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【メアリと魔女の花】丁寧なキャラクター描写(感想:ネタバレあり)

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 これも見てきた。

思い出のマーニー」が滅茶苦茶好きで、その感じを求めて見に行った作品。

まぁもちろん魔女でちょっとした冒険ものだから、テイストは全然違うのだけれど、米山監督の作品の核みたいのはちゃんと存在していて、好きな作品でした。

 

タイトルに書いたけど、メアリの描写が細やか。キャラクターの心の変化や成長を描くのがとても上手だとおもう。

 

そんなこんなについて、語ります。

 

大体のストーリーの流れ(ネタバレ)

やはりもともとジブリに所属していたこともあり、非常に内容が明瞭で分かりやすい。子どもでも難しくないストーリー構成にしつつ、大人でも楽しめるような作品を作れるのは流石だ。

 

簡単に言うと、

 

①メアリが引っ越してくる

②メアリが、魔女の力を手に入れることが出来る魔女の花「夜間飛行」を見つける。「夜間飛行」の力で、時間限定の魔女に。

③箒に導かれるがまま、メアリは魔女の大学「エンドア大学」に侵入。1日を過ごし、無事に帰宅。

④しかし、大学の校長に本物の魔女じゃないことが露呈。「夜間飛行」を利用し、すべての魔法を使えるようになる人間を造ることを野望として抱える校長は、メアリに「夜間飛行」を差し出すように仕向ける。メアリが言った些細な嘘をきっかけに、ご近所さんのピーターが人質にとられていた。メアリは彼を救うため、再びエンドア大学へ。

④メアリは「夜間飛行」を校長に差し出すが、囚われてしまう。ピーターと一緒に脱出を試みるが、ピーターのみ脱出失敗。メアリは箒に導かれ、シャーロット(メアリが引っ越してきた先に住んでいた大叔母、かつて夜間飛行をエンドア大学から盗んだ人)がかつて住んでいた家に逃げてくる。そこで、メアリはシャーロットから校長の陰謀を聞かされ、ピーターを助けに再びエンドア大学へ。

⑤ピーターを触媒に、全能の魔法を使える人間を造る実験が始まってしまう。ピーターは青色のスライムのような化物に飲み込まれた。既にメアリは夜間飛行の能力を失っていたが、ピーターは魔法の力を宿している。彼の手にメアリが大学から盗み出した魔導書を押し当て、「すべての魔法をなかったことにする」魔法を唱え、スライム撃退。二人で仲良く家に帰る。

 

途中端折っているが、大体上記の通りだ。

「王道」という言葉で片付けたくはないのだけれど、「魔法や冒険のワクワク感」は十二分に伝わる内容だったし、物語の展開も小難しいことをやらずに、すんなりと視聴者が納得行く形になっている。なにより、物語が進展していくにつれて、メアリの心情がどのように変化していくのかがしっかりと視聴者に伝わるから、感情移入もしやすい。

 

非常に完成度の高い作品だったなぁ。

 

メアリの感情の変化

本作のヒロイン、メアリ。挙動の一つひとつがなんというか生々しくて、本当に生きているような印象を持つキャラクターだったことに感動した。

 

ま、流石僕の大好きな杉咲花さんが声優をしているだけある。

猫をあやす声とかスゲー可愛くてびっくりしたわ。

『メアリと魔女の花』キャスト紹介

 

自分の赤毛にコンプレックスを持っている⇒赤毛の人は魔法の才能があると言われて分かりやすく照れて、調子に乗る⇒校長に詰められて、友達を危険にさらしてしまい、目が覚める⇒ピーターを助けようと再三校長に立ち向かい、心情に変化が生まれていく。⇒冒険の最後、自分には魔法は必要ないと悟り、エンディング。

 

物語の進行に合わせて、メアリがどういう心情を抱いているのかがよく分かるように、表情や仕草が非常に徹底されていた。

 

髪の毛はその典型で、二度目のエンドア大学に箒で不時着したときに、決意を固めるように髪の毛を止めていたゴムを外し、シャーロットが赤毛の魔女だった頃の姿に近しい髪型に変えるところとか、結構好き。あとは、エンディングで今まで見せてなかった全く新しい髪型(後ろで結ってたね)に変わっていたのも、分かりやすく彼女の心境の変化を伝えている描写の一つだと思う。

 

その他、常にコロコロ変わるメアリの表情を見ているのはとても楽しかったのだけれど、1度しか見ていない映画について詳しく言及するのは無理があるので、ここでとどめておく。彼女の仕草に注目しながら見ると、よりこの映画を楽しめるかもしれない。

 

監督のメッセージが染みる

『メアリと魔女の花』メッセージ

ぜひ読んでみてほしい。

ドキドキとワクワクを提供できるエンタメ作品を目指す、と書いてあると同時に、魔法を信じられない世界で生きる我々自身のための物語であるとも書かれている。

 

前者のドキドキ、ワクワクについては文句のつけようがない。「夜間飛行」から青色のまばゆい光が広がり、メアリが魔法を手に入れたシーン。エンドア大学での魔法が日常的に使われている世界の描写は素晴らしかった。

そして、後者。魔法を信じられない世界で生きる我々という部分。夢幻想を信じられないって意味なんだろうけど、それでも信じたいじゃないですか。でも信じられないんですよね、なんとなく分かっているけれど。

しかし、そういう我々にも、この作品は救いを与えてくれていると思っている。メアリがこの物語の中で、確かに成長しながら大切なモノを取り戻していく過程を見ていると、「魔法なんていらない」と最後にメアリが言い放ったのもよく分かる。着実に行動が伴う冒険に出たメアリが得たものは、魔法みたいなものでは代替の利かない大切なモノだったということ。それって、なんとなく日々を生きている我々にとっても救いになるような気がするんですよね。魔法なんてなくても、動けば大切なものが見つかるんですから。

 

みたいなことを、このメッセージを読んで考えました。いい作品だったなあ。

短文かつ、ちょっと文が荒いけど、今日はこれで投稿。もしかしたら後日改定するかもしれません。