンで、顔面目掛けて水しぶきが飛んでくる。
◇ウィスキーを注ぐシーン、花を手に取るシーンで、ウィスキーや花の匂いがする。
◇偵察用ドローンの動きに合わせて座席が動く
などなど。
シンゴジラでは椅子が揺れるとか左右のライトがちかちかするぐらいだった気がするけれど、「ブレードランナー2049」はMX4Dの機能を存分に活かしきっていた。
まだ公開しているかわからないけれど、4DMXで見れる劇場があるならぜひ足を運んでみてほしい。ちなみに、通常料金+1600円。結構高いが、それだけの価値はある。
まとめ
「ブレードランナーってSF」という先入観を投げ捨てて見に行くと、結構楽しめる。しかし、長い。とにかく長い。長時間の視聴に耐えきれる人ならば、おおむね満足感は得られる作品でしょう。
余談だけど、「ブレードランナー」の原作って「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」なんだね。読書も好きで調べてるとよく「読むべき名作」として挙げられている作品だと思ってたけど、まさか「ブレードランナー」の原作だとは思わなかったよ。