【スパイダーマン:ホームカミング】ベンおじさんは死なない(感想:ネタバレあり)
見てきた!すげー面白かった、過去の「マーベル・シネマティック・ユニバース」作品で上位3つをあげるなら「アントマン」「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーリミックス」「スパイダーマン:ホームカミング」だな間違いなく、ってぐらい好き。
話の流れやオチは説明しないけれど、ところどころネタバレ要素が含まれているので、注意しながら読んでください。
あらすじ
まあここを見てほしい。
映画『スパイダーマン:ホームカミング』 | オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ
あとは、wikiではご丁寧に一から十までネタバレがされている。
スパイダーマンは「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」で、アイアンマン陣営のスペシャルゲストとして初登場したわけだけれど、「ホームカミング」はその後の出来事。
よって、過去のスパイダーマンの映画(初代:アメイジング)のように、蜘蛛に噛まれて能力覚醒する経緯や、ベンおじさんが死亡してヒーローとしての意識が芽生えるシーンなどはない。
正直過去シリーズでその経緯は散々我々も見てきたので、省いたのは大正解だと思っている。「ホームカミング」では別の角度でヒーローとしての意識が芽生えるピーター・パーカーが描かれているので安心してほしいし、これまでのスパイダーマンシリーズとは一味違った出来となっている。
↑なお、予測変換で「死にすぎ」と言われているぐらいである。よく省いてくれた。
今回の悪役は、トニー・スタークに個人的な恨みを持つ・・・とあらすじで書かれている、「バルチャー」と呼ばれる男。「アベンジャーズ」「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」の戦火の残骸を不法に回収し、特殊な武器を開発、それを密売して儲けている組織のリーダーだ。廃品回収を正当に行っていたところ、トニースタークにその権利を剥奪された故に、恨みを持っているという設定ではあったが・・・作中でトニースタークに対してバルチャーが強い恨みを持っているという描写は少ない。
もはや宇宙規模の闘いに巻き込まれるのが当たり前となっている中、かなり今回の悪役は小物となっている。事実、バルチャーはチタウリやウルトロンが残した残骸を使った武器を密造していることをアベンジャーズに知られることを極端に恐れていたし、恨みを持っている割には真正面からアイアンマンに勝負を仕掛けようとは最後までしなかった(彼の所有物を盗もうとはしたが)。
しかしスパイダーマンとバルチャーの実力はほぼ拮抗しており(むしろバルチャーが上手である)、作中序盤のスパイダーマンがまだ遠くアベンジャーズの面々には及んでいないことがよく分かる。バルチャーには人間味もあったし、結構良い悪役として活躍していたのではないだろうか。
色濃くヒーローとしての葛藤が描かれている
「マーベル・シネマティック・ユニバース」作品の中でも「ホームカミング」が異質だった点は、ヒーローではないピーター・パーカーの私生活にかなり焦点を置いている点だ。
「ただの高校生としてのピーター・パーカー」と「スパイダーマンとしてのピーター・パーカー」両方をしっかりと描いている。ヒーローであることを前提にした他の「マーベル・シネマティック・ユニバース」作品の主人公とは違い、ヒーローになりたいけれどなれない高校生だからこそ、ヒーローではない一面の描写がしっかりなされていたって感じだろうか。
元より「マーベル・シネマティック・ユニバース」作品では「ヒーローの在り方」について主人公が葛藤する場面が必ずといっていいほど存在するが、「ホームカミング」ではその要素がより強く描かれていた気がする。
高校生としての生活を送るうえで大切なものをとるか、ヒーローとして大切なものをとるか。あるいは、アベンジャーズのような世界を救うヒーローになるか、今まで通り地元で大切なものを守るヒーローになるか。そういった彼の迷いを丁寧に描かれている。
特に、恋愛とヒーローどちらをとるかを彼に選択させたのはなかなか良いシナリオだと思った。意中の女の子の父親が悪役というシチュエーションにしてしまうのも素晴らしい。おぉ、と唸ってしまった。
まぁ結果的にピーターがどんな選択をしたのかは劇場で確認してほしい。「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」のことを考えると、まぁこういう選択が制作者的視点で考えても正しいだろうな、といったところだった。
ピーター・パーカーの高校生らしさがとても良い
マーベルのヒーローはおっさんである。可愛らしい青年が主人公であることはまずない。
しかし、今回遂に15歳のヒーローが爆誕。トムホランドがとてもいい演技をしていた、あどけなさが残る優しいヒーローを演じている。本作の序盤に彼視点での「シビルウォー」への参加経緯が描かれえているのだけれど、ずっとはしゃぎながらカメラ回している感じが可愛くてしょうがなかった。あぁ、高校生って感じ。
スパイダーマンは「スクールカーストの下層に位置する陰キャだけど、実はヒーローとして活躍しているんだぜ?」的な隠れた優越感なしでは語れないが、今作もその感じは健在。序盤うだつが上がらなかった嫌な奴の鼻を明かすスカッとするシーンもちゃんとある(残念ながらピーターパーカーとしての活躍ではなく、スパイダーマンとしての活躍ではあるが)。
また、しっかりと高校生らしく恋もしている。スパイダーマンのスーツに搭載されている人工知能に対して恋の相談をしているのがとても面白い。どちらかというと恋愛が成就するというよりは、ピーター自身の恋愛への恰好に焦点を当てているのも、高校生の恋愛っぽくて良かった。
またあの世界の高校生にとっての、アベンジャーズとはどのような存在なのかが小ネタ的に挟まれているのが面白い。教育用のビデオにキャプテンアメリカが出演していたり、ヒーローの中で誰がカッコいいかを女子が話し合っていたり・・・。
Team Thor - Official Marvel | HD
ソーのオフカットの映像もそうだが、こういうヒーローの日常や客観的な一般人の視点が入っているシーンは世界観を深めるうえでとても有用だと思うし、見ている側も面白い。小ネタ、万歳だぜ。
脇を固めるキャラクター達
ヒーローとしての指針であるアイアンマンことトニースターク、そして「椅子の男」ことネッド。彼らがとても良い味を出している。
まぁトニースタークがどんな役割を持つかは皆さんお察しの通りだと思う。その役割を存分に発揮できていた。期待通りだ。
今回声を大にして言いたいのが、ネッドの存在の価値である。彼もピーターと同じように陰キャではあったが、ピーターがスパイダーマンであることを唯一知る親友として物語でも大きな活躍を見せる。コンピューターに強いオタク属性を活かし、ところどころでピーターをサポートしていた。
ピーター=スパイダーマンであることを知っていて、彼のサポートに回る相棒が登場するのは、スパイダーマンシリーズとしては、「ホームカミング」が初めて・・・?だよね。
高校生といったら恋愛と友情だし、秘密を共有できる友人の存在は、ピーターパーカーの高校生らしさを演出するうえでとても役立っていると思う。一人で抱えているよりは、隙があって誰かに相談しながら物事を解決していく方が、高校生ヒーローっぽい。今までのマーベルヒーローとは違った、その「等身大の高校生」という感じが、スパイダーマンらしさ。「ホームカミング」1作でここまでキャラを確立させたという意味でも、本作は傑作なんじゃないだろうかと僕は思っている。
ちなみに恒例のエンドロール後の映像は
特に次回作への布石はない。例によって映像は2本。
1本目は、スパイダーマンの素顔を知っているバルチャーが、刑務所のなかでその正体について、他の囚人に問われるシーン。バルチャーはスパイダーマンに命を救われているので、結局その正体をばらさなかった。ピーターの善行がバルチャーの心を変えた瞬間である。
2本目は、キャップがビデオ撮影に臨んでいる場面。完全にネタ映像である。
スパイダーマンは帰ってくる。といつも通りエンドロール後に表示されたけれど、次回作は「インフィニティウォー」になるだろうし、おそらく彼の活躍の機会はあまりないような気がするから、ぜひとも単独主役作をもう1本作ってほしいところ。
→単独作品2作目は決定しているみたいですね。2019年公開らしい。アベンジャーズ3作目の後だね、いずれにしても。楽しみ。