自己啓発本は「残酷すぎる成功法則」を読めば十分なのではないか。
私は、自己啓発本を読むのが大好きで、特に具体的な行動に起こさず「世の中はこうなっているのか」と知的好奇心を満たすことに喜びを感じる。
特に行動は起こさないので、「この本に書かれていることは間違っている!」と実証できることは少ない。そもそも自己啓発本に書かれていることなんて、短期的に成果が出るものは少なく、「本当に効果があるか」検証するのは困難である。
しかし、読者が実践しなくても「これは効果があるな」と納得して読み進めることが出来る自己啓発本もある。データ・エビデンスがしっかりと記載されているものだ。
多くの人がこのような行動をとって、このような結果が出ている。
そういった証拠をつきつけられれば、「まぁ私が実践して失敗したらたまたま外れ値だっただけだよね」と認めざるを得ない。そもそも私は行動には起こさないのだけれど。
世の中には「証拠もなく(自ら、あるいは周囲の少数の人間の経験を証拠としている)主張している自己啓発本」が溢れかえっている。そういう本は「この人はこういう法則を信じているんだな」とエッセイを読む感覚でいると面白いのだが、基本的に自己啓発本に求める要素は違う。
成功する法則を教えてほしいのだ。そのためには、データ・エビデンスに基づかれた法則が書かれていなければ話にならない。
前置きが長くなったが、要は何が言いたいかというとこういうことだ。
「残酷すぎる成功法則」は本当に成功できそうな法則のみが記載されている素晴らしい本だ。エビデンス・データにもどついたこの世の法則が余すことなく記載されている。
内容を頭に叩き込むためにアウトプットの意味を込めて印象に残った部分をメモ書きさせてもらう。
なお、以下に書く内容は「本に記載されている内容そのものではなく、その内容を読んだ結果私が感じ取った結果」でしかないので、内容と多少ずれている部分もある。正確な成功法則は、本を読んで学んでほしい。
第1章 成功するにはエリートコースを目指すべき?
全部80点より、100点に近しい強みを見つけて、それを活かせる場を選ぶこと。
第2章 「いい人」は成功できない?
王者は結局いい人、ずる賢い人は頂点にはたどり着けない。
ゲーム理論の"回答"が記載されている(「基本は相手を信じる、裏切られたら相手と同じ行動をする。時折相手を許す」が最強らしい)。
妬まない、自分から裏切らない、相手の行動に則る(裏切られたら裏切る/しかし時に許す)を心がければ良い。なお、私利私欲を全く考えない聖人は搾取されるので、裏切られたときの対応は大事。
第3章 勝者は決して諦めず、切り替えの早い者は勝てないのか?
この章はメモしておきたい箇所があまりに多すぎるので、総論を簡単にまとめることが出来ない。自分の目標を達成するための術があらゆるアプローチから記載されている章だ。私が覚えておこうと思ったことだけ記載しておく。
「引き寄せの法則」は自分が達成したことを想像することで満足を覚えてしまい、本当の実現から遠ざかってしまう可能性があるものだということ。しかも、脳が虚の達成感で満たされた後に現実を直視したときに、落ち込みやすい。
「WOOP」に則って目標達成への方法を考えるとよい。
願いをイメージする、願いがもたらす成果を具体的にイメージする、現実とのギャップを洗い出し願いに至るまでの障害をリストアップ、障害に対処する方法を考え計画を立てる。
第4章 なぜ「ネットワーキング」はうまくいかないのか
人間関係を円滑にする方法や人脈作りの方法が記載されている。私はピンとこないが、メンターがいる人の方が成功しやすいという話もあった。
友達を作るためには、「共通点を見つける」「相手の話をよく聞く」「相手に与える」を心がけるとよい、らしい。私にはこれだけで十分だ。
第5章 「できる」と自信を持つのには効果がある?
自信を持つことよりも、「セルフ・コンパッション」(自分自身への思いやり)が大事。この章はこの一言で片付く。
自信を持つことのメリットデメリットを散々述べた後に、究極の解「セルフコンパッション」を登場させる展開には痺れた(そういう楽しみ方をする本ではないかもしれないが)。
第6章 仕事バカ……それとも、ワーク・ライフ・バランス?
時間をつぎ込めばそれだけ出世できるけど、家庭とのバランスは???的なジレンマについて。自分が望むバランスを知って、それに近付けることが幸福への近道とのこと。
幸福の構成要素は以下4つ
・幸福感=楽しむ
・達成感=目標を達成する
・存在意義=他者貢献する
・育成=誰かに何かを伝える
これらをバランスよく組み合わせて(自分が望むように)、それに近しい生活を送るのが一番幸せ。
そのためには、①今の生活・日々の行動が上記4つのうちどこに当てはまっているのかを分析し、現状のバランスを知る。そして、②自分の理想のバランスに近づけられるように、日々の行動を変えれば良い。
まとめ
以上が、私が「残酷すぎる成功法則」を読んで感じ取った全てである。
特に第3章は自己実現のための方法が結構厚めに書かれているので、ぜひ読んでみてほしい。
UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2017-2018「One roll, One romance」2018年1月28日@幕張メッセ
行ってきました。
「 10% roll, 10% romance 」「Invisible Sensation」「fake town baby」3枚のシングルをひっさげたツアーの最終日。
幕張メッセなのでかなり収容人数も多い広い会場。一番前のブロックの最後の方の番号だったので、まぁギリ本人が目視できるけど、基本的にはステージの真上にあるモニターを見ながら楽しむって感じ。
http://unison-s-g.com/1718/oror/assets/img/areamap.pdf
↑会場。私はGブロックの7000番台でほぼ最後尾だった。
会場全体の人数は7000×3=21000~25000人ぐらいだろうか?
当然各ブロックの前の方は人が密集していたのだけれど、後ろの方だと結構スペースがあるのでホールでのライブよりもリラックスして楽しむことが出来た。
ちょくちょく感想を書いていく。
セトリ
素敵な外部リンクの貼り付けをしたので、ここから確認ができます。
シングルのツアーなので、カップリング曲が多め。「Invisible Sensation」「fake town baby」のカップリングも演奏するかと思ったけど、今回はなかった。別の会場ではやっていたのかもね。
「flat song」「RUNNERS HIGH reprise」・・・「 10% roll, 10% romance 」のカップリング
「ノンフィクションコンパス」・・・「桜のあと(all quartets lead to the?)」のカップリング
「誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと」・・・「流星のスコール」のカップリング
以上・・・かな?
知らない曲はなかったけれど、聴き馴染んでいる曲は少なかった印象。とは言ったもののライブの定番曲「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」「シュガーソングとビターステップ」「シャンデリア・ワルツ」が入っていたので、大満足。
最新アルバム「MODE MODE MODE」から1曲ぐらいは新曲もやるんじゃないかと期待していたけれど、収録曲からの演奏は既に発売されているシングルのみ。
MODE MOOD MODE (初回限定盤A) [CD+Blu-ray]
- アーティスト: UNISON SQUARE GARDEN
- 出版社/メーカー: トイズファクトリー
- 発売日: 2018/01/24
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る
UNISON SQUARE GARDEN「君の瞳に恋してない」ショートVer.
これやるかなーって思ってたけど、UNISONはツアー中は公演演目にあまり変化を出さないタイプのバンドだった。ので、当然10月ぐらいから回ってるツアーの演目に入ることはなかった。
MCハイライト
スプラトゥーンおじさん鈴木貴雄、お隣で開催中の次世代ワールドホビーフェアの小学生スプラトゥーン大会の結果に興味を示す。
作詞作曲おじさん田淵智也、曲を作りすぎ問題。ハイペース過ぎてビビるけど、ファンは嬉しくてしょうがないよね。
「ファンが多くなって大きな会場でやってみよう!と思ったけど、ちゃんと楽しかったです」と斎藤さん。私もホールでの公演よりはスタンドの方が好きなので、思いっきり楽しんでしまいました。
ソロ
ギター、ベース、ドラムがソロで思いっきり魅力を発揮するコーナーが今回もあったのだけれど、何やらテーマメロディみたいのが開発されていた。ワンモア!ワンモア!(←「MODE MODE MODE」の初回特典DVD見てると、ワンロール、ワンロマンスとっていってるね、訊き間違いでした。ツアーのタイトル叫んでたのね)と叫びながら軽快なギターのメロディの間にベース、ドラムソロが入っていく感じ。
※どの曲の前後だったか覚えていないけど、曲として独立していた印象。
ぜひ次のツアーでも聞きたい。そのまま曲になって発売されないかしら。歌詞ないけど。
まとめ
右腕が痛いが、明日の仕事へのハードルを一切感じない強靭な精神状態で帰路に就くことができた。ライブはアクティブな瞑想。マジマインドフルネス。
【勝手にふるえてろ】松岡茉優が可愛い(感想:ネタバレあり)
私のブログタイトルは大体以下のような構成となっている。
【タイトル名】一言で感想(感想であるという事実:ネタバレがあるかなないかの申告)
例えば
といったように。
もっと別の一言感想がないものかと一度書いてみて首を捻ったのだが、いや、まぁ可愛いものはしょうがないし、見ている間「何でこんなにも可愛いんだろう」と何度も思ったからその気持ちを素直に綴っただけである。
まぁいいんだ。とにかく見てきた、「勝手にふるえてろ」。私が昔好きだった作家、綿矢りさ原作・大九明子監督の作品。原作の「勝手にふるえてろ」も昔読んだんだけど、内容はほぼ忘れた状態で映画版を見るに至った。
現実にいたとしたら見るに堪えない痛々しいヒロイン:ヨシカが、松岡茉優持ち前の可愛さと物語に散りばめられているくすっと笑えるネタ(本作はかなりコメディ寄りだ)で見事に緩和されており、直視するに値する程度の絶妙なバランス感を保っている。
私の記憶が正しければ原作はもっとヨシカと彼女に付きまとう「ニ」が痛々しく描かれており、特にヨシカの心情など毒毒しくて、痛々しくて、読んでいて苦しいぐらいだった。よくある人間の汚い、直視したくないような一面をリアルに鮮明に描くのが綿矢りさの魅力。僕が一時期ハマった理由であり、離れた理由でもある彼女のエッジの利いた描写は、映像化することで随分マイルドになっていた。
まぁ色々言ったが好きな映画だったので、ちょいちょいと語っていく。
ネタバレありなので注意。
ヨシカがいそうな痛々しい女子。でも憎めない。
ヨシカが可愛い。彼女は人間関係を難しく考えすぎている。考え過ぎ、意識し過ぎの結果、我々が当たり前のようにできている人間関係がぎこちなくなってしまう。
「ペダルをこいで…ハンドルはこう握って…」と意識して自転車に乗る人は、自転車に乗るのが下手な人だ。そんなこと意識しないで自らの身体の様に操れている人は、自転車がちゃんと乗れる人だろう。コミュニケーションが苦手な人というのは、前者のように一々考えてしまう。ヨシカは人間関係を、コミュニケーションを極端に考えてしまう女の子。
我々の身の回りにギリギリいそうなレベルの変人なのだ。「ニ」が「分からないところが魅力」と終盤に語っていたが、全く同意である。魅力がある神秘性があるような、変人。
24歳なのに中学時代からろくに話したこともなかった「イチ」がずっと好き。脳内に彼を召喚して恋愛した気になって楽しんじゃう。そのため、処女。でもどうでもいい空気の読めない、だけど優しい「ニ」に告白されて舞い上がっちゃう。
「イチ」に再会するために積極的になるけれど、コミュ力高めの女の子に先を越されて結局詰めはうまくいかない。女友達に恋愛相談をしておきながら、自分のクリティカルなコンプレックスをつかれた瞬間激昂する。コンプレックスをこじらせて妊娠した、なんて言っちゃう。
彼女の一々極端な考え方をし、行動してから考え、必ず後悔するような生き方はまさしく世間に居がちな「この人接しにくいなあ」という人そのものである。
リアルにいればどうしようもない痛々しい女性なのだが、そこはドラマの力が働いており、松岡茉優持ち前の魅力で「がんばれー」って気持ちで見れてしまう。一歩間違えればうざいヒロインで終わるのに、僕は物語の最後に「何て可愛い人なんだ」とほのぼのしてしまった。
だって、可愛いんだもの。男は、いや、男はというよりも、僕はバカである。単純なのだ。
まぁそれだけでなく、ちゃんと演出も工夫していた。ヨシカは逐一自分の感情を第三者に吐露する。映像作品にしては多すぎるほどの丁寧な彼女の感情の説明が、我々視聴者を置いてきぼりにしないようにしている。
ヨシカが話しかけていたと思っていたのはただの彼女の妄想で、彼女は誰とも話しておらず脳内で会話していただけだった、ということが物語の中盤で明らかになるのだが、あれは良く出来た演出だと思った。
彼女の感情を丁寧にヨシカ本人に語らせることが出来るだけでなく、「イチ」に名前を憶えられていなかったヨシカがなぜ覚えられていなかったかの理由が視聴者に明確に伝わる(つまりは、他者と関わっていたつもりで、他者と関わっていなかったことが原因)。
公式HPにヨシカは「絶滅危惧種ヒロイン」と紹介されているが、まさしくその通りで、物語に大切に育てられながらしっかりと最後に「ニ」と結ばれる。その過程を得体の知らない生物を観察するような感覚で楽しめるのがこの映画の魅力なのだ。
人との関係がテーマ
前述したが、ヨシカは片思いしていた「イチ」の気持ちは一切理解しておらず、さらに「イチ」には名前さえ憶えられていなかった。その時、彼女の世界は崩壊する。
話している、仲良くしているつもりだった街中の愉快な友人達は、ただ一方的に見ていただけの人間。
彼女はまともに人間と向き合うことをしていなかったことが中盤で明らかになるのだ。
そこからの彼女の狂いっぷり(恋愛相談までしていた友人への暴言、「ニ」の切り捨て、妊娠偽装)といったら最高である。確かにこじらせているのだが、それは「人と向き合う、感情をぶつける」という彼女が今までまともに出来ていなかっことへの挑戦でもあるのだ。そしてラストシーンには「ニ」との激論の末キスまでしちゃう。
何たる進歩。人間関係が構築されるまでの段階(関わらない⇒とりあえずぶつかる⇒和解する)を一つ一つ歪に上り詰めていくヨシカの姿に涙が止まらない。
「勝手にふるえてろ」はコミュ障が人間関係を体当たりで学んでいく成長物語なのだ。同じくコミュ障の私は、「あぁ、、あああ!!ああああああ!!!」と悶絶しそうになった、愛おしくてしょうがないのである。
ギャグ のおかげでテンポが良い。
ラブホ前の攻防。ニックネーム「オカリナ」さんの本名。コンビニ店員の正体。そして何より「ニ」の言動の8割。面白い!ポイントが作ろうとしているからこそ、「痛々しい話」ではなく「笑える話」として肩の力を抜いて見れる映画になっている。
特に「ニ」は良い。へなっとしたやらかい笑顔を浮かべる渡辺大知を「うざい」と切り捨てる奴はまぁいない。あんなに良さそうな人なのだから、「ニ」を許せる気持ちになる。松岡茉優もだが、渡辺大知も相当のはまり役で、「勝手にふるえてろ」はこの二人に支えられた作品であるといっても過言ではない、と思う。
まとめ
松岡茉優は、可愛い。
【スター・ウォーズ/最後のジェダイ】細かいところは考えなければ良い映画(感想:ネタバレあり)
今更見てきた。人気作はいつまでも劇場公開してて良いですなあ。
世代交代というコンセプトが強く推されており、「これまでの作品に思い入れがあったらもっと楽しめたんだろうなあ」という印象。
見る前に「賛否両論」ってことを聞いていたから構えてはいたものの、賛否が分かれるのも良くわかるなという感じ。作り手の過去作へのリスペクトは感じ取れるのだけれど、細かい部分での失敗が重なって結果的に「今までの設定とは?」と思わせてしまうような展開になってしまっている。
しかしそれでも結果的に楽しんでしまう。SWはずるい、もうオープニングの例のあの「でーでででー」と壮大な音楽と黄色い英語が流れてくるだけでなんか鳥肌が立ってしまい、その高揚感が劇場を出るまで続いてしまう。
SWはよくわからない。しかし一人の映画好きとして楽しんでしまった。そんな適当な私がなんとなく良かったところと悪かったところを語るぞ。
ちなみに懇切丁寧にストーリーを解説することはないが、基本的にはネタバレありだ。
良いところ:ルークへのリスペクト
僕はSWを良く知らない。「フォースの覚醒を見る前に前作とりあえずDVDで見てみました」程度の人間で、本当に1度しか見ていないものだからあまり詳しいところは分からない。
しかし、そんな僕でもわかるような「これは過去作を意識してるな」ってシーンがたくさんあった。特に、過去作からの登場人物であり本作のキーキャラクターのルーク周りで。
こういう過去作のリスペクトというか、過去作があるからこそ出来る演出というのは8作(外伝除く)もシリーズを重ねている作品ならではの魅力であり、そういう積み重ねが生む感動というのが僕は好きだ。
ルークがレイに協力するきっかけになったのはR2-D2が流したEP4のレイア姫の映像。「ずるいぞ」と彼も言っていたが、視聴者も「こういう演出はずるい」と思うのではないだろうか。
物語中盤で唐突に現れたヨーダは2017年公開映画からは明らかに浮いてるのだけれど(ちょっと笑ってしまった)、おそらくこれは青年ルークが実際に目の当たりにした(EP4か5かな?)ヨーダを模しているのだろう。EP2で見たぬるぬる動くヨーダじゃなくてよかった。
↑まさしくこのままのヨーダだった
ルークがフォースを使い果たして昇天したシーンも、EP3でルークが生まれたシーンのオマージュだろう。二重の夕日を目の前に生まれ、二重の夕日の前で死に至る。
余談だが、結局ルークが隠居している惑星から出てくることがなかったのは残念だったが、レジスタンスを救うべくフォースの幻影をカイロレンの元に飛ばし、その役割を全うしたのは素直にカッコよかった。「いやどうせ死ぬなら本体来いよ」って思ったけれど、カッコよかったのだからいいのだ。きっと本体だったら、ファーストオーダーの軍事力をつぎ込んだ一斉射撃の前に敗れていたのだろう(肩を余裕の表情でさっと払う動作も生まれなかったことになる)。
本作のコンセプトは世代交代。レジスタンスのリーダーはレイア姫から、ポーへ。ジェダイの志を継ぐ者はルークからレイへ。そしてファーストオーダーを率いる者はスノーくからカイロレンへ。
本作で引退するルークやレイアをこれまでのシリーズの要素をかき集めながら目いっぱい立てて、そして次の世代に繋いでいくという構成。ファンに支えられてきた歴史ある作品が次のステップに行くために避けて通れない道ではあるが、かなりうまくやっていたと思う。
まぁ、ちょっと疑問に思うところもあるけれど。
悪いところ:脆弱な新キャラ達(カイロレンを除く)
ポーやフィン、レイが次回作以降の中心人物になるわけだ。しかし、彼らの活躍がちょっとだけ甘かった気がする。
まずはポー。序盤レイア姫の命令に逆らって多くの死者を出し、降格。レイア姫の戦線離脱によって新リーダーに任命された紫のおばちゃん(名前、わからない)にも、反抗。そもそもポー・フィン・妹(名前、分からない)が勝手に遂行したミッションが失敗してレジスタンスが危機に瀕する展開は、残念ながら見ているこっちもイライラしてしまうほど救いようがない。
そんな彼が物語の終盤自ら指揮をとり、「戦略的撤退」をフィンに命令するシーンがあるが、そういう物語の組み立ては上手いなあとは思いつつも、あまりにも都合の良い展開過ぎて「ポー、それでいいんか」と思ってしまうのが現実。
フィンは前述したとおり、彼の活躍シーンが全て無駄どころかレジスタンスの邪魔になってしまったのが残念。ポーの命令を無視し、ミニデススター(名前、分からない)に突っ込もうとした見せ場も、妹(名前分らない)の愛によって失敗。
フィンと妹の冒険自体は面白かったんだけど、大きな物語の下ではほぼ無駄な徒労となってしまったのが残念。成長を見せた彼らの活躍をEP9で魅せてもらうしかない。
そして主人公レイ。完全にルークやカイロレンにくわれている。彼女自身の見せ場があまりない。「ルークのバカ‼もう知らない‼カイロレンは正義の男になれるわ‼」からの一瞬生まれたカイロレンとレイの共闘は最高に燃えたけど、そこがピークで結局カイロレンはスノークを自ら殺害したことで真の悪として完成してしまった。
レイさん、ラストシーンの岩を持ち上げることしか見せ場なかったっすよ。これも次回作期待ですかね。
まぁ最後に持ち上げておきますと、カイロレンだけは素晴らしかった。ただの子どもみたいな「フォースの覚醒」から一転、本物の悪に成り上がった。
レイアに自ら手を下すことは出来ず、レイとのふれあいの中で正しい道を歩もうとする過程で「仲間入りか!?」と期待させておき、スノークを殺害、レイとの共闘ではもはや心の中で拍手喝采。しかし彼の思惑が「自分たちが新しい時代を築く」ためにレイと二人で世界を掌握しようとしていたというオチには一瞬ガッカリしつつも、いやこれこそ本物の悪役だと私は心が躍った。世代交代がテーマの作品でよくそれを言った。
前の世代の意思を継ぐレイ、そして前の世代を踏み越えて自らが頂点に立とうとするレン。この対比も素晴らしい。結果的に違う道を進んでよかった。
悪いところ:レイア姫とワープ攻撃
いやいやいや・・・
って思ったところはレイア姫の宇宙空間からの謎帰還と、ワープを利用した攻撃。この・・・これやっていいの?という前提を犯してしまうと、物語は何でもありになってしまうが、この二つはその最たるものだと思う。
ワープ攻撃オーケーならさ、危機に瀕したときには何か使い捨ての船用意しちゃえば敵に壊滅的なダメージ与えられるわけでしょ?(コストが高いとか人命が大事みたいなこともあるけれど、作戦としてオーケーになってしまったという事実が問題。今後「またこの手で逃れればいいじゃん」と我々は考えてしまう。)
それにレイア姫。あれはさ、説明がつかな過ぎてこの世界の人は無敵か!ってなっちゃうでしょ。説明してよちゃんとね。
まとめ
全体として面白い・ワクワクしたんだけど、マイナス点も多いから「とにかく印象に残った映画」としておく。
フォースの覚醒よりは確実に面白かったけど、例えばカイロレンの活躍はフォースの覚醒の不甲斐ない彼がいたからこそ映えたものだと思うし、シリーズ物はこの作品だけでは完成度が判断できないところもある。
EP9が名作であれば、EP7,8の評価もぐんとあがるわけだ。頑張れ、次回作。
【キングスマン: ゴールデン・サークル】正統派続編であり完結編(感想 : ネタバレあり)
見てきた。
「キングスマン(1作目)」はコメディ色強めだけれど、スパイ映画として我々視聴者が求めているであろう要素(激しいアクション・グッズ・恋愛)がふんだんに盛り込まれた最高のエンターテイメントだったのだけれど、「ゴールデン・サークル」も大枠は変更なく「1作目を楽しんだ人なら2作目も楽しめるんだろうな」といった感想だった。
私は1作目の方が好きだったのだけれど、もちろん「ゴールデン・サークル」も好き。
1作目は「蛆虫」のような主人公がスパイとして成長していき、師の死(狙ったわけじゃない)を乗り越えて世界を救うという王道がぴったりはまっていたが、2作目は既に主人公が成熟しきっている以上1作目のような努力友情勝利的な展開は難しい。
コリンファース再登場によって物語の緩急は作れていたものの、やはり「ゴールデン・サークル」は1作目に比べると少し見劣りする。2時間20分ほどの作品だったので、流石に集中力が切れてしまった。
しかし3作目への期待が持てる作品ではあったので、全体的には印象良し。
いきなりネタバレありで縦横無尽で語りつくすぞ。とてもブログが書きやすい作品だから助かる。
ちなみに、ネタバレ大筋はwikiに書いてあるから、気になる人はチェックしてみてほしい。長いからブログであらすじ書くのも大変なんだよぉ・・・。
コリンファース(=ハリー)が物語の主人公
いや、もちろん主人公はエグジーであり、彼を中心として物語は展開されていくのだが、「この作品の見せ場を作り、盛り上げた立役者は?」と訊かれたらコリンファースではなかろうか。
そもそも1作目で頭を撃ちぬかれたはずの彼は、ステイツマンによって救出されていたが、記憶喪失した状態で再登場。エグジーによって彼の記憶は取り戻されるのだが、物語中盤ではまだハリーは本調子ではない。
1作目の酒場のシーン(「マナーが紳士を作るんだ」からのチンピラ数人を撃退する)を再現しようとしたところ、ことごとく失敗。ステイツマンエージェントウイスキーに見せ場をとられる。
更に麻薬に混入された毒の解毒剤を奪いに敵のアジトに向かうシーンでは、視聴者をハラハラさせるレベルのポンコツさ。素人を気絶させるのもままならず、視界には幻覚の蝶が飛んでおり、ゴンドラの操作もままならない。
そんな彼が仲間であるはずのウイスキーへのヘッドショットを決めてしまうのだから、エグジーも、もちろん視聴者も「こいつ大丈夫かよ」と思ってしまうのは仕方があるまい。
結果的にウイスキーはポピー率いるゴールデンサークルの内通者ではなかったものの、個人的な信条でキングスマンのミッションを邪魔しようとしていた敵ではあったのだが、「やっぱりそうだった!」という物語終盤の答え合わせが爽快である。なお、その時には既にハリーはエージェントとして本調子に戻っているので、なおさら気持ち良い。
つまり、
師であるはずのハリーが復活したが、全然ダメ(物語に緊張感を持たせる)
↓
調子が戻ってきて、エグジーの頼れる師として復活(本来の役割を取り戻し)
↓
更にポンコツの失敗だと思っていたウイスキーへのヘッドショットが正しかったことが証明される(やっぱりハリーは最高のエージェントだぜ!)
といった綺麗な物語の流れが彼によって生み出されているのである。
ステイツマンのアクションが楽しい
早回しの激しいアクション(体術と自動式拳銃・傘や旅行鞄といった紳士的グッズの組み合わせ)がキングスマンの基本であるが、ステイツマンの闘い方がキングスマンと全く違うため、途中で飽きが来ないのが嬉しい。
ウイスキーは結果的に裏切ってしまったが、回転式拳銃(二丁拳銃)とレーザー投げ縄を中心としたアクションはキングスマンのモノとは一切異なり、見ていて楽しい。
彼の見せ場は2回あるが、そこで彼が圧倒的な強さを見せつけたからこそラスボスとして映える(流石に1作目で生き延びたキングスマン堕ちの半身機械や犬ロボットでは締まらない)。
キングスマンの2人のエージェントVSステイツマンの異文化交流戦も派手ではないが生々しくて悪くない。
ちょっと頑張って重たいテーマを扱おうとしている
1作目は手放しの愉快犯が携帯電話を使って優良民族のみ生き残らせようとした構成だったが、2作目は基本的な構造は同じではあるものの、多少捻っている。
敵組織ゴールデンサークルのトップポピーは自己顕示欲の暴走の結果、麻薬に毒を盛り、麻薬の合法化を交渉。毒が盛られたのが麻薬というところが面白い。死に至る毒に侵された人間は基本的には犯罪者であり(劇中でも触れられているが治療目的や若気の至りで麻薬をやってしまう人もいる)、彼らを救うべきなのかという倫理的な問題も扱っている。まぁそこは正答派スパイ映画らしく「どんな人でも救うべきである」というのが物語としての回答であり、麻薬利用者と麻薬の販売者を一網打尽にしようとした米大統領は逮捕されるというオチで終わった。
裏切ったステイツマン「ウイスキー」も、麻薬中毒者にかつて恋人を殺されており、彼が私怨でキングスマンの邪魔をしようとしたのも何となく納得できてしまう。倫理的なグレーゾーンをついた麻薬だからこそ、キャラクターの信念に違いが出て面白い。
手放しに敵を悪だと言えてしまう1作目と比べて、「まぁあいつの言いたいこともわかるよね(ただしサイコパスのポピーは除く)」と納得できてしまう部分があるのが本作の魅力。中盤で味方として活躍したウイスキーの顔をちゃんと立てているのがよろしい。
続編ならテキーラが主人公?
「ゴールデン・サークル」で第1部キングスマンの幕が閉じられた感はある。
キングスマン所属のスパイは物語の冒頭でほぼ全滅(ロキシーまで死亡したのは正直びっくりした)。さらに物語のクライマックス直前でマーリンがカントリーロードを熱唱しながら自ら踏んだ地雷で昇天。
主人公エグジーは劇中に「スパイという立場上結婚して王室に入るのは・・・」と口を濁していたにもかかわらず、ラストに結婚。
ラストカットではテキーラ(チャニング・テイタム=あの「マジック・マイク」で主演を演じた最高の筋肉俳優である)がキングスマンの店の前に訪れていて、彼がキングスマンのエージェントとしてこれから活躍することが暗示されている。
本編ではポピーが毒を盛った麻薬を服用してしまったこともあり、凍結されてあまり見せ場はなかったものの、「彼は強いが紳士としては完成されていない」ということを一瞬の登場シーンで視聴者全員に強烈に印象付けた。
「ステイツマンのエージェントではなく、キングスマンのエージェントとして成長していく物語」がキングスマン3作目として描かれるのであれば、もう楽しみで仕方がない。チャニングテイタム好きなんだよ。
以上。キングスマン、手放しに楽しめる最高の作品だから続編も早めに撮影してほしい。
「ラスト〇〇分の衝撃!」という宣伝は映画をつまらなくする
僕は映画を見る前に、公式サイトを出来るだけ見ないようにしている。
評判も一切見ない。SNSの類も一切やっていないので、流れ弾的なネタバレを食らうこともあまりない。
というのも、先入観があるとやはり映画はつまらなくなってしまうからだ。
もちろん結末やストーリーを知っていても面白い映画だってある。
一方で、ミステリ系など結末にトリックが仕組まれていて、その結末を知ることが楽しみの多くを占めるような作品も多く存在する。
そういう「知らないほうが確実に楽しめる作品」については、ネタバレを徹底的に避けたい。情報化社会だから多少なりノイズとしてネタバレが耳に入るのは仕方がないが、対策をしていればかなりその確率を下げることは出来る。SNSを辞める、というのはやりすぎな気がするが。
しかし、最近は映画を配給する会社自体がネタバレを仕掛けてくるから油断できない。
もちろん直接的なネタバレをするようなことはないが(犯人は〇〇!みたいな。)、超間接的なネタバレは至る所に潜んでいるのだ。
その代表格が「ラスト〇〇分の衝撃!」である。この宣伝文句程、映画をつまらなくするものはない。
要は何が言いたいかというと、「衝撃的なラストが用意されていたとしても、衝撃的なラストが訪れると知っていると、容易にその衝撃的なラストが想像できてしまう」のだ。
「衝撃のラスト◯分!」という宣伝文句の映画はラストのガッカリ率が高い | ロケットニュース24
↑ここまで書いてググったら、はるか昔に記事として取り上げられている悲しみ。
種子はちょっと違うので、それでも話を続けるぞ。
例えばさ。
「手紙は憶えている」という映画をかつて見た。(以下ネタバレ注意)
「物忘れが激しい主人公が、かつて自らの家族を殺害したナチの兵士を探して復讐しようと、4人の候補を探し回る」といった内容。
話はとても面白かったのだが、映画館に掲載されていたポスターに「ラスト5分の衝撃」と書いてあったものだから、物語の序盤で話のオチが分かってしまった。
犯人を捜す忘れが激しい主人公。ラスト5分でどんでん返し。
もうそれだけの情報でオチが読めてしまうだろう?
その「ラスト5分の衝撃」というインプットがなければ、「主人公自身がナチであった」なんて予想できなかったかもしれないのに!
いかにも4人の候補のうちの1人が犯人であるという感じでストーリーは進んでいたのだ。まさか普通の視聴者は主人公がナチだとは思わない。
私だって「ラスト5分の衝撃」があると知らなければ、幸せにそいつが犯人であると思い込んでいただろう。だが、「ラスト5分で衝撃起こるな」って思っていたせいで、そのラスト1人が犯人という単純な終わり方になるわけがないという疑念が浮かんでしまった。
結果、主人公がナチだったという「衝撃の事実」には、衝撃することはできず、物語の中盤ぐらいで大体気付いてしまったのだ!!!!(日本語が不自由)
「衝撃」と書かれている時点で、これまでの物語の筋から外れた結末が訪れることは誰でも予想できる。しかし、映画を作る人間はその「衝撃」を演出するためミスリードをしようと既定路線を懇切丁寧に描く。
「ラスト5分の衝撃」という宣伝文句は物語の作り手の意思と矛盾しているのだ。なぜなら、衝撃があると分かっている時点で、ミスリードは絶対にされないから。
控えめに「この物語のオチはこうですよ」とポスターでネタバレしているわけだ。
映画業界の皆さんには今すぐにこの宣伝文句を辞めていただきたい。作り手とファンを大事にしない売り方をしては、衰退してしまうぞ産業は。
【ONE PIECE】ベストエピソード(="編")ランキング
私は今年で25になるのだが、初めて読み始めた少年漫画が「ONE PIECE」であった。いまでも結構好きな漫画の一つである。
ネットでONE PIECEについてはいろんな話題が転がっているが、強さ談義やら素人の展開予想などは興味ない。「一般的にどのエピソード(=編)が好かれているか」が一番気になる。皆もそうではないだろうか。
というわけで、ワンピース素人の私によるエピソードランキングを公開したい。
エピソードの区分とランキングの選定基準について
エピソードの区分は頂上戦争編まではONE PIECE 無料連載公式アプリ - Google Play の Android アプリに記載されている区分に則り、特に記載のない部分については私が勝手に決定した区分としている。
【公式の区分】
・東の海編(1話~100話)
・アラバスタ編(101話~216話)
・空島編(217話~303話)
・ウォーターセブン編(304話~441話)
・スリラーバーグ編(442話~489話)
・頂上戦争編(490話~597話)
【私の区分】
・魚人島編(598話~653話)
2年後から魚人島出発まで。66巻の途中ではあるが、654話には魚人島を出発しているので、ここまでとした。
・ドレスローザ編(654話~801話)
ローやドンキホーテ海賊団幹部と接触していることも踏まえ、パンクハザードもドレスローザ篇としておく。
・ホールケーキアイランド編(802話~902話)
※20年3月14日更新
最近になってようやく読み終えたので、これもランキングに入れる。
というわけで、東の海編~ホールケーキアイランド編の計9エピソードをランク付けしていく。
ランク付けの基準だが、ざっくりだが以下のように考えている。
・ストーリ-の完成度(展開に無理がないか、間延びしないか、起承転結が綺麗か)
・キャラクターの魅力
・名シーン演出(印象に残るセリフやシーンがあるか)
なお考えてみたら結構優劣つけがたかったので、ランク上位は減点方式で優劣をつけざるを得なかった。悪しからず。
では8位からつらつらと。
9位 魚人島編(598話~653話)
【印象的なところ】
・2年後お披露目会
・種族の問題
・ジンベイ加入(仮)
ONE PIECEという大きな物語の一部である以上致し方がないが、2年後の成長した彼らが敵を圧倒しすぎており、全体的に緊張感がなかった。
特に2年後のシャボンディ諸島での再集合は最悪で、あれだけ仲間を大切にしていたにも関わらず、ギャグでクルーの顔が分からないという展開にしてしまったのは大きなマイナス点。
種族間の摩擦をテーマに掲げており、輸血中にジンベイに勧誘を行うシーンはグッとくるが、血の問題の入りがサンジの鼻血では・・・。
8位 スリラーバーグ編(442話~489話)
【印象的なところ】
・ブルック加入とラブ―ン伏線?回収
・七武海2連戦とゾロの男気
・ペローナ
お化け屋敷的なコンセプト・影入れ替えトリックは面白かったものの、ストーリーに盛り上がりが感じられず、敵キャラのモリアに魅力がない。ラブ―ンのエピソードとの紐づけも東の海編から時間が経ちすぎており「今更」感があり、ブルックの冗談を愉快にペラペラ話すキャラクター付けゆえに、孤独設定にも感情移入がしにくかった。
ペローナの可愛さと一味壊滅を回避したゾロの男気が光る。
7位 ドレスローザ編(654話~801話)
【印象的なところ】
・ローとの同盟
・多すぎる割にはキャラ立ちしている登場人物達
・ベラミー
パンクハザードの展開スピードは心地よく、ドレスローザ上陸後ももたついたものの、物語を展開するキャラクター達の魅力に助けられ最後まで楽しく読み切ることが出来た。インペルダウンほどではないが、ロー・サボなどの再登場を待ち望まされたキャラクタ―達の活躍も大きい。ドフラミンゴも久々の「大ボス感」があり、とても良い敵役を演じてくれた。
ちなみに私のドレスローザ編一番のツボはベラミー。人の夢を笑いルフィにワンパンでKOされた奴がここまで這いあがってくるとは。それでいてなお弱いのも人間味があってとても良い。
しかし残念ながらアラバスタ編と大筋が似通ってしまっているため、ランク的には落としてしまっている。アラバスタ編よりもドレスローザ編が好きな人はあまりいないのではないだろうか。
あとはおそらくONE PIECEを後々思い返したときに浮かんでくる鳥肌の立つような名シーンがないのも6位でとどまった理由。
6位 ホールケーキアイランド編(802話~902話)
【印象的なところ】
・有能ブルック
・ジンベイ仲間入り
・サニー号に帰りたい
・VSカタクリ
お馴染みになった仲間奪回エピソード。
連載当初に読んだときはVSカタクリ面白かったなあと思ったのだが、冷静に考えるとVSルッチのほうが肉弾戦としての描写は上だったし、話の主役であったサンジの「仲間を庇って系」のやつはロビンで十分であった。
圧倒的な格上に対してファイアタンク海賊団と手を組んで暗殺を試みるというのも面白いかと思いきや、今回殺しきれないことはほぼ読者は分かっていたし、そうなるとVSカタクリまでの尺が長いように感じてしまう。
ただ、最近キャラクターの扱いが適当になっているワンピースにおいて、サンジとプリンの心理描写はなかなか良かったと思う。プリンの本性を知って泣いているサンジやキスして記憶を抜くプリンは印象深い。
あとは、チョッパー以外のキャラクターの株もしくは戦闘の力が上がったので、次のエピソードに向けてキャラクターを育てられたという印象だろうか?
おそばマスクはやっぱりワクワクするし、ジンベイとゼウスが仲間入り、ブルックもこれまでのエピソードで明確な活躍をしていなかったが、最年長の貫禄を見せつけていた。
ただ、今のワノクニの盛り上がりを見ると、前座エピソードのように感じられてし舞うのが残念。マムも実質ワノクニでの処理になるわけだし。
5位 ウォーターセブン編(304話~441話)
【印象的なところ】
・ギアセカンド
・ロビンの「生きたい」とメリーとの別れ
・ロブルッチ
6位まではあっさり決まったが、5位以上の決定がかなり難しかった。
ロビンの「生きたい」やメリーとの別れはワンピースを語るうえで避けては通れない名シーン。また、ルフィVSロブルッチはワンピース全編上位に食い込む名バトルであったと思う(ギアサード後の限界状態での純粋な殴り合い)。
しかし残念ながら私はメリー号に大きな感情移入が出来なかった。いや船だぜ?船乗り換えるか乗り換えないかで一味離散の危機はねーだろ。というわけで、ウソップ離脱~メリー号追悼までの流れはあまり感情移入できなかったのが5位でとどまった理由。一味抜けるほどメリーに思い入れを抱いているウソップ、というのがもう少しこれまでのストーリーで描かれてたらなあ。
また、仲間奪回系の話ならアーロン編で十分・・・という印象もある。
デービーバックファイトには触れないでおく。
4位 頂上戦争編(490話~597話)
【印象に残ったところ】
・エースの死
・ワンピース史上最大のオールスター祭り
・一味離散
シャボンディ⇒女ヶ島⇒インペルダウン⇒頂上戦争。スリラーバーグやアラバスタ編で一味全滅の危機やルフィ敗北などの描写はいくらかありましたが、明確な一味としての敗北が描かれたのはシャボンディ諸島が初めて。
「まぁ何だかんだ死なないし、勝つんでしょ?一味の友情パワーでさ」のマンネリから抜け出したのが頂上戦争編の一番の魅力。シャボンディで壊滅するわ、エースと白ヒゲは死ぬわで「本当にこれはONE PIECEか?」という新鮮味があった。
少々重い天竜人と魚人の差別についても持てあますことなく描き切っており、ONE PIECEの世界の闇を垣間見せることにも成功しており後々の展開に大きく寄与している。
そして何より素晴らしいのがインペルダウン編。かつての敵が味方になるワクワク感は長期連載の少年漫画なら一度はやりたいボーナスタイム。戦争突入から多少もたついたが、インペルダウンの「次は誰が?」という期待感はすさまじかった。
3位 東の海編(1話~100話)
【印象的なところ】
・二度と敗けねェから!!!!
・くそお世話になりました!!!
・当たり前だ!!!!
東の海編といっても大きな流れはなく島ごとのエピソードが連なっている構成。長期連載の弊害ではあるが、東の海編以降ドンドン展開スピードが遅くなっているので、この頃のペースが一番読みやすい。一つ一つのエピソードがコンパクトにまとまっているため、アラバスタ編や空島編のような伏線を貼ったうえでのダイナミックな物語展開とオチを魅せることはないが、それぞれのエピソードがしっかりと面白いので問題なし。
グランドラインに入る時の野望の宣言もこれから始まる冒険への期待感を膨らませる東の海編の幕引きに相応しいシーンであった。
名シーンが多い。上記したゾロVSミホーク後の宣言、バラティエ出航時のサンジ、ナミの「助けて」に応えるルフィなど。ウソップ海賊団解散とその後チュウ戦での「海賊ごっこは終わったんだ!」の流れも好き。
また、ルフィが最も魅力的なキャラクターであったのもこのシーン。ウイスキーピークでのゾロとの喧嘩をきっかけに、「阿保だけど大いなる人望がある船長」へとシフトチェンジしていったが、東の海編のルフィは「大雑把だが良い意味で空気が読める」人だった。
かつてのルフィなら藤虎に殴るときにわざわざ攻撃方法を口に出したりしないし、2年間のブランクで仲間の顔を忘れるような真似はしないだろう。そして、今のルフィなら、ガイモンには宝箱の中身がないことをハッキリと伝え、おそらくコビーを殴らせるような演技もできない。
名シーンの多さ、ルフィの人格、そしてつまらないタイミングが一切ないという点を評価し3位。
2位 アラバスタ編(101話~216話)
【印象的なところ】
・冬に咲く桜
・×
・クロコダイル
映画化までされたエピソードが2つも入っているアラバスタ編を下位にするわけにもいかず2位。とはいったものの実際ドラム島の桜の木の演出とビビとの別れのシーンは「このために読んできた!」と思わせてくれるような完璧なオチであった。
アラバスタ本編では七武海のクロコダイルが最後までルフィの前に立ちふさがった(しぶとかったのはルフィだが)。古代兵器のために国一つ乗っ取ろうとするスケールの大きさ、ロギアの絶望感、アラバスタの民を悉く踏み台にしていく姿勢はまさしく悪のカリスマ。言ってしまえば、ドフラミンゴの完全上位互換である。
アラバスタの民衆や国王への描写をちゃんとしていたため、ビビの「この国を愛してるから」が利いてくる。シャボンディ諸島もそうだが、ルフィ達周辺のことだけを描かずに、その周りの人々とのやり取りの中で彼らの生活をしっかりと描写できると、ただルフィ達が暴れて敵が勝った以上の意味をストーリーに見出すことができてとても良い。
国と民の姿をドラマチックに描いたアラバスタ編が2位。
1位 空島編(217話~303話)
【印象的なところ】
・人の夢は終わらねえ
・エネル
・鐘
「ONE PIECEを途中で読むのやめた」という人はたいていアラバスタ出航と共に卒業している。それゆえ空島編はあまり評判がよくない。サバイバルも間延びしているという意見も多数ある。
だが私は1位に空島編をあげる。空島編のストーリーの完成度はONE PIECE内でぶっちぎりだ。芸術と言ってもよい。
霧に浮かぶ巨人の姿
↓
先祖の因縁を晴らすために黄金郷を探すクリケット。同じように夢幻と言われている空島への航海を手助けしてもらう。
夢を笑うベラミーと「人の夢は終わらねえ」のティーチが良い味を出している。
また、この時点で空島と黄金郷が関わっているとクリケットが分かっていないことが物語のミソ。後になって結果的にルフィが恩返ししたことになったという運びになるのが、利害を超えた友情らしさを演出していて非常に良い。
↓
空島突入。丁寧な過去編により、クリケットの先祖、ノーランドの思いと黄金郷の真実を読者に伝える。
↓
エネル撃破と同時に「黄金郷は空にあった」ことを伝えるためにルフィが鐘を鳴らす。
↓
鐘の音とともに霧にルフィのシルエットが浮かび、ルフィが黄金郷の存在を証明したことがクリケットに伝わる。
こんなにも美しい展開を週間連載でやってのける尾田氏は化物である。 細かい登場人物の思いやギミックがすべて鐘を鳴らすルフィという最高のフィナーレへの伏線になっている。サバイバルが間延びしているのは否めないが、麦わら一味の冒険だからそれは仕方がない。それにしたって無駄な描写は一切ないような気がする。
また、エネルという強敵の存在も大きい。彼の前に次々と仲間が倒れていく中、天敵のルフィが驕った神を打ち砕くという展開も少年漫画らしい爽快感があって大変よろしい。
もはや完全な好みなのだが、空島編1位だけは譲れなかった。世の中の意見と違っていてすまない。
それではさようなら。ワノクニ早く終息してもらって一気読みしたいですね。