定時後に映画館

ITパスポートの記事が人気の、映画ブログです。

【美女と野獣】ガストン様の魅力(感想:ネタバレだらけ)

実写版の「美女と野獣」を見てきた。

www.disney.co.jp

 

1991年公開のディズニーアニメ「美女と野獣」の実写化ということもあり、大体の人がストーリーは知り尽くしているだろうから、ネタバレだらけの記事を書いていこうと思う。


エマ・ワトソン 映画 『美女と野獣』 予告編

 

予告を見ていただければわかるが、いつものディズニー通り、「予告で我々に抱かせたその作品への期待を一切裏切らない完成度」の映画であった。

130分と普通の映画よりも長めの尺でありながら全く間延びした印象もなく最後まで退屈しないで見れたのは、エマワトソン演じるベルをはじめとするキャラクター達の魅力が輝いていたからに他ならない。

 

キャラクターの掘り下げ、という視点で「美女と野獣」を語るぞ。

 

アニメ版「美女と野獣」との違い(以下スゴイネタバレ)

アニメ版「美女と野獣」が86分であるのに対して、実写版「美女と野獣」は130分。

 

「同じストーリーなのに随分尺が伸びたなあ」なんて劇場に入る前は思っていたのだけれど、実写版は伸びた尺分でキャラクターの掘り下げを丁寧に行っていた。

※ちなみに、アニメ版美女と野獣のネタバレはwikiで見れるので、知らない人はこちらを読んでからの方が、この記事を楽しめるかもしれない。

 

ポイントは2つ。

◇実写版ではベルの出自の謎を解明している

◇実写版ではガストン様がさらなるクズに 

 

ベルの出自について

本作はヒロイン・ベルと王子・野獣の愛の物語でもあるが、同時にベルとその父親モーリスの父娘の絆の物語でもある。そして、ベルと野獣の関係と、ベルとモーリスの関係はストーリー上密接に関わり合っている。

 例えば、半幽閉状態になっていたベル(実質はダンスまで踊ってイチャイチャ状態なんだけど)を開放することを決意したのも、ベルがモーリスの身を案じているということを野獣が理解したからであり、「それこそが野獣にとっての愛である」と我々視聴者に表明する重要なシーンとなっている。

 

「ベルと野獣」そして「ベルとモーリス」の接着剤的エピソードとして、アニメ版にはなかったシーンが追加されていた。

 

ベルと野獣が仲良くなり、イチャイチャ生活をしていたある日。野獣が魔女から渡されたという「世界中のどこへでも行ける旅を疑似体験できる本のようなモノ」が登場する。

その本のようなモノに手を触れ、行きたいところを思い描くと実際にその場を訪れることが出来るというもの。野獣とベルはその本に手を重ね、空想上の旅行に行くことにした。

ベルは生前の母が住んでいたパリに思いを馳せた。そこで、モーリスと母親の秘密に触れることになる(どうやら過去にも行ける魔法のグッズだったらしい)。

母親が疫病にかかってしまい、モーリスは泣く泣くベルを連れてパリを去ったという事実をベルと野獣は目の当たりにする。ベルはモーリスの抱えていた思いを知り、涙する。

 

・・・といった内容だ。

このシーンが持つ役割は大きい。

野獣がベルを開放する理由付けである。

父を愛し、愛されているベルを知っているからこそ、ベルを同じように愛した野獣はベルを開放することを心に決める。

 

ちなみに、実写版では野獣の出自にも軽く触れられていて、ポット夫人が「野獣のわがままな性格は幼くして母親を亡くしたから」と語っている。

つまり、野獣も同じくして家族を亡くしている痛みを知っているのだ。

このエピソードを通じて、野獣がベルに同情する気持ちの理由が明確になっている。

このシーンのおかげで、野獣がベルを開放するまでの心の変化がアニメ版よりも分かりやすくなっていると僕は思った。

 

ガストンの徹底した悪役っぷり

次にガストン様の変貌について語りたい。というか、ブログのタイトルにしちゃうぐらい、この人の魅力はすさまじかった。

ディズニーヴィランとして、ある程度茶目っ気のある悪役として登場していたアニメ版ガストンが、実写化してどうしようもないクズとなってしまった。

はっきり言って、やりすぎだった。

だが、徹底して最低であってくれたが故、中途半端な悪役ではなく、純粋悪としてベルや野獣、モーリスに立ちふさがってくれた素晴らしいキャラクタ―であるとも言える。

 

具体的なエピソードを述べていこう。

 

①モーリスを殴る

アニメ版・実写版ともに野獣の城から解放されたモーリスは、街の酒場でガストンに助けを求めるが、その後の経過が少々異なる。

 

◇アニメ版

相手にされず、モーリスは一人で野獣の城を探しに街を出る。

 

◇実写版

ガストンとル・フウが助けに行こうと名乗り出るが、なかなか野獣の城にはたどり着けない。ガストンが痺れを切らし、狼が出てくる森の中でモーリスと喧嘩。

 

モーリス「娘とは絶対に結婚なんてさせない」

ガストン「は?」

 

ガストンの正確の悪さがここで発揮されるのだけれど、その後ガストンは

Step1.モーリスを殴る

Step2.縄で縛る

Step3.狼が出る森に放置して自分らだけ街に帰る

と街一番の人気者とは思えない極悪非道っぷりを発揮。

 

その後運よく魔女に救われて街に帰ってきたモーリスとご対面したが、モーリスなど大衆を味方につけているガストンの敵ではなかった。饒舌な舌でモーリスを精神病患者と決めつけ、病院送りにしようとする。

 

まぁこの後のシナリオは、アニメと同じで、ガストンと町の住民たちが野獣の城に乗り込んでいくわけだが、ここからもガストンの卑劣さが際立っていく。

 

②野獣との戦闘に度重なる銃火器

クライマックスシーン、野獣とガストンがぶつかりあう。

せめて町一番の腕っぷしをこのシーンで発揮してくれればよかったのだが、野獣にケガを負わせたガストンの攻撃は全て銃火器での遠距離攻撃であった。

しかも、うち一回は命乞いをした後の不意打ちである。


「美女と野獣」♪ガストン

↑なお、youtubeの公式動画ではカットされているが、このシーンで彼は不意打ちが得意と公言している。だからと言って、本当に不意打ちでヒーローを死に追いやるなよ。

 

そして結果的には、橋の陥落に巻き込まれて死亡。

 

徹底的に最悪なうえに、あっけない死を遂げたガストン様。

しかし性格はひん曲がっていたが、その外見上の美貌と根拠のない自信、そしてベルを手に入れるためになら何でもやるという真直ぐな意志は、強力な個性として見る者すべてを魅了していた。

 

ちなみに、エイプリルフールにこんな企画が持ち上がるほど、彼はディズニー公式的にも推しメンである

www.disney.co.jp

 

悪役が黒くあればあるほど、ヒーローは光輝く。それを再認識させてくれたのが、僕らの人気者ガストン様だったのだ。

 

プリンセス映画の実写化では、男性の深堀がすごい

実写版「美女と野獣」の魅力であるキャラクターの掘り下げについて書いていたが、男性陣の話ばかりで、肝心なエマ・ワトソン演じるベルについて一切書いていなかった。

が、率直な感想を言ってしまうと、ベルはアニメ版でも十分にキャラクターが描かれていたので、実写版で描写が増えても「ベルの知らない一面が見れた!」という印象は持たなかった(原作アニメーションのベルというキャラクターを完璧に演じきったエマ・ワトソンは素晴らしい、とも言える)。

 

まぁそれも当然と言えば当然であり、ベルは「美女と野獣」における主人公である。ディズニープリンセスが登場する作品において、プリンセスへの描写が甘い作品はまずない(「アラジン」はディズニープリンセスが登場する作品でありながら、主人公がアラジンだったので、重きは彼の描写に置かれていたが、それでもプリンセスジャスミンの描き込みが甘いという印象はなかった)。

 

しかし一方で、「王子様がどういう人物なのか」がよくわからないディズニープリンセス作品は結構多い。

 

例えば、シンデレラとか。アニメ版ではちょい役ぐらいの登場だった。


夢はひそかに (シンデレラ)

 

しかし、実写版では王子様のバックグラウンドに結構な時間を割いている。


映画『シンデレラ』日本版エンドソング「夢はひそかに (Duet version)」

 

昨今ディズニー長編アニメーションの実写化が増えてきているが、そのうちのプリンセス物2つは共通して「女性だけを描くストーリー」ではなくなっていると思う。

それは「女性がプリンセスに感情移入するには、恋する相手である王子様がちゃんと絵が描かれていないといけないから」かもしれないし、「僕みたいな男性が見ても楽しめるように女性の一辺倒な恋心だけを描くわけにはいかないから」かもしれない。

理由は定かではないが、いずれにしてもちょっとだけリアリティを持たざるを得ない実写映画を作るにあたって、登場人物に人間味を持たせようと努力するのは良いリメイクの方向性だと感じた。

 

ちなみに、「美女と野獣」を見て、僕が純粋に抱いた感想は

「ベルが可愛い」

「野獣でもベルと結ばれる。まだ僕にも希望がある」

であった。

 

こういうチョロイ男性も幸せにできるプリンセス映画に感謝を伝えたい。

 

【夜は短し歩けよ乙女】乙女がひたすらに可愛い(感想:ネタバレだらけ)

 来場者特典の話だけして、本編の話を一切してなかったので、今更ながら本編の感想を書こうと思う。

midoumairu.hatenablog.com

 

kurokaminootome.com

 

この映画の魅力を一言に凝縮するならば、「黒髪の乙女(cv:花澤香菜)がひたすらに可愛い。付き合いたい」なのだけれど、視聴者万人が感じるであろう黒髪の乙女への淡き恋心を声を大にして語ってもひねりがないので、「上手いなー湯浅監督!」という点をいくつかピックアップしてみた。

 

乙女が可愛い

・・・とは言ったものの、ヒロイン、黒髪の乙女の魅力無くしてこの映画は語ることが出来ない。

徹底的に黒髪の乙女が可愛いというだけで、この映画は大いなる輝きを放てている。可愛いとは価値なのだ。可愛いだけで勝ちなのだ。この作品を見終えた後、友人と共に焼肉に行ったのだけれど、私はひたすらに「可愛かった、こんな人と付き合いたい」としか言っていなかったらしい。映画の感想を書くブログをちょこまか更新しているような人間の発言ではない。

 

しかし、可愛いものは仕方がない。可愛いポイントを書かせてくれ。

アホ毛

キャラデザ万歳!と言ったところなのだが、常に彼女の左耳あたりにぴょんと一本アホ毛が出ているのが可愛い。公式サイトの「キャラクター紹介」を見てくれ。

 

②声

花澤香菜さん。

 

③好奇心旺盛(ここから先、ちょっとずつネタバレ)

キャラクター紹介にもあるが、彼女は人目を気にせず面白い!と思ったものに躊躇なく飛び込める天真爛漫さがある。この性格が「夜は短し歩けよ乙女」の物語を動かしていくのだが、何事にも楽しそうに臨んでいく姿勢には誰もが惹かれるだろう。

やっぱりいつもニコニコしていて楽しそうな女の子は、魅力的なのだ。

そんなことに気付かせてくれたのも、黒髪の乙女だった。

 

ちなみに具体的に可愛いと思った瞬間をいくつか挙げてみたい。

◇詭弁踊りを躊躇なくこなす姿

口を蛸のようにして腰を落とし腕を振るいながら練り歩くという、誰がやっても気持ち悪い「詭弁踊り」が本作には登場するが、それに「我こそが」と果敢にチャレンジする乙女。

 

◇文化祭で鯉を担いじゃう姿

身体の丈ほどある鯉型のリュック的なものを、躊躇なく背負ってしまう可愛らしさ。

 

◇文化祭の即興ヒロイン力

経験はございませんが(←ここ重要)、キスだってやぶさかではないという役への思いの深さ。

 

 

④誰にも媚びず、平等に接することが出来る健気さ

スケベ親父にはお友達ぱんちを繰り出し。

誰もが恐れる李白老人とも酒を飲みかわし、説教さえしてしまう。

友人たちが風邪をひいたときには全員の介抱に回る。

 

「冬」の李白さんに対して「人との繋がりの尊さ」を語るシーンがあるが、彼女が一つ一つの出会いを大切にしていることが行動の端々から感じ取れるのが良い。

 

⑤恋に気付いた瞬間

鯉をぎゅーっとして、どたばたしちゃう姿。一瞬しか映っていないが、究極に可愛らしい瞬間だと思う。ベストシーンオブ「夜は短し歩けよ乙女

 

 

・・・こんなところだろうか。

彼女の全力が胸を打つ。黒髪の乙女が楽しければ、我々も楽しい。

先輩と同じ目線で、乙女に恋をすることが出来る映画であった。

 

一晩に詰め込む(以下めちゃくちゃネタバレ)

春は李白との飲み比べ。

夏は古本市。

秋は文化祭。

冬は風邪の流行。

 

原作は京都の春夏秋冬を楽しめる小説であったが、劇場版は春夏秋冬を一晩に詰め込んだ。

なんと無理がある、一晩があまりに長いだろう、とは思ったものの、一夜続きであるがゆえに物語の繋がりが良くなっている部分があった。あっぱれ脚本さん。

 

たとえば、

秋、文化祭でパンツ総番長と紀子さんが恋に落ちるきっかけは、春に錦鯉センターから巻き上げられた鯉が頭に落ちてきたこと。

 

夏、先輩が必死に収集した「ラ・タ・タ・タム」は冬に恋が成就する鍵となっている。

 

特に前者のパンツ総番長の件は「うまいなあ」と感心した。

短編×4の印象が強い原作に対して、一続きの物語を意識しているのが劇場版だと思う。

 

四畳半神話大系」からのファンがにやにやできる(以下ネタバレ)

森見先生×湯浅監督と言えば、ノイタミナ枠で放送していたテレビアニメ「四畳半神話大系」である。本作が森見先生原作のアニメ化第一作であったと記憶している。

こちらも原作の良さを活かしつつも、アニメーションならではの工夫をもってして別の魅力を引き出せていた素晴らしい作品であった。

私は元々森見先生の作品が好きだったので、「四畳半神話大系」を見ることにしたのだが、本作で湯浅監督のファンになった人も多かろう。私もその一人だ。

 

そんな「湯浅監督の描く森見作品」の虜となった子羊達を、「ほれこういうのが好きだろう」としっかりと導いてくださったのも、「夜は短し歩けよ乙女」の魅力である。

ちゃんと「四畳半神話大系」からのファンのニーズも満たしているのだ。

 

まずは、古本市に現れた「本の神様」について。

こちらもキャラクター紹介を見てほしい。

どっからどう見ても、小津である。

小津と言えば「四畳半神話大系」の人気キャラクター。残念ながら世界観は共有していながらも、「夜は短し歩けよ乙女」の原作には一切顔を覗かせない人物であった。

それを、本の神様として登場させてしまうとは。劇場版では全く同じ顔つきで、小憎らしい立ち回りを演じてくれていた。

 

そして、冬、病床に臥している先輩の脳内会議にて。

乙女への誘惑と純情の間で揺れる先輩の脳内会議に、乙女が乱入してくるシーンに、最も湯浅監督らしさを感じた。

ぐりぐりとカメラを回しながら、背景をぐにゃぐにゃと歪ませて、乙女は上へ上へと向かっていく。「このシーン、やりたかったんだろうなぁ」とニヤニヤしてしまった。

 

ちなみに、この脳内会議のシーンでは性欲の代名詞と言える「ジョニー」が大活躍する。こちらも「四畳半神話大系」のアニメ版で活躍したキャラクター(キャラクターと言ってよいのかわからないが、「夜は短し(ry」のキャラクター紹介に並んでいたので、キャラクターで良いのだろう)だ。

性欲を暴走するカウボーイで描くのは面白い比喩表現だなぁ、と四畳半の時にも感心していたのだが、そういう良い点をしっかりと次作に引き継いでいく潔さに拍手を送りたい。

 

というわけで、これから「夜は短し歩けよ乙女」を見る人には、「四畳半神話大系」を見てから劇場に足を運ぶことをお勧めしたい。

 

ちなみに

夜は短し歩けよ乙女」の話題はこれで以上である。

劇場の予告でやっていたのだが、湯浅監督の最新作が今年公開するらしい。

lunouta.com

完全オリジナル作品は初めてらしい。こちらも期待したい。

 

↓ちゃんと見てきたので、感想を書いたよ。

midoumairu.hatenablog.com

 

 

 

【夜は短し歩けよ乙女】2週目に見に行くという誤算(来場者特典の話)

やってしまった。

 

kurokaminootome.com

 

僕は森見登美彦さんが大好きで、『夜は短し歩けよ乙女』の劇場版が公開されると聞いて胸を躍らせていた。

四畳半神話大系』も原作・アニメともに気に入っていて、「湯浅監督の森見作品」というだけでもう作品のクオリティは担保されているようなものであり、僕はどんなに忙しくても劇場に乗り込もうと心に誓っていたのである。

 

しかし、僕は歳をとりすぎていた。公開初日、4月7日(金)に映画館へ足を運ぶ気力もなく、8日、9日は惰眠をむさぼり、結局映画を見たのは4月16日になってしまった。

 

高を括っていた。「1ヶ月近くは劇場でやっているだろう」と。「まぁスケジュールが空いたときに行けばいいや」と。

 

間違えていた。劇場版のアニメ作品との付き合い方を間違えていたのだ。

16日、いざ友人と共に映画館に入場すると、入り口付近で可愛らしい店員さんが、店員さんに負けず劣らず可愛らしい冊子を配っているではないか。

文庫サイズの薄い冊子。淡いピンク色で、中央に大きく林檎のイラストが描かれている。林檎の中にはこんな文字が。

「劇場来場者特典 夜は短し歩けよ乙女銀幕版」

 

ふむ。これは噂の原作者のオリジナルストーリーが読める特典だな。

私は素直に喜んだ。森見先生の描く先輩、あるいは乙女の世界がまた少し広がるのだ。映画本編もさることながら、私は冊子の中身に思いをはせ、胸を膨らませていた。

 

しかし、ふとそんな気持ちに影が差す。来場者特典。TOHOアニメーション。

僕は、傷物語を思い出していた。

midoumairu.hatenablog.com

もっと言うと、「傷物語の 来場者特典が、週によって変わっていた」ということを思い出していた。

 

そこで冊子をもう一度よく見てみる。

f:id:midoumairu:20170418233439j:plain

 

「劇場来場者特典 その2」

 

やってしまった。1週目に「劇場来場者特典 その1」が配布されており、2週目以降に「その2」が配られる座組だったようだ。公式ホームページにも、ちゃんと書いてある。

 

なぜ、失敗から学ばないのか。アニメ映画と来場者特典は切っても切り離せないのに。

原作者に力がある作品ほど、特典に原作者が携わることが多いのに。

 

思えばこの作品自体の公開を知ったきっかけは星野源のANNで、しかも彼が声優を務めるという発表のときだった。おそらく、公開が決定しただいぶ後の話だろう(あとでググったんですけど、公開発表と星野源登用のタイミングは一緒だったみたいですね)。

感度が低すぎるのだ。ほんわかと好き好き言っているだけでは、好きを満たす絶好の機会を逃してしまう。情報収集を怠ると痛い目を見ると痛感した。

 

とは言ったものの、終わったことは仕方がない。「来場者特典その2」を隅から隅へと味わうことで、その1への届かない思いを胸の奥へのと封じ込めることにした。

 

で、肝心の中身なのだけれど、公式ホームページにある通り

その1⇒先輩から乙女への手紙

その2⇒乙女から先輩への手紙

となっている。

その2は7ページの冊子で、「拝啓」ではじまり「かしこ」で結ぶ手紙が綴られている。手紙なので当然「乙女」による一人称の文章だ。

 

森見登美彦さんの作品に「恋文の技術」という本がある。この作品も手紙形式で物語が展開されていくのだが、彼の文豪を思わせる硬派さにほんわかとした小気味良さが顔をのぞかせる文体はとても「手紙」に適していると思う。森実作品屈指のヒロイン「黒髪の乙女」の手紙を読むことが出来るなんて、なんて幸せなのだろう。僕はしみじみ読み溺れた。幸せな7ページを過ごした。

「その2」とあって手紙形式となると、「その1」の先輩から乙女への手紙を読んでないと中身が分からないのかと読む前は心配していたのだけれど、全く問題なく内容を楽しむことが出来た。ちょっとだけネタバレすると、羽貫さんとお出かけした話が綴られております。

 

配布は15日(土)~とHPに書いてあったので、劇場によってはまだ残っているところもあるかもしれない。ぜひとも手に取ってほしい。

 

映画自体の感想は、またそのうち。

 

midoumairu.hatenablog.com

 

 更新したよー

【NICO Touches the Walls】TOUR 2017 ”Fighting NICO” 4/1東京公演 @ NHKホール 感想

1年ぶりにNICOのライブに行ってきた。

前回は「勇気も愛もないなんて」のツアーに広島(4/3 @BLUE LIVE 広島 )まで遠征して参加したので、本当にまるまる1年ぶりである。

www.livefans.jp

 

で、今回参加したのはツアー"Fighting NICO"の東京公演1日目@NHKホール

f:id:midoumairu:20170401233950j:plain

3階の左寄りの席だったので結構遠め。去年BLUE LIVE 広島で参加したときには、メンバーが目の前にいたのに。やっぱりホールよりもライブハウスのほうが好きだなぁ、と感じつつも、やっぱり参加し終えたら大満足なんだよねホールでも。

 

音楽には詳しくない上に、セトリちゃんと覚えきれてないからメモ的になってしまうが、感想を書いていくぞ。

 

www.livefans.jp

↑まだ更新されていないけれど、いずれセトリが記載されるでしょうから、こちらご確認ください。

記憶を探り探りのセトリ

一応、記憶をたどってセトリを書いてみたぞ。正解かどうかはわからん。

 

1.新曲

2.チェインリアクション

3.そのTAXI,160km/h

4.バイシクル

5.手をたたけ

6.Diver

7.夢一号

8.GUERNICA

9.Aurora

10.TOKYO Dreamer

11.April

12.天地ガエシ

13.MOROHA IROHA

14.妄想隊員A

15.渦と渦

16.新曲

 

アンコール

17.THE BUNGY
18.ストラト
19.マシ・マシ

 

18時開演、20時20分ぐらいに終演だった。MCは短めだったかなあ。

 

5人目、参戦。

私が知らぬ間にメンバーが増えたのかと思ったら、浅野尚志さんがゲストとして参加されていた。

 twitter更新されていますね、画像見ると分かる通り、キーボード?とバイオリン?と思われる弦楽器とギターを弾いてました。

※キーボードがいろんな音出せるのは分かるんだけど、バイオリン?と思われる弦楽器は、明らかに私が知っているバイオリンの音色とは違っていました。僕の耳がおかしいのかしら?

 

彼の参戦により、かなりライブの様子がいつもと違っていたと思います。キーボードとバイオリンの貢献がすごい。

印象に残った曲は・・・

 

5.手をたたけ

イントロがピアノ

 

9.Aurora

キーボードとボーカルのみだった。ライブで聴くのは初めて、好きな曲だったからうれしかったなあ。シンプルさが映える曲。

 

12.天地ガエシ

バイオリンの音色でよりカントリー風に。ディズニーランドのウエスタンランドの曲のバイオリンを思い出してほしい。あんな感じだった。


エリアミュージック:ウエスタンランド

 

17.THE BUNGY

古村くんと浅野さんがソロ対決してた。かなり尺とってて大盛り上がりでした。

 

4月を意識した構成

アンコールのMCで新生活への応援を光村くんがしてくれて、その後にストラトマシ・マシと続く流れは完璧なストーリーが出来上がっててこみあげてくるものがあったぞ。

「正解はもう辞書になくたって戦うだけなのさ」

「あとはきみしだいです 全部きみしだい」

ツアー名も"Fighting NICO"だし、〆に相応しい曲だった。

 

「April」もまさしく4月ということで、1年ぶりにライブでまた聴けて気分は「ただいま」である。

新曲が2曲も!

知らない曲から始まって困惑してたのだけど、最後のMCで新曲だということが判明。あぁ、新曲だったのか、と胸を撫でおろした。

ステージの上にサイレンを発生させる装置(!?)があって、光村くんが回すと「うぅ~~」って鳴るわけですよ。そんな中演奏が始まった一曲目のカッコよさ。

最後に披露した曲も慣れてきたらみんな手拍子の回数合わせてくるんだろうなあというノリのいい感じの曲でした。ちゃんと光村くんが拍数を指で教えてくれてたね。

その他小ネタ

◇「妄想隊員A」がタオルぶん回し曲になってた。

いつの間に?

ライブでグッズは買わない派なんだけど、タオル回し曲があるバンドのライブの場合はいつも購入するようにしている。次回から買うか。

 

◇「ニワカ雨ニモ負ケズ」がない!?

私が参加したNICOのライブでは総じて演奏していたが、今日が初めての「ニワカ雨ニモ負ケズ」を演奏しない公演だった。

ラスサビの前の光村くんのコメントが毎回の楽しみだったから、少々残念。

 

◇「MOROHA IROHA」のポテンシャル

マシ・マシのカップリングだったので、演奏するだろうなとは思っていたけれど、CD音源で聴くよりもずっとイケててビックリした。個人的には「豹変」と言っても良いぐらい。ちゃんとCD音源を聴き込んでいたらまた違う感想が持てたかもしれない。

ここでもサイレン発生装置が活躍。祥太郎さんのドラムが輝いていた。

 

GUERNICA、流石の長さ

これもライブで初めて聞いたけど、それぞれのソロパートがあって、楽器で完璧に魅せられた。間奏が"間"と称すにはもったいないほど主役級。

 

以上、感想というかメモ程度だけど、終わり。

今回はストラトマシ・マシのストーリー性とカントリー要素強化された天地ガエシが2強でした。次は、遠征して踊り狂えるライブハウスに行こうっと。

 

 

【小説:君の膵臓をたべたい】ヒロイン死亡映画は「その後」を描きがち(感想:ネタバレあり)

「君の膵臓をたべたい」が映画化することをつい最近知った。

というわけで、実写化される映画についての思いと、小説の感想を書きたいと思う。

kimisui.jp

 

 ↓ちなみに何か月かの時を経て、しっかりと映画も見てきたので、感想記事のリンクをこちらにも貼っておく。

midoumairu.hatenablog.com

 

 

 

 

「君の膵臓をたべたい」は売れ始めてから結構経ったときに読んだのだけれど、これは上手いなぁと感心した小説だった。

 

事実、売れているし、評価も高い。以下ウィキの引用。

本屋大賞」2016第2位、「ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR 」2位、「2015年 年間ベストセラー」6位(文芸書・トーハン調べ)、「読書メーター読みたい本ランキング」1位、「埼玉県の高校図書館司書が選んだイチオシ本2015」1位、「2016年年間ベストセラー」総合5位、文芸書1位(トーハン調べ[5])、「2016年 年間ベストセラー」総合4位、単行本フィクション1位(日販調べ[6])と高く評価された[1][7][8][9]。2017年3月時点で累計発行部数は75万部[10][11]

 

何が良かったのかをネタバレ込で書きたいのだけれど、その前に劇場版の内容が気になってしょうがなかったので、そちらについてまずは言及しておきたい。

タイトルにも書いたが、「ヒロインが死亡する小説を実写化すると、その後が描かれがち」という点についてだ。

 

あの名作も、原作にはない未来を描いていた。

まずは予告編を見てほしい。


「君の膵臓をたべたい」予告

 

小栗旬が現れたとき、「なるほど」と一瞬で感じ取った。これは、

 

原作のその後が映画で描かれるやつだー!!!

 

そりゃ、【僕】は学生だぜ。小栗旬さんじゃさすがに演じられない。学生を違和感なく演じられるいい大人なんて、佐藤健ぐらいしかいないんじゃないだろうか。

 

決して、僕は映画化・映像化する際、必ずしも原作を忠実に再現しようとする必要があるとは思っていない。

しかし、ヒロインが死亡する小説における、その後を描いた実写映画化にとても既視感を覚えたので、記憶を遡ってみる。

 


Japan Movie 世界の中心で、愛をさけぶ 予告編

 

うん、たぶんこれだ。私が小学生の時に小説・映画を見て、原作と違う!とあたふたした初めての経験、『世界の中心で、愛をさけぶ』。

劇場版『セカチュー』では亜紀を失った後の、朔太郎と婚約者のエピソードが描かれている。確か、原作にはなかったエピソードだ。

ciatr.jp

 

ちなみに、『セカチュー』については、原作のその後のエピソードが追加されても、違和感なく見れた、記憶がある。原作をよく再現していて、そのうえで地続きなエピソードを描けたからだろう。

『君の膵臓をたべたい』にも期待をせざるを得ない。脚本が『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』の吉田智子さんなので、楽しみ。

midoumairu.hatenablog.com

midoumairu.hatenablog.com

 ↑ 結構好きなんです。

 

まぁ、まだ公開されていない作品についてとやかく言うのはこれぐらいにしておいて。原作が好きなので、おそらく映画の方も見に行くだろう。

しかし、「君の膵臓をたべたい」は小説だからこその魅力的な表現も散在していて、それらをどのように映像化した際に再現するかが気になるところだ。

 

というわけで、原作の良さについて、ちょっとだけ書いていきたい。

以下、ネタバレ注意だ。

タイトルの圧勝(以下小説ネタバレ)

「君の膵臓をたべたい」このタイトルに、魅力が集約されていると思う。

目を引くタイトル。多くの人は興味を持つだろう。

それでいて、物語の中核を担う一言だから、最高だ。

序盤、焼肉を食べるシーンで「身体の悪いところを食べると治るらしい」という冗談を桜良が言うが、作中至るところでこの手のネタが飛び交っているので、まぁこんなもんかと読み進めていたわけだが。

終盤の「垢を煎じて飲む」を膵臓に置き換えてお互いを認め合う流れは美しすぎた。よくまあ考えたものだ。

 

人の目を引くこともでき、桜良と【僕】の関係を表現している、商業的にも物語的にも破綻なく美しくはまった言葉こそが、「君の膵臓をたべたい」。この一言を活かす物語を描き切った時点で、作品が輝くことは約束されていたと思う。素晴らしい。

名前を認識しようとしない【僕】(小説ネタバレ)

映画HPの「Story」でも再現されているが、作中で主人公、【僕】の名は最後の最後まで、明かされない。

他者に名前を呼ばれても、【僕】がその人にとって、どう思われているかによって、その名前は変わるのだ。【クラスメイト】とか【???】とか。

調子のいいクラスメイトが話しかけてきたとき、「【】ぁ」と呼んでいたので、苗字の最後の文字は「A」で終わるのだろう、とか想像しながら読んでいるのが楽しかった。戯言シリーズいーちゃんの名前が気になるのと同じような心情だった。

 

まぁ、いーちゃんとは話が違って、名前を【僕】が認識しようとしない理由も、桜良ちゃんの遺言状に書かれているわけだが、主人公の人と向き合おうとしなかった姿勢を示す面白い表現方法としてとても面白い。最後名前を明かした時に、桜良と【僕】の名前が、近しかったのも、オチとして気持ちがいい。

 

前者はともかく、この【僕】の表現については、映画で再現するのはなかなか難しいだろう。潔く切るのか、活かすのか。楽しみで仕方がない。

遺言は、12年後に届く?

さて、映画の話に再度戻るのだけれど、「Story」には以下のように書かれている。

そして、ある事をきっかけに、
桜良が12年の時を超えて伝えたかった本当の想いを知る2人ー。

「本当の想い」というと、原作における桜良の遺言が頭をかすめるわけだけれど、原作のクライマックスを12年後に持っていくのか、それとも別の弾を用意するのかも、楽しみな点の一つだ。

桜良の遺言状が【僕】を再起させ、恭子との関係を生みだし、桜良と同じく人との関わりに意味を見出そうとさせたわけだから、12年後までお預けというのはなかなか【僕】にとって酷なストーリーになりそうだなあと思いつつ。

 

それでも、大人になった【僕】や恭子を描きたいのは、大切な人が亡くなっても、ちゃんと大人になって幸せになれているという「救い」が、我々視聴者の心を打つからなんだろうなあ。

 

楽しみだね。

 

【モアナと伝説の海】先輩プリンセスをいじる「ヒロイン映画」(感想:ほぼネタバレなし)

モアナと伝説の海を見てきた。

www.disney.co.jp

私はウォルトディズニーアニメーションスタジオ長編作品を「白雪姫」から「ズートピア」まで現在DVD入手が難しい「トード氏」以外はすべて見ている。一応ファンだ。

 

「モアナと伝説の海」は「アナと雪の女王」以来の、人間の女性が主役の所謂「ディズニープリンセス※」作品なので、楽しみにしていた。が、結果としてどちらかというと冒険にワクワクするような、方向性としては「トレジャープラネット」や「アトランティス」に近しいアドベンチャームービーだったので、良い意味で予想を裏切られた。

 「ディズニープリンセス」の王道を崩していくスタイルが非常に気に入ったので、そこに焦点を当てて感想を書きたい。

 

ディズニープリンセスの定義は色々あるみたいだけれど、以下のまとめ記事に挙げられたヒロインたちをプリンセスと認識して僕は記事を書いている。

matome.naver.jp

なお、現在の日本版のディズニープリンセス公式ページには、白雪姫、シンデレラ、オーロラ姫、アリエル、ベル、ジャスミンラプンツェルが名を連ねている。商業的に大成功しているアナとエルサがいないのが意外。

王子様と正当なラブストーリーを展開し、結婚するオチになる女性というのが共通点、かな。それだと「プリンセスと魔法のキス」のティアナがカウントされていないのがちょっと不可解だけど、知名度の問題かしら。

www.disney.co.jp

そう考えると・・・モアナが「ディズニープリンセス」に当たるかどうかは・・・うーむ。今後の展開に期待。

プリンセスというより、ヒロイン(ややネタバレ)

本作の監督はジョン・マスカー氏とロン・クレメンツ氏。彼らのコンビで作られたディズニー映画は多く、ディズニープリンセスものだと「リトルマーメイド」、「アラジン」、「プリンセスと魔法のキス」。ググって初めて知ったのだけれど、「トレジャープラネット」も彼らのコンビが監督を務めている(大好きな映画だ)。

名作プリンセス映画を作ってきた彼らが、モアナという新ヒロインを通じて描きたかったものとは・・・?と期待するじゃないですか。

いやはや残念、モアナは従来のディズニープリンセスとは一線を画している。

彼女は「プリンセス」というよりも、「ヒロイン」だ。世界を救う冒険者であり、主人公。勇敢に自分の夢や使命を胸に抱き、大海原に繰り出す強き女性。王子様はいない。いるのは強靭な肉体の相棒。

そう、前述したが、映画としての方向性は「アラジン」や「リトルマーメード」よりも「トレジャープラネット」に近い。

それもそのはず。各種マスコミで報道されているから知っている人が多いと思うけど、彼らは「マウイ」という神から着想を得て、この映画の製作に乗り出した。

お調子者でかつてのヒーロー、自信過剰。ガタイが良くて、戦闘シーンが映える映える。そんなマウイとモアナにロマンスが生まれると思うか?皆、思っているか?

ネタバレしてしまうと、ロマンスは生まれない。彼らに生まれるのは恋とか男女としての愛ではなく、冒険を通じて築かれる絆である。そういう映画として割り切ってみると良い。まぁこのトレーラーを見て、ロマンス期待している人はいないだろう。


映画『モアナと伝説の海』日本版予告編

これこそ本当の「美女と野獣」だ。美女・・・ではあるが、まあ表現としては「おてんば娘と野獣」ぐらいが無難だろう。そんな感じの映画だ。

モアナとマウイの掛け合い、戦闘描写を楽しむアドベンチャー(ネタバレなし)

ではこの映画の魅力は?どちらかというと、男の子的な視点で楽しめる良さが多かった気がする。

1.モアナVSマウイ コメディ的な駆け引き

女性が主人公、リトルマーメイドとアラジンの監督・・・視聴者が期待するのは、ディズニープリンセスの王道だ。その期待を逆手に取った、面白い駆け引きがちりばめられている。

細かい内容はネタバレしてしまうと楽しみを奪ってしまうのでやめておくが、「ディズニープリンセスなら~、でもお前は違って~」的ないじりがガンガン入ってくる。ファンであればニヤニヤしてしまうこと間違いなしだ。

個人的に好きなシーンは、マウイが「吐くぞ」と言ったところ。ディズニープリンセスが好きな人なら絶対わかるから、見てほしい。

 

なお、その他にも致命的に頭が悪い鳥「ヘイヘイ」、マウイの入れ墨の「ミニマウイ?」(正式名称はしらん)、感情を持っている海との掛け合いがあり、くすっと笑えるシーンがたくさんある。ここは流石ディズニー映画。

2.戦闘描写

冒険ものなので、戦闘描写がちりばめられている。大きく分けて3シーン。白兵戦×1、大ボス×2なのだが、どちらも力が入っていてガンガン動くもんだから楽しくてしょうがなかった。

なお、モアナもマウイも戦闘映えする特殊能力を持っているので、それがなお良い。

 

<モアナ>

身体能力がそこそこ高く、ちょこまか動き回るアクロバティックな動きが得意。

海を自在に操ることが出来る(正確には協力を仰ぐ、だが)

 

<マウイ>

巨大な体格から繰り出されるパワフルなアクション。

釣り針があれば、任意の動物に変身することが出来る。

 

2人の主人公の役割分担がなされていて、それぞれにこんな特殊能力がある・・・戦闘が面白くないわけない!

海の上を、海中を、自在に滑る様に動くモアナが!巨大な敵を相手に、ハエになって近づき、くじらになって攻撃をぶち込むマウイが!

バトル映画としてしっかりと役割を持てる、視覚的に最高な作品だった。

エンドロールも必見

ディズニー映画といったら、エンドロールの後のおまけ映像。こちらもディズニープリンセスを弄っている内容なので、楽しみにしててほしい。

なお、僕はぼーっとしてたので見逃してしまったが、エンドロールの後半に「シュガーラッシュ」のラルフが絵として出てきた気がするのだけど、もしかしたら他のディズニー作品のキャラクターも現れていたかもしれない。目を見張って最後まで楽しんでほしい(この作品に携わった人がどれだけ多いかよくわかる長さだった)。

 

 

【ひるね姫~知らないワタシの物語~】難易度の高いリアルを、ファンタジーで描く(感想:ネタバレなし)

ひるね姫~知らないワタシの物語~」を見てきた。

wwws.warnerbros.co.jp

 

公式サイトを見て、豪華キャストを見て、めちゃくちゃお金かかってるんだろうなあと思いながら劇場に足を運ぶ。

監督は神山健治さん。「東のエデン」が好きだったので、期待に胸を膨らませていたが、見終わった後の感想は「スゲー制作難易度高そうな映画だったろうなあ」だった。

近未来(東京五輪がある2020年だ)に生じるであろう難しいテーマを、見る人の裾野を広げるために「夢」というギミックを使いながら、誰もが分かりやすく楽しめるように噛み砕きながら描き切った。

これはネタバレなしで見ていただきたいので、どうにか内容に踏み込まないように感想を書いていきたい。難しいなあ。

現実と夢をリンクさせてバランスをとる

まずは、公式サイトのイントロダクションをご覧いただきたい。

wwws.warnerbros.co.jp

まさしくこれだなーと思える一文があるので、引用させていただく。

今より少し先の未来を舞台に、夢と現実をスリリングに行き来するロードムービーが誕生した。

この映画は主人公森川ココネが生きる現実と、彼女が見る夢が交互に展開されていて、現実と夢がリンクするようになっている。

上手いなあと思うのが、現実ではあくまでもリアリティのある2020年の問題を描き、夢の世界では派手なアクション・カメラワークを駆使して現実で起きている問題を分かりやすく童話風にアレンジしたストーリーを展開している。

徹底的に役割分担を行っているのだ。なぜこのような構成にしたか。こちらもまたイントロダクションからの引用なのだけれど、

本作は、「AI」「ネットワーク」「未来への願い」と、これまで神山監督が描いてきたさまざまなモチーフも重要な要素として盛り込まれている。その点で、本作は神山監督のキャリアの集大成でもあるのだ。

とある。

つまりは、神山監督がやりたいことが徹底的に詰め込まれた映画なんだと思う。激しいアクションシーンも、2020年のリアルな課題も、全て彼がやりたいことを実現したのが、「ひるね姫」なのだ。だから、彼のファンからしたらたまらない映画なんだと思う。

 

まぁこれは僕が勝手に作り手側の意図を邪推しただけの話だから、余談だ。視聴者側からして、この「現実」と「夢」のギミックはどう作用したかも言及しておきたい。

バランスをとる、と見出しに書いたが、まさしくその通りで、適切なタイミングで夢と現実が入れ分かることで、ダレることを防いでいる。いつも新しい刺激が与えられているようなイメージだ。

一方で、「早く現実の続きが見たいのに、また夢!」「場面がころころしすぎて」みたいな意見はあるかもしれないが、まぁそこは見る人によるのかもしれない。

 

あとは見る人の裾野を広げたというのもあると思う。「夢」のおとぎ話のおかげで、大人だけが楽しめる作品ではなくて、子どもも楽しめる作品になっているのではないだろうか。ジョイという可愛らしいキャラクター、巨大な鬼とロボットの戦闘、それがあるだけで子ども達は楽しめるだろうし、それだけでは退屈してしまう大人たちにとっても、仮に現実部分のパートだけを拾ったとしても楽しめるようになっている。

トレーラーではあまり言及されていなかったが、この映画では家族愛が前面に押し出されている。そういう映画を、親子二世代で見に行けるようにしたのは、素晴らしい工夫なのではないだろうか(僕の隣に座っていた人が、家族連れのお父さんだった)。

キャストは正解だと思う。

アニメーション作品に、声優さんを起用せずに、俳優さんやタレントさんに声を当ててもらうことに対する意見は賛否両論だ。

ひるね姫」は有名な俳優が名を連ねる「豪華キャスト」でお送りしており、本業の声優よりも俳優の方が多いぐらいだ。

僕は、この映画に限っては、このキャストで正解だと思った。どのキャストをとっても、違和感はあまりなかった。

特に、主人公森川ココネを演じた高畑充希さんが最高。方言可愛いし、抜けた感じの声が可愛い。何をとっても可愛い。

ちなみに、主題歌の「デイ・ドリーム・ビリーバー」を歌ったのも、彼女。歌上手いんだねー。ナイスカバー


映画『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』主題歌予告(デイ・ドリーム・ビリーバー)【HD】2017年3月18日公開

ロードムービーらしい、ちゃんとした街並み

ネタバレになるからあまり書かないが、主人公森川ココネちゃんの地元、岡山県倉敷市から現実世界の舞台は動いていく。街並みの描写がしっかりしていて(実在する企業の看板も容赦なく描いている)、ここが聖地!と明確にわかるようになっているのが、オタク心をくすぐる。

なお、公式で聖地のスタンプラリーを実施しているらしく、こんなものを劇場でもらった。

f:id:midoumairu:20170320160211j:plain

f:id:midoumairu:20170320160209j:plain

倉敷市でスタンプラリーをすると、オリジナルグッズがもらえるらしい!

ぜひチャレンジしてみては?