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定時後に映画館

仕事の片手間に映画の話をします。

苦手なあんかけスパを前に、ナポリタンをもう一度愛せた話。

社会人生活

僕はパスタが好きだ。スパゲティもパスタの一種らしいので、基本的には好きだ。特にトマトソースのパスタが好きだ、チーズが乗っていればなおよい。

 

しかし、僕でも好んで食べないスパゲティが2種存在する。

 

一つが、ナポリタン。昔はよく食べていたのだけれど、ケチャップの甘い感じがどうも苦手だし、日本で生まれたらしいナポリタンを、パスタと認めたくないという小さな自分がいた。しかし、出されてまずい!と思うほどではない、美味しく食べられる。

初めからオーダーの選択肢に入らない程度の、「苦手」だ。

 

そして、もう一つが問題である。社会人になり、初めて名古屋に出張した際に出会った、「あんかけスパ」たるものだ。

 

ご存じだろうか、あんかけスパ。名古屋のB級グルメ的なモノだ。

 

下のURLをご覧いただきたい。こちらは名古屋に行くたびに先輩と一緒に行く、あんかけスパゲティの老舗、「チャオ」のメニューである。

 

www.ciao-morita.co.jp

 

ミートボール。エビフライ。豚キムチ。パスタを愛した僕でも、見たこともないトッピングがずらりと並んでいる。

なお、「あんかけスパ」のソースは統一されているようだ。「チャオ」のあんかけスパソースについての記述を以下に転載する。

 

チャオのオリジナルソースはタマネギをきつね色に炒め、たっぷりの野菜と数種類の香辛料を加えて丸1日じっくり煮込んで裏ごしをし、翌日、良質な牛肉と完熟トマトを加えてさらにもう1日煮込みます。そして数日間の熟成を経て、より風味豊かなったソースをお店で完成させ提供していきます。

 

美味しそうだ。しかし、なぜ上にミートボールが、エビフライが、豚キムチが乗っかっているのだろう。初めて「チャオ」を訪れた僕は首をひねる。

 

その時オーダーした「あんかけスパ」が何だったかは、もう覚えていない。たしか、目玉焼きが乗っかったものだった気がする。味は悪くなかったのだけれど・・・だけれど・・・「これは違う、パスタ違う」という違和感が拭いとれず、「どう楽しめばいいんだろう?」という気持ちのまま、完食してしまった。

カルチャーショックを日本国内で体験するとは思わなかった。僕が、社会人1年目だった頃の話である。次に訪れるときには、何をオーダーすればいいんだろう?とそこはかとない不安と緊張が腹の中で渦巻いていた。

 

そして、社会人2年目の冬。「チャオ」にもう一度訪れる機会があった。


迷ったあげく、僕はかつて決別したナポリタンをオーダーした。メニューのあんかけスパカテゴリの右下に、ひっそりと載っていた彼女が輝いて見えた。見知った食べ物を見つけたときの安心感。学生時代カナダに短期留学していたときのことを思い出した。

 

「逃げのナポリタン」だった。「お前はパスタじゃねぇ」と過去に罵り、傷つけたナポリタンを。「トマトソースのパスタが好きだから別れよう。甘ったるい子どもみたいな恋は飽きたんだ」と一方的に関係を断ったナポリタンを。ほんの少しの罪悪感を抱きつつ、オーダーした。

久々に対面したナポリタンは少し大人になったようだった。卵なんて身に纏いやがって、僕は少し笑って写真を撮った。そして、冷めないうちに食べ始める。

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↑今まで隠してきたつもりだが、写真は上手ではない。


めっちゃ美味しかった。「たまには私もいいでしょ?」彼女は寂しそうに言う。僕は返事をせず、黙々と口に運ぶ。やっぱり、少し甘い。

「また名古屋に会いに来て。そのときだけの・・・パスタでいいから。」食べ終える直前、少し戸惑いながらナポリタンは言った。

そのときだけの、パスタでいいから。

もう、僕は彼女に「お前はパスタじゃねぇ」なんて言わない。君は美味しかった。だけど、少し甘く優しい彼女に、心を委ねるわけにはいかない
僕は独りで生きていく。愛したトマトソースパスタは粉チーズのかけすぎを理由に去っていった。今は、そういう気分じゃない。

言いたいことはたくさんあるけど、僕はそういうのは苦手だから。ごちそうさま、とだけ伝え、僕は店を後にした。それは僕なりの「さよなら」と「ありがとう」の挨拶だった。

帰りの新幹線、僕は少しだけ泣いた。擬人化したナポリンに愛されてる自分は、あまりに不憫だった。なぜこの発想が頭に浮かんでしまったのか。そして、ブログにしようと思ったのか。

・・・突然の物語調から急に話を戻すが、伝えたいことがあるから書いたんだ。

先入観ほど下らないものはないぞ。苦手だと思っていたナポリタンはしっかりと美味しかったし、なんなら僕が今でも苦手としている「あんかけスパ」は、そのナポリタンと同じソースを使っているのだ。

美味しくないと思い込まなければ、どんな食べ物も美味しい可能性があるのだ。

ここに誓う、次回は、チャオでちゃんとあんかけスパを食べるぞ。名古屋だし、エビフライから始めよう。

 

出張で学ぶことは、仕事に携わるものに限らない。