定時後に映画館

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【俺はまだ本気出してないだけ】自分は今、ピンチだ。と思うことがある。(感想:ネタバレなし)

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明日で仕事収めなので、「もー今週は頑張らなくていいっしょ」と思い、そこそこの時間で仕事を切り上げて、家に帰りさっとご飯を食べ、21時に就寝。

 

パッチリと目が覚めた。「あーよく寝た、今日は早起きしたしなんか映画でも見ようか。やっぱり早寝早起きに限るね」そんな気分で布団から這い出ると、まだカーテンの向こう側は真っ暗だ。「日の出もまだなのか」と一日の早すぎるスタートを切ったことに得した気分になる。

うきうきとスマートフォンを確認すると、日の出どころか日付も変わっていなかった。11時。2時間しか寝ていない。にも拘らず、頭が冴えわたり、一遍の眠気さえ訪れない自らのコンディションに絶望を覚える。眠れない。あぁ、眠れない。諦めてパソコンを立ち上げた。まだ腹の中に存在感を残している夕食と、昼間眠気と闘うために散々飲み下したボトルコーヒーが恨めしい。

 

夜遅くまで働いている同じ部署の先輩方が、グループLINEでこれからカラオケに行くと盛り上がっていた。

「あぁ、またはぐれてしまった。僕って、大丈夫なの?社会でちゃんとやれてる?」と不安になる。自分が望んだ行動の結果ではあるが、それが所属しているコミュニティにおいて浮いた行動となってしまうと、「自分はダメなんじゃないのか?」と気分が沈む。

 

夜は人を弱くする。そんな時、決まって見返したい映画があるので、紹介したい。

 

2013年公開の映画「俺はまだ本気出してないだけ」である。

ちなみに、ネットフリックスで見ることが出来るぞ。

 

監督は勇者ヨシヒコシリーズで有名な福田雄一さん。主演が堤真一さん。

そして、主演堤真一が演じる大黒シズオの娘役が、橋本愛ちゃん。

 

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可愛い。

 

何はともあれ、魅力を語っていきます。

 

社会的にダメな人たちへの救いの物語。

この映画は、非常にシンプルで、脱サラした主人公、大黒シズオ(堤真一)が漫画家を目指す話だ。基本的にコメディ映画なので随所に笑えるシーンが盛り込まれていて、終始楽しい。一方で、ヒューマンドラマとしてもなかなか面白い話になっている。

 


映画『俺はまだ本気出してないだけ』予告編

 

まずは予告を見てほしい。まー大黒シズオは、残念ながらダメ男である。漫画家目指すと言っても、謎の自分への自信と行動力だけはあるのだが、自分に甘くぐーたらする一方だ。

 

彼に限らず、この物語の主要人物は全員社会不適合者である。

バイトや仕事にやる気が出せず、自分が気に入らないことがあったらすぐに手を出してしまう市野沢秀一(山田孝之)。

うだつが上がらなく、奥さんと離婚し子どもと面会しても話が弾まないサラリーマンの宮田修(生瀬勝久)。

決して悪い人ではないけれど、彼らの「癖」がゆえに、社会と馴染むことが出来ず、上手くいかない。

 

そんな中でも登場人物中屈指のダメ人間は大黒シズオなのだが、彼の徹底的な明るさと前向きな姿勢ゆえに、上手くいかないダメ人間達が少しずつ救われていく。

悪いところではなく、彼らの持ち前の良さがある時カチッと社会と合致して、彼らなりの幸せを手に入れる様は、見ていて心が温かくなる。

 

何で上手くいかないのだろう?と悩んでいる人に、ぜひとも見ていただきたい作品だ。

 

ちなみに、主題歌も良い。

この映画、主題歌も好き。SCANDALの「会わないつもりの、元気でね」


SCANDAL 「会わないつもりの、元気でね」/ Awanaitsumorino Genkidene ‐Music Video

 

この映画のラストシーンからの、この主題歌が染みるのだ。

「サヨナラ」の曲なのだけれど、シズオと、彼の娘・鈴子が変わろうとしていることを表しているように聴こえる。とてもナイスな選曲だと思う。

 

余談だが、SCANDALは個人的に好きなバンドで、「会わないつもりの、元気でね」が収録されているアルバム「STANDARD」がとても好き。

また別の記事で紹介したい。

 

原作もよい。

この映画、原作の漫画がある。

俺はまだ本気出してないだけ コミック 全5巻完結セット (IKKI COMIX)

俺はまだ本気出してないだけ コミック 全5巻完結セット (IKKI COMIX)

 

 堤真一が演じたとは思えないような、ずんぐりむっくりなおっさんが表紙で、彼がシズオである。全5巻。購入もたやすい。

 

原作の漫画も読んだのだけれど、こちらの方がビターな内容となっている。

「現実は厳しいけれど、それでも希望を持って生きているダメな人たち」の話となっており、映画のように言い方は悪いが、都合の良い展開では終わらない。

 

ちなみに、映画のラスト付近で衝撃的な事実が発覚するが、原作だとその「衝撃的な事実」は1巻でさらっと描かれてしまっている。

映画版は起承転結をしっかりつくって大衆向けに楽しめるエンターテイメントになっているが、漫画はどこにでもいそうなダメな人々の日常を淡々と描き、その中に一抹の希望を見出せるような内容になっている。

僕はどちらも好きだが、比べてみると楽しいかもしれない。

 

今回のオチ

僕もまた、本気を出していないだけであり、本気を出せば何か変わるのではないかと思っているダメ人間の一人である。

視聴者の心に残る作品は、その視聴者が共感できるものだと思っている。僕はシズオに共感してしまった。救いを求めてしまった。

 

そんな僕だが、明日(いつの間にか今日になっていた)の仕事納めは本気出したいと思っている。納めるのに、何の本気が必要なのかは、よくわかっていない。