【聖杯たちの騎士】2時間近く美術館で動く絵画を見てた気分だ。(感想:ネタバレなし)
もう今年は映画館にはいかないと思ったんだけど、飲み会までの時間調整のために2本ほど見てしまった。
まず、難しかった方の映画、「聖杯たちの騎士」について感想を書きたい。
ちなみに、「こころに剣士を」の感想はこちらからどうぞ。
はっきり言って、
こんなに感想が書きにくい映画は、ない。
が、どうにか雰囲気だけでも伝わるように・・・頑張る。
◇過去に似た雰囲気の映画を見たことがあった。
僕はトレーラーを見て「雰囲気よさそうじゃん!」と思ったら、何一つ情報を収集しないまま映画館に足を運んでしまうタイプだ。
僕が見たトレーラーがこれ↓
テレンス・マリック監督×クリスチャン・ベイル主演『聖杯たちの騎士』予告編
これを見て、「6人の女!?脚本家!?きっと、ドロドロしてて面白いんだろうなぁ」と、勝手な邪推をし、映画館に足を運んだのであった。
もちろん、この予想、大外れである。商業主義的な恋愛からかけ離れた、齢23の僕には理解が追いつかないような、男女の心理描写が2時間近くたっぷり繰り広げられる、視聴難易度が高い映画だった。
後になって映画について調べてみると、監督・脚本がテレンス・マリックさんとのこと。この監督の映画を、映画館で1本だけ見たことある。
いやーこれも視聴難易度が高かった。どんな映画だったかもうあまり覚えていないけど、ただひたすらに美しい映像と男女の気持ちを言葉で描写しまくっている映画だったと記憶している。
ちなみに、僕は見たことないけど、この監督の映画で有名なのが、
これ。見たことある人は、大体この監督の作風が分かるはずだ。
さて。さっきから、「視聴難易度が高い」って言ってるけど、何がそんなに難しいんだよ?って話をこれからようやくしていきます。
◇単調なストーリー、美しい映像と男女のやり取りの繊細さを楽しむ映画。
タイトルの「2時間近く美術館で動く絵画を見てた気分だ」は、そういうことである。この映画の特徴は2つある。
①起承転結がはっきりしておらず、物語で魅せる映画ではない。
多くの映画は、起承転結があり、視聴者がワクワクしたりドキドキするような仕組みを仕込んでいるが(実際にそういう映画が面白いと言われていて、売れるのだからしょうがない)、「聖杯たちの騎士」はそういう映画ではない。
脚本家の主人公の日々と、その中で出会う女性とのやりとりをひたすら映像にしているイメージである。動く日記を見ているイメージに近い。「面白くさせよう!」という演出はなく、物語は淡々と進んでいく。
ただ、登場人物がどんな人間で、どんな考えを持っているか、そしてどのように変わっていくかが明確に伝わってくる。人に寄った映画なのだ。それがこの映画の面白さだろう。
なんというか、文学を読んでいる気分になる。
②美しい映像が短いカットで流れ、それを背景に男女の心理描写が続く。
登場人物の内面に迫った映画だと前述したけど、「なぜそうなるのか」の理由がこれだと思う。
見ている時、ずっと思っていた。「カットが多いなあ」と「登場人物が何を考えているかをひたすら言葉にしてるなあ」と。
映像が流れ、独白のように主人公が、6人のヒロインたちが、ひたすら自分の気持ちを語る。ナレーションのように、別撮りしているんだと思う。
もちろん登場人物同士の会話も行われてるんだけど、体感的には全然少ない。
登場人物たちの気持ちを映像で表現し、それに詩的な言葉を乗せる。抜群に雰囲気は良いんだけど、その良さを理解する難易度が高い・・・って感じ。だから、絵画のようだなあって思ったわけです。
ここまで特徴をつらつら書いてきたけれど、トレーラーの映像が2時間近く続くと考えてくれれば分かりやすいと思う。さぁ、商業主義を飛び出して、高尚な映画を見てみませんか?
◇今回のオチ
難しい映画であること、そして何が難しかったのか、を書かせていただきました。
僕がこの映画から学んだことは、ある程度情報を調べてから映画館に足を運ぶ重要性です。
ちゃんとこれら情報が分かっていたら、会社の納会でビール2本あけて、有楽町駅を激走して開演ギリギリに映画館に飛び込んで・・・ってコンディションで見る映画ではないということが分かっていたはずなのに。
もう一度、フレッシュな頭で見たい。そんな映画でした。